この記事を読んでわかること
・脳卒中におけるリハビリについて
・脳卒中のリハビリをどこで行うか?
・回復期リハビリテーション病棟・病院にかかる費用
脳卒中後、急性期からリハビリに取り組むことは、失われた機能を再獲得するためにも重要です。
急性期を脱して全身の状態が落ち着くと、回復期病棟でリハビリテーションが継続されます。
必要となる費用は、提供されるリハビリテーションの体制によって異なりますが、リハビリを受ける方の年齢や収入等に応じて負担額も異なります。
しかし高額医療費の制度を利用すると、負担は軽減されます。
脳卒中とは?
脳卒中は脳血管障害とも呼ばれ、さまざまな原因により脳への血流が遮断されたときに起こります。
これにより、脳の細胞は血液から酸素と栄養を得ることができなくなります。
酸素と栄養素がなければ、脳細胞は数分以内に壊死が始まります。
また、突然の脳内出血で脳細胞が傷つくと、脳卒中になることがあります。
脳卒中は、医学的な緊急事態であり、脳に永続的な損傷を与え、長期的な障害、あるいは死をもたらすこともあります。
脳卒中の兆候は、軽い脱力感から、顔や体の片側の麻痺やしびれまで様々です。
その他の兆候としては、突然の激しい頭痛、突然の脱力感、視力障害、会話や言葉の理解障害などがあります。
脳卒中におけるリハビリ
脳卒中のリハビリテーションは、脳卒中後に失われた能力を再び獲得するために考えられた、さまざまな治療法のプログラムです。
脳卒中によって影響を受けた脳の部位に応じて、リハビリテーションは動作、言語、筋力、日常生活技能の向上などを目指して行われます。
脳卒中のリハビリテーションは、自立した生活を取り戻し、生活の質を向上させるために役立ちます。
脳卒中からの回復を助けるために、さまざまなアプローチがあります。
しかし全体として、リハビリは特に集中して反復した運動、つまり同じことを何度も練習することが中心となります。
リハビリテーションの計画は、脳卒中によって影響を受けた体の部位や能力の種類によって異なります。
脳卒中のリハビリの期間
脳卒中のリハビリは、早く始めれば始めるほど、失った能力や技術を取り戻せる可能性が高くなります。
脳卒中後のリハビリは、入院してから24時間から48時間以内に開始するのが一般的です。
脳卒中のリハビリが必要な期間は、脳卒中の重症度や関連する合併症によって異なります。
脳卒中の患者さんの中には、すぐに回復される方もいます。
しかし、ほとんどの場合、何らかの長期的なリハビリテーションが必要です。
これは、脳卒中発症後、数ヶ月から数年間続く可能性があります。
脳卒中のリハビリをどこで行うか?
脳卒中のリハビリは、通常は入院中に開始されます。
急性期を乗り越え、治療を終了したにもかかわらず、麻痺や会話ができないなどの障害が残り、日常生活を送ることができない場合、回復期のリハビリを病棟で継続することがあります。
これは回復期リハビリ病棟に転棟、転院して行われます。
なお回復期リハビリ病棟は、状態に応じて入院できる期間が決まっています。
脳卒中後であれば、180日までリハビリ病棟での入院が可能です。
訓練によって日常生活の動作を獲得し、自立して生活できるようになれば、退院が近づきます。
具体的な退院日は、主治医が判断することになります。
ただ状態によっては、退院後も外来等でリハビリを継続することがあります。
回復期リハビリテーション病棟・病院にかかる費用
では、回復期リハビリテーション病棟に入院した際の費用について、ご説明します。
入院にかかる費用は、医療費、居住費、室料差額などで決まります。
また健康保険を用いて支払いをするのか、自費でリハビリを受けるのかでも、費用に違いが生じます。
一般的には健康保険を利用しますが、その場合は、年齢、収入などに応じて負担する額の割合や月当たりの負担額の上限が定められています。例えば、75歳以上であれば、通常は後期高齢者として1割負担となりますが、75歳以上でも現役並みの所得があれば、負担は3割となります。
しかし、高額医療費制度を利用すると、自己負担額に上限が設けられ、実際に支払う額は抑えられます。
なお病院側のリハビリテーションを提供できる体制によって、リハビリテーション料にも違いがあります。
十分な医師や理学療法士・作業療法士が在籍していると、それだけ密にリハビリを受けることができますので、リハビリテーション料は高くなります。
これらの情報をもとに、少し実例をご紹介します。
回復期病棟では、通常一日に数時間程度のリハビリが必要になりますが、これはリハビリ単位にすると6〜9単位に相当します。
リハビリを提供する体制が中程度であるリハビリテーション料(Ⅱ)であれば、1単位当たり2,000円になるので、6〜9単位であれば1日のリハビリの料金は12,000〜18,000円になります。
これを3ヶ月(90日)続けた場合、総額は108万から162万円になります。
もし75歳以上の方がこのようなリハビリを受けた場合、総額の1割が本人の負担額になりますので、窓口での負担は総額で10.8万円〜16.2万円となります。
ただし75歳以上でも現役並みの収入があれば、負担額は3割になり、32.4万円〜48.6万円の支払いとなります。
このほかにも居住費、食事負担額などが所得や年齢に応じて定められています。
また保険適応外の費用として個室利用料、病衣レンタル料なども必要に応じて支払うことになります。
実際の費用は必要とするリハビリ等によって差がありますが、後期高齢者であり、現役並みの収入がある場合は収入額に応じて15〜30万円程度、低所得であれば5万円程度が月当たりの費用となります。
しかし高額医療費を申請すると、自己負担の上限額に応じて差額が支給されます。
また上限額に達する回数が12ヶ月以内で3回以上ある場合、多数回該当としてさらに上限額が下がります。
さらには同一世帯で同じ健康保険に加入されている場合、世帯合算という制度もありますので、より負担が軽減されます。
まとめ
リハビリテーションのために入院する際に必要となる費用についてご説明しました。
特に高額医療費等の支給を受ける場合は、地域の役所や入院した施設のソーシャルワーカーに確認しておくことをお勧めいたします。
少しでも負担を軽くするため、このような制度の活用をご検討ください。
よくあるご質問
リハビリ病院いつまでいれる?
復期リハビリテーション病棟は脳血管障害、脊髄損傷の場合は150日(高次脳機能障害を伴う脳血管障害や重症脊髄損傷の場合は180日)、大腿骨や骨盤などの骨折後は最大90日の入院が可能です。リハビリ病院でも一般病床に入院する場合はこの上限はなくなります。
あわせて読みたい記事:おすすめリハビリテーション病院と回復期の入院費用
外部サイトの関連記事:回復期リハビリテーション患者様のための基礎知識
コメント