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アテローム血栓性脳梗塞の機序や症状と治療法

           

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この記事を読んでわかること

アテローム血栓性脳梗塞の発生機序
アテローム血栓性脳梗塞の危険因子
アテローム血栓性脳梗塞の急性期の治療方法


アテローム血栓性脳梗塞は、脳へ血液を供給する動脈が、動脈硬化で閉塞してしまったためにできる脳梗塞の一種です。
特に太い血管に生じるため、梗塞は広範囲の脳細胞の影響を与え、はっきりした症状が出ることが一般的です。
血栓溶解療法が急性期に有効な場合があります。
再生医療も回復期の治療の選択肢のひとつとして期待されています。

アテローム血栓性脳梗塞の発生機序

アテローム血栓性脳梗塞
健康な動脈は柔軟で弾力性がありますが、時間が経つと動脈の壁が硬くなり、動脈硬化と呼ばれる状態になります。
動脈硬化は、心臓から全身に酸素や栄養を運ぶ血管である動脈が硬くなることであり、その結果臓器や組織への血流を制限してしまいます。
特にアテローム、別名粥状硬化は、動脈壁の内腔を覆う内膜に高血圧などが原因で傷がつくことから始まります。
傷がつくと血液内の脂肪、コレステロール、その他の物質がドロドロしたアテローム(粥状物質)として蓄積されます。
この蓄積はプラークと呼ばれます。
プラークは、動脈の内腔を狭め、血流を妨げます。
傷がついた血管壁には、また傷を修復するために血液凝固作用を持つ血小板が付着し、さらに内腔が狭くなって肥厚します。
また、プラークが血管から剥がれしまい、その結果、血栓ができることもあります。
脳損傷の程度は、虚血の重症度によって異なります。
軽度の場合、損傷はゆっくりと進行します。
したがって、脳内の血管の灌流が正常の40%であっても、脳組織が完全に失われるまでに3~6時間経過することがあります。
しかし重度の虚血が15〜30分以上続くと、影響を受けた組織はすべて死んでしまうと考えられています。

アテローム血栓性脳梗塞の危険因子

アテローム血栓性脳梗塞のリスク上昇に寄与する危険因子には、高血圧症喫煙脂質異常症糖尿病腹部肥満(いわゆるメタボ体型)、過度のアルコール摂取心理社会的ストレス、そして運動不足などがあります。

アテローム血栓性脳梗塞の症状や徴候

アテローム血栓性脳梗塞の症状や徴候は、血栓の閉塞による影響を受けた脳の部位によって異なります。
アテローム血栓性脳梗塞は、脳内に血流を提供する比較的太い血管に生じるので、発症時の症状は片側の麻痺や神経障害など、比較的わかりやすいことが多いです。
またアテローム血栓性脳梗塞では、障害がゆっくりと、通常は24~48時間かけて進行します。
なお発症後48時間から72時間における症状悪化、特に意識障害の進行は、梗塞の進展よりも脳浮腫によるものが多いと言われています。

アテローム血栓性脳梗塞の治療方法

アテローム血栓性脳梗塞の治療には、主に急性期の治療、そして回復期、あるいは慢性期の治療があります。

アテローム血栓性脳梗塞の急性期の治療方法

急性期には、まず血栓によって閉塞してしまった血管を再開通させることで、死滅する脳細胞の範囲を可能な限り最小限にすることが、治療の目的です。
急性期治療で主役となるのは、tPAと呼ばれる、遺伝子組換え組織プラスミノーゲンアクチベーターです。
tPAは、禁忌がなければ、症状発現後3〜4.5時間までの脳梗塞患者に使用できるものです。
そして適切にtPA治療を受けた患者は、神経学的機能が回復する可能性が高くなります。
ただしtPAは致命的な脳出血などを引き起こす可能性があるため、使用前の評価が重要です。tPAの投与が不適切であると、tPAによる脳出血のリスクが高くなってしまうからです。
評価に伴い、血圧の管理なども厳重に行われます。
なお血栓の除去には、tPAのほかに機械的血栓除去術もあります。
血管造影を利用して、動脈内にできている血栓または塞栓を特別な装置を用いて除去する試みも実施されています。
さらに脳梗塞急性期治療には、経口抗血小板薬が使用されます。
脳梗塞発症後48時間以内であれば、アスピリンを投与します。
アスピリンが48時間以内に投与されると、脳梗塞の早期再発および死亡のリスクが低減します。
なお特に大きな梗塞では出血のリスクが高いので、通常急性期には抗凝固療法は行いません。

アテローム血栓性脳梗塞の長期的治療

回復期には、再発の予防と残された機能の回復を目指す、リハビリを中心とした支持療法を継続します。
再発予防には、高血圧や血糖の管理、高脂血症の治療、減量や禁煙などが含まれます。
ただし飲食や経口薬の投与を始める前に、リハビリの専門家によって嚥下障害の評価を行うことで、誤嚥のリスクが高い患者を特定することができます。
また頸部の動脈硬化が進んでいる場合、再発を予防するためにステント留置術を行うこともあります。
実際にこのような処置には、厳密に適応が検討されており、確実な治療効果が望める場合に限定して処置を行なっています。

アテローム血栓性脳梗塞と再生医療

アテローム血栓性脳梗塞に対しても、再生医療は効果が期待できます。
自己幹細胞を用いることで、失った機能が回復したり、リハビリの効果を高めたりすることがわかってきています。
また再生させるのは神経細胞だけではなく、血管も同様です。
動脈硬化の進んだ血管の再生も期待でき、結果的にアテローム血栓性脳梗塞の再発予防にもなっています。

まとめ

アテローム血栓性脳梗塞について、その機序や症状、治療法についてご説明しました。
比較的よくみられる脳梗塞ではありますが、広い範囲の梗塞を起こすために大きな障害を残すことがあります。
ただ再生医療は、アテローム血栓性脳梗塞に対しても効果が期待ができますので後遺症に悩む方はご相談ください。

よくあるご質問

アテローム血栓性脳梗塞の特徴は?
アテロームは比較的太い血管に形成されるため、アテローム血栓性脳梗塞では血液が乏しくなる範囲が広く症状が多彩、または重くなることがあります。

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    PROFILEこの記事の監修
    貴宝院 永稔
    貴宝院 永稔 医師
    (大阪医科薬科大学卒業)
    • 脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
    • 日本リハビリテーション医学会認定専門医
    • 日本リハビリテーション医学会認定指導医
    • 日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
    • ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

    私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
    リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
    このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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