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生あくびとは?生あくびと脳出血の警告サイン

           

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この記事を読んでわかること

あくびと脳出血の関係
脳出血とあくび
眠気と脳出血


まだその発生機序がよくわかっていないあくびや眠気ですが、過度のあくびや眠気は、脳出血の前兆として発生することがあります。
特に視床下部や脳幹部が障害を受けると、眠気が誘発されることがあります。
脳出血後の回復期に入ってからも、睡眠周期が障害されてしまうことがあり、脳出血とあくびや眠気は密接に関係していると考えられています。

生あくびと脳出血の関係

脳出血を起こす人のなかに、いわゆる「生あくび」とよばれる、奇妙なあくびを繰り返す人がおられます。
脳出血の前兆とも思われる、このあくびはなぜ起こるのでしょうか?

あくびが起こる理由

あくびが起こる理由を説明する仮説には、生理的な原因によるという仮説だけでなく、周囲に対して眠気を訴えるコミュニケーション手段との仮説もあります。
ただし、あくびが起こる真の理由について、まだ結論は出ていません。
また、あくびに関与する解剖学的構造もまだ解明されていません。
しかし最近では、fMRIと呼ばれる脳の活動を画像で評価する方法により、脳幹、前頭前野、皮質下領域など、異なる脳内の部位がそれぞれ関与している可能性があることが示唆されています。

このようにまだわからないことの多いあくびですが、あくびをする理由を説明する仮説をひとつご紹介します。
あくびは、吸気とともに顎が大きく開き、短時間に筋収縮がピークに達し、短い呼気とともに顎が受動的に閉じる、一連の動きを特徴としています。
この動作パターンから生じる局所的な循環の変化により、あくびが脳を冷却することを目的にしているのではないかという仮説があります。

あくびをすると頭蓋内への血流が増加し、それに合わせて頭部からの静脈還流が促進されますが、あくびの際の深い吸気により、鼻と口腔の開口部から内頸動脈を囲む海綿静脈洞に流出する静脈血の温度が低下します。

これらのプロセスは、高熱の血液を脳から取り除く一方で、温度の低い動脈血を脳に流入させる、ラジエーターのように作用していることになります。
このように脳を冷却させることで覚醒させることが、あくびの目的と推察されています。
このほかにも、ドーパミンやオキシトシンなどの神経伝達物質や脳内ホルモンの、あくびと関係していると考えられています。

脳出血とあくび

発生する理由がまだよくわかっていないあくびですが、脳出血の前兆として頻回にあくびをすることが知られています。
しかもあくびは脳出血だけに限らず、脳梗塞でも発生することがあります。
つまり脳卒中全般でみられることがあります。

脳出血が起こる前兆として頻回にあくびが起こる理由には、脳幹部や大脳皮質の一部の領域に十分な血流が行き渡らないこと、あるいは頭蓋内圧亢進や脳ヘルニアの影響によることが考えられています。
これは、脳の血液供給が減少することで、酸素不足が引き起こされるためです。
しかし残念ながら、両者の関係についても、まだ完全には解明されていません。

なお、脳出血の患者さんにおける頻繁なあくびや異常なあくびは、脳損傷に伴う体温調節機能障害の結果である可能性も指摘されています。
特に過剰なあくびは、脳の温度を上昇させるための症状である可能性があるとも考えられています。
脳出血初期に生あくびが頻繁に起こる場合、脳の深刻な問題が隠れている可能性があるため、すぐに医師の診断を受けることが推奨されます。

眠気と脳出血

あくびだけでなく、脳出血を起こしたときには前兆として異様な眠気に襲われることがあります。
続いて、眠気と脳出血の関係についてご説明します。

眠気の調節

わたしたちの眠気、つまり睡眠は脳内で調節されています。
睡眠を誘導する睡眠中枢は、視床下部の前方にある視索前野にあるとされています。
これに対し脳幹の脳幹網様体や視床下部には、覚醒中枢があると考えられています。

これらの調節部位に脳内ホルモンやアデノシンと呼ばれる体内のエネルギー源などが作用し、眠気を誘導しています。
脳内の視床下部や脳幹部に、睡眠や覚醒を調節する中枢が存在していることは、はっきりとしています。
しかしその調節は単純ではなく、まだまだわかっていない複雑な要素が関係して、わたしたちの睡眠は調節されています。

眠気と脳出血

睡眠と覚醒は脳内の視床下部や脳幹で調節されていますので、これらの部位に脳出血により障害が加わると、覚醒状態が維持できなくなり、異常な眠気に襲われることが起こりえます。
突然眠気に襲われて、そのまま脳出血が発症することもありますが、通常は手足の麻痺や言葉が話しにくいなどの症状も同時に認められます。
したがって、急な眠気を訴える人がいたら、同時に麻痺などの症状がないかを確認することが大切です。
なお、脳出血の急性期を乗り越えて回復期に入った方のなかには、睡眠障害を訴える方がおられます。
特に睡眠周期がうまく調節できず、そのために昼間に眠って夜間覚醒してしまう、昼夜逆転状態になってしまう方もおられます。

脳出血とあくびや眠気の関係のまとめ

脳出血とあくびや眠気との関係を説明しました。
あくびや眠気が生じる機序は完全に解明されていないとはいえ、現実的に脳出血の前兆として異常なあくびや眠気を認める方はおられます。
もし周囲にいる人に異常なあくびや眠気が生じたら、軽く考えないで麻痺の有無を確認しましょう。
もし異常を感じたら、できるだけ急いで救急車を呼びましょう。

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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