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尿失禁のタイプ別症状及び治療法

           

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この記事を読んでわかること

尿失禁とは
尿失禁の原因
尿失禁の症状


膀胱のコントロールができなくなる尿失禁は、咳やくしゃみをしたときに尿が漏れるタイプ、突然強い尿意を催しトイレに間に合わなくなるタイプまで、その原因は様々です。
加齢に伴い起こりやすくなりますが、日常生活に影響を及ぼす場合は、医療機関の受診が適切です。
ただし多くは生活習慣や食生活の改善、または適切な治療によって改善します。

尿失禁とは

尿もれが心配
尿失禁は、自分の意志とは関係なく尿を漏らしてしまうことです。
膀胱に圧力がかかった時、例えば咳をした時や笑った時に尿が漏れてしまう腹圧性尿失禁、突然の強い尿意を感じたとき、またはその直後に尿が漏れる切迫性尿失禁、膀胱を完全に空にすることができず、尿が溢れるように漏れてしまう溢流性尿失禁、排尿機能に異常はないものの身体機能や認知機能の低下に伴う機能性尿失禁に分けられます。

尿失禁の原因

尿失禁は、日常的な習慣や基礎疾患、身体的な問題によって起こることがあります。
その例をいくつかご紹介します。

妊娠・出産

ホルモンの変化や胎児の体重が増加することにより、腹圧性尿失禁になることがあります。
また経腟分娩を経験すると、膀胱の活動に必要な筋肉の力が弱まり、骨盤底が下がることがあります。
その結果、膀胱、子宮、直腸、小腸などが通常の位置から押し下げられ、膣内に突出することがあります。
このように臓器が突出した結果、尿失禁を伴うことがあります。

加齢による変化

膀胱の筋肉が老化すると、膀胱の尿をためる能力が低下します。
また意図しない膀胱の収縮は、年をとるにつれてより頻繁に起こるようになります。

更年期

閉経後、女性はエストロゲンというホルモンの分泌量が減り、膀胱や尿道の粘膜を健康に保つ働きが低下します。
これらの組織の劣化は、尿失禁を悪化させる可能性があります。

前立腺肥大・前立腺がん

特に高齢の男性では、前立腺が肥大することで排尿が容易にできなくなり、尿失禁がよくみられます。
また腹圧性尿失禁や切迫性尿失禁は、未治療の前立腺がんと関連していることもあります。

神経疾患

多発性硬化症、パーキンソン病、脳卒中、脳腫瘍、脊髄損傷は、膀胱のコントロールに関わる神経信号を阻害し、尿失禁を引き起こす可能性があります。

尿失禁の症状

尿失禁の種類に応じ、以下のような症状があります。

腹圧性尿失禁

咳やくしゃみ、笑う、重いものを持ち上げるなどして、お腹に力を入れることで膀胱に圧力がかかり尿がもれる

切迫性尿失禁

突然の激しい尿意があり、その後、無意識のうちに尿が漏れてしまう状態です。
過活動性膀胱では、夜間も含め、頻繁に尿意を催すことがあります。
切迫性尿失禁は、膀胱炎、神経障害や糖尿病なども原因となります。

溢流性尿失禁

前立腺肥大などにより膀胱の出口が塞がっていることが理由となり、膀胱が完全に空にならないため、頻繁に尿が漏れる状態です。

機能性尿失禁

身体的または精神的な障害により、トイレに間に合わなくなることです。
例えば認知症や脳梗塞後では、ズボンのボタンを素早く外すことができないことがあります。

尿失禁の発症リスク要因

尿失禁の発症リスク要因には、以下のようなものがあります。

性別

一般的に女性の方が、腹圧性尿失禁になりやすいと言われています。
それは妊娠、出産、更年期を経験すること、また女性の解剖学的構造によって説明されます。
ただし前立腺に問題がある男性では、切迫性尿失禁や過流性尿失禁のリスクが高くなります。

年齢

年を取るにつれて、膀胱と尿道の筋肉はその強度を失います。
加齢により膀胱が尿を保持できる量が減少し、意識しないのに尿がでる可能性が高まります。

太り過ぎ

体重が増えると、膀胱や周囲の筋肉にかかる圧力が高くなり、筋肉が弱くなって、咳やくしゃみをしたときに尿が漏れてしまうことがあります。

尿失禁の診断

尿失禁の種類を特定することは重要です。
症状からどのタイプであるかがわかり、治療方針を決める判断材料となります。
医師はまず、徹底的な病歴聴取と身体診察を行います。
その他、尿検査、排尿後の尿残量測定、また骨盤内超音波検査、膀胱・尿道内圧検査など、より踏み込んだ検査をすることもあります。
またバッドをつけて漏れ出た尿量を計測することで、失禁の重症度を調べることもあります。

尿失禁の治療

尿失禁は、失禁のタイプや重症度、根本的な原因によって治療法は異なります。
まず侵襲性の低い治療法を推奨し、効果が得られない場合は、他の選択肢に移行します。

膀胱訓練

尿意を感じてから排尿を遅らせる訓練をします。
尿意を感じるたびに10分間我慢することから始めるとよいでしょう。
目標は、トイレに行く間隔を長くして、2時間半から3時間半に1回しか排尿しないようにすることです。

水分・食事・排尿管理

膀胱のコントロールを取り戻すために、水分・食事管理を行います。
アルコールやカフェインを控える必要があるかもしれません。
水分の摂取量を減らし、体重を減らすことによっても、問題を緩和することができます。
また排尿後、数分待ってからもう一度排尿して膀胱を完全に空っぽにし、排尿を管理することで溢流性尿失禁を防ぐ方法もあります。

骨盤底筋のエクササイズ

排尿をコントロールする筋肉を強化するために、骨盤底筋を鍛えるエクササイズを行うこともあります。
特に腹圧性尿失禁に効果的ですが、切迫性尿失禁にも効果があります。
骨盤底筋のエクササイズでは、尿の流れを止めることをイメージします。
尿を止めるときに使う筋肉を締め(収縮)、5秒間保持し、その後5秒間リラックスさせます。
一度に10秒間収縮を維持できるようになるまで努力します。
10回を1セットとして、毎日3セット以上を目安に行います。

薬物療法

失禁の治療によく使用される薬物には、以下のものがあります。

抗コリン薬

抗コリン薬は、過活動膀胱を鎮めることができ、切迫性尿失禁に役立つ場合があります。

β3受容体作動薬

切迫性尿失禁の治療に使用されるこのβ3受容体作動薬は、膀胱の筋肉を弛緩させ、膀胱が保持できる尿の量を増加させ、一度に排尿できる量を増やします。

電気刺激

直腸や膣に電極を一時的に挿入し、骨盤底筋を刺激して強化します。
穏やかな電気刺激は、腹圧性尿失禁や切迫性尿失禁に効果的ですが、数か月間にわたって複数回の治療が必要になる場合があります。

手術方法

他の治療法がうまくいかない場合、外科的処置によって尿失禁の原因となる問題を治療することができます。

まとめ

尿失禁について、タイプ別分類や治療法について解説しました。
脊髄損傷や脳障害に伴うこともある尿失禁ですが、これらが原因となっているときは、原因を治療すること、つまり再生医療によって脊髄損傷や脳障害で失った機能を回復させることが尿失禁の改善につながります。
再生医療は、まさに期待できる治療となりうると言えるでしょう。

<参考サイト>
日本泌尿器学会:https://www.urol.or.jp/public/symptom/04.html
NHS:https://www.nhs.uk/conditions/urinary-incontinence/

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
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