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心原性脳塞栓症について知る

           

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この記事を読んでわかること

心原性脳塞栓症とは
心原性脳塞栓症の原因
心原性脳塞栓症の治療


心原性脳塞栓症とは、不整脈や弁膜症によってできた血栓(血の塊)が脳の血管に詰まることで起こる脳梗塞です。
意識障害や麻痺などの症状が突然起こることが特徴です。
梗塞範囲が広いため重い後遺症を残すことがありますが、再生医療とリハビリを組み合わせることで機能改善が期待できます。

心原性脳塞栓症とは

心原性脳塞栓症とは、不整脈や弁膜症によってできた血栓(血の塊)が脳の血管に詰まることで起こる脳梗塞です。
脳梗塞の一種であり、別名を心原性脳梗塞と呼びます
心原性脳塞栓症は、脳梗塞の20%あまりを占めています。
動脈硬化で起こる脳梗塞(アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞など)と比べると脳梗塞の範囲が広く、症状や後遺症が重いのが特徴です。

心原性脳塞栓症の原因

心房細動
心原性脳塞栓症の原因のほとんどは、心房細動という不整脈です。
他に、心臓の中にある逆流防止弁の働きが悪い時(弁膜症)や心臓の働きが極端に悪い場合(心不全)にも起こります。
心臓の中で血液が澱んで滞ることで大きな血栓が心臓の中にできるのが心原性脳塞栓症の原因です。
血栓が血液の流れに乗って脳まで運ばれ、脳の太い血管を詰めることで、脳梗塞が生じます。

心房細動とは

心房細動とは、本来は規則正しくリズムを打つ心房が細かく震えてしまうことにより起こる不整脈です。
心房が細かく震えることで心房内の血液が澱んでしまい、大きな血栓ができてしまいます。
日本では0.6〜1.1%あまりの方が心房細動であると言われています。
特に65歳以上の高齢者に多い不整脈であり、心原性脳塞栓症のほか、心不全や認知症の原因となります。
女性よりも男性の方が多く、高血圧や心不全・心臓弁膜症・冠動脈疾患など心臓の病気をお持ちの方、そして糖尿病や肥満、睡眠時無呼吸症候群、高尿酸血症の方は心房細動になりやすいことがわかっています。
生活習慣としては、喫煙や飲酒との関係性が指摘されています
自覚症状がないことも多く、心房細動の患者さんのおよそ半数の方は症状がないことがわかっています。

大動脈原性脳塞栓症

大動脈原性脳塞栓症は、心臓から出て全身に血液を送り出す大動脈にくっついた粥種(じゅくしゅ:動脈硬化によるプラーク)が剥がれてしまい、脳血管が詰まることで起こる脳梗塞です。
心原性脳塞栓症と同じく、塞栓性の脳梗塞に分類されます。

心原性脳塞栓症の症状

心原性脳塞栓症の症状は、突然の意識障害、顔や半身の麻痺言語障害感覚障害視野障害認知機能障害などです。
梗塞範囲が広いため、症状が非常に重いのが特徴の一つです。
死亡率も18.6%と高く、アテローム血栓性脳梗塞の死亡率6.9%と比べて2.7倍となっています。

心原性脳塞栓症の診断

心原性脳塞栓症の診断には、頭部CT検査及び頭部MRI検査が用いられます。
これら2つの検査で脳梗塞と診断がついたら、脳梗塞の原因を確認するために、心臓や頸動脈の超音波(エコー)検査、心電図など不整脈の検査、そして血液検査などを行います。
同時に症状の現れ方(病歴:びょうれき)やもともとお持ちの持病(既往歴:きおうれき)などを確認し、必要があれば脳波検査などを追加で行い、似たような症状が出る病気(低血糖、てんかんや片頭痛)などを除外します。
心原性脳塞栓症に限らず、脳梗塞の診断はスピードが命です。
病院に着いたら10分以内で病歴の聞き取りと診察を、25分以内に画像の撮像を、そして45分以内に診断をつけることが理想的とされています。

心原性脳塞栓症の治療

心原性脳塞栓症の治療は、発症間もない時期(発症早期・急性期)とある程度病状が落ち着いた時期(慢性期)分けることができます。

心原性脳塞栓症の急性期の治療

心原性脳塞栓症の急性期の治療の目的は、血栓を溶かして血の流れを回復すること、そして脳梗塞の拡大や再発を防ぐことです。
発症後4.5時間以内であれば、血栓を溶かす効果の高い薬(血栓溶解剤:rt-PA)が使用できます。
発症後、血栓溶解剤の使用が早ければ早いほど、予後が良いとされています。
高い効果を持つ薬ですが、頭蓋内出血などの合併症の確率も高いことがわかっていますので、直近で手術を受けた人、血糖値が高すぎる人など、治療の適応とならない方が一定数おられます。
また、最近ではカテーテルによって血栓の近くで薬を流す局所線溶療法をはじめ、血栓回収療法・機械的血栓破砕療法などが積極的に行われるようになってきました。
これらの治療は、発症後遅くとも24時間以内の実施が必要です。
これら2つの治療の適応にならない場合、また治療の後には脳梗塞の範囲を可能な限り小さくするための薬物療法が行われます。
また、後遺症をできるだけ少なくし機能を維持するためには、状態が落ち着いた段階でできるだけ早くリハビリテーションを行うことが重要となります。

心原性脳塞栓症の慢性期の治療

心原性脳塞栓症の慢性期の治療の目的は、脳梗塞の再発予防です。
血液を固まりにくくして血栓ができないように、抗凝固薬を内服します。
また心房細動に対しては、適応があれば「カテーテルアブレーション(心筋焼灼術)」を行います。
カテーテルアブレーションとは、心房細動を起こす心臓内の異常な電気回路をカテーテルで焼き切る治療方法であり、心房細動の根治治療として注目を集めています。
また、脳梗塞になりやすい生活習慣とそれに伴う生活習慣病の管理も重要です。
脳梗塞になりやすい生活習慣とは、喫煙、過度の飲酒、肥満です。
元々タバコを吸っている人は禁煙を強くお勧めします。
過度の飲酒は脱水の原因となり、血栓ができやすい状況を作りますので、お酒は適量を守りましょう。
運動は、肥満の方に限らず生活習慣病の管理にも役立ちます。
麻痺などの後遺症がある場合でも、できる範囲で身体を動かすことが大切です。
高血圧、脂質異常症、糖尿病の方は脳梗塞になりやすいことがわかっているため、これらの病気については薬物療法を含めた厳重な管理を行います。

心原性脳塞栓症に対する再生医療

「再生医療リハビリTM」は、再生医療とリハビリテーションを組み合わせることで機能の回復を図る方法です。
再生医療により自分で治す力を高め、リハビリを行う前の下地を作リます。

まとめ

以上、心原性脳塞栓症について簡単にまとめました。
心原性脳塞栓症は脳梗塞の範囲が大きく、重大な後遺症が残る可能性の高い病気ですが、発症後早期から適切な治療を受けることで梗塞範囲を少しでも小さくすることがあります。
そして後遺症で失われた機能に関しては、再生医療とリハビリテーションの組み合わせである「神経再生医療リハビリTM」によって少しでも機能を回復する可能性があります。
心原性脳塞栓症を疑う症状が突然出た場合は、一刻も早く救急車を呼んで病院を受診しましょう。
「神経再生医療リハビリTM」ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

Q&A

心原性脳塞栓症の原因は?
心原性脳塞栓症の原因のほとんどは、心房細動という不整脈です。
本来は規則正しくリズムを打つ心房が細かく震えてしまうことにより起こる不整脈ですが、心房が細かく震えることで心房内の血液が澱んでしまい血栓ができてしまいます。
女性よりは男性の方が多く、その大半は自覚症状もないことがあり、心房細動患者のおよそ半数の方は症状がないようです。

心原性脳塞栓症の後遺症は?
脳梗塞の主な後遺症としては、片麻痺や認知機能障害、失語、失認、感覚障害などがあります。
心原性脳塞栓症は、その他の脳梗塞に比べて重い後遺症が残る確率が高いです。
病院を退院する時点で日常生活に介助が必要となる割合は44.8%と、ほぼ半数の方が何らかの重い後遺症を抱えています。

<参照元>
e-ヘルスネット 心原性脳梗塞
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-081.html
今日の臨床サポート 脳梗塞
https://clinicalsup.jp/jpoc/ContentPage.aspx?DiseaseID=91#GUIDELINE
脳卒中ラボ 脳卒中の分類を再確認しましょう
https://stroke-lab.net/apoplexy/let-us-review-the-classification-of-stroke/
心原性脳塞栓症の治療と予防の最前線
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/106/3/106_490/_pdf
きんもくせい 心臓病が脳梗塞の原因に?「心原性脳塞栓症」
https://www.chutoen-hp.shizuoka.jp/media/kinmokusei20223.pdf
日本循環器学会/日本不整脈心電学会合同ガイドライン 2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/01/JCS2020_Ono.pdf
Toyoda K, Yoshiyama S, Nakai M, et al.Twenty-Year Change in Severity and Outcome of Ischemic and Hemorrhagic Strokes. JAMA Neurol. 2022;79(1):61-69. doi:10.1001/jamaneurol.2021.4346
https://n.neurology.org/content/early/2022/03/08/WNL.0000000000200153
脳梗塞慢性期の治療 (1)危険因子の管理と再発予防
https://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/useful/doctorsalon/upload_docs/200564-2-48.pdf


あわせて読みたい記事:納豆が脳梗塞リスクを上げる!?

貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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