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浮動性めまいの背後にある脳神経障害とは?

           

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この記事を読んでわかること

小脳や脳幹の障害によって起こるめまいは、生命に関わる脳血管障害が原因であることがわかる。
中枢性めまいは浮動感が特徴で、回転性めまいとの違いや神経症状の有無で見分けられることがわかる。
吐き気や感覚障害、構音障害などを伴う場合は脳梗塞や脳出血の可能性があり、早急な検査・治療が必要なことがわかる。


小脳や脳幹の障害が原因で起こるめまいは、脳梗塞や脳出血などの命に関わる疾患の初期症状であることがあります。
一見、耳の異常と似たような症状でも、神経障害を伴う場合は注意が必要です。
本記事では、中枢性めまいの特徴や浮動性・回転性めまいの違い、伴いやすい症状、診断・治療の流れ、早期受診の目安についてもわかりやすく解説します。

小脳や脳幹の障害が引き起こすめまいのメカニズム

めまいの原因のうち、小脳や脳幹などの出血や梗塞といった脳血管の障害によるものの割合は4%程度と稀ではあります。
しかし、こうした脳血管障害によるめまいは致命的となることもあるので、見逃してはならない「危険なめまい」です。

まずは小脳や脳幹の障害が引き起こすめまいのメカニズムについてご説明します。
めまいが症状の主たるものになる脳血管障害の病変部位は、ほとんどの場合、脳幹または小脳です。
人間の耳の奥には、半規管や耳石器という、平衡感覚を司る部分があります。
そして、それらからの感覚情報は、脳幹にある前庭神経核と言う部分に入力されます。
脳幹には、前庭神経核由来の神経経路だけでなく、眼球運動や手足の運動、感覚を担う神経経路も走行しています。
これらは一部が重なり合って塊のように存在しています。
故に、脳幹や小脳で、血管障害が起こるとめまいが起こってしまうのです。
そのため、脳幹に出血や梗塞などの血管障害が起こると、めまいだけでなく、同時に目の動きや手足、顔面などの運動麻痺や感覚障害が同時に起こることが多いです。
一方で、小脳は前庭神経核を主として、抑制的に働き、バランス維持機能の調整を行っています。
脳幹とは違って、小脳の血管障害の場合には、麻痺や感覚障害は起りづらいと言われています。
しかし、小脳の上部が障害を受けると、めまいに伴って、言葉の話しづらさや手足の小脳性運動失調が出現する場合もあります。

脳梗塞や脳出血による浮動性めまいの特徴

脳梗塞や脳出血といった脳血管障害などによるめまいは中枢性めまいといいます。
めまいには、自分が周りが回っているような感覚や、周囲の上下または左右に移動する感覚を指す回転性めまいと、船に乗った感じや地面が浮動する感じの浮動性めまいがあります。
中枢性めまいは、多くは非回転性めまい、つまり浮動性のめまいであると言われています。
しかし、中枢性めまいであっても回転性めまいをきたす場合もあるので、注意が必要です。
めまいの起こり方と経過については、以下のような特徴があります。

  • 長期にわたって持続する軽いめまいは腫瘍や変性疾患が多い
  • 一過性発作性のめまいは脳血管障害に多い

また、明るいところ、暗いところを問わず、強い平衡感覚の喪失感があれば中枢性めまいの疑いが強まります。
中枢性のめまいの場合は、耳鳴りや難聴は伴わないことが多いです。
中枢性の疾患の場合は、糖尿病や高血圧、心疾患の合併している方も多く見られます。

神経障害に伴うその他の症状とその対処法

神経障害に伴うその他の症状とその対処法
中枢性のめまいの場合は、様々な神経性の症状が現れることがあります。
例えば、めまいがそれほど強くないのにもかかわらず、吐き気や嘔吐が強く見られる場合、意識消失、痙攣、強い頭痛、知覚障害、構音障害、嚥下障害、複視、視野異常などの症状がある場合は、まず中枢性の疾患が疑われます。
対処法としては、まずは救急外来や脳神経外科、外来などの早急な受診が勧められます。
脳血管障害の危険因子があり、こうしためまい以外の神経症状を伴う急性めまいを発症した場合には、第一に脳血管障害を疑うべきです。
診断の遅れが命の危険につながることもあるので、脳梗塞などの病気が疑われる場合には、画像検査が行われます。
原因となっている場所は脳幹が多いです。
そのため、可能であれば、MRIが優先されます。
治療としては、原因となっている脳梗塞や脳出血の治療が優先されます。
めまいの原因が脳梗塞である場合は、アルガトロバンなどの抗凝固療法やアスピリンなどの抗血小板療法が必要になります。
めまいの原因が出血の場合には、降圧薬や止血薬の投与を行います。
出血部位が小脳の場合は、血の塊(血腫)が大きくなり、脳幹を圧迫することがあるので、手術が必要になることもあります。
めまいに対しては、吐き気を抑える薬や抗ヒスタミン薬が中心となります。
これは耳鼻科的なめまいの際と同様です。

まとめ

今回の記事では、浮動性めまいの原因や特徴、そして対処法について解説しました。
浮動性めまいと回転性めまいは、前者では脳血管障害など、後者は三半規管などの耳鼻科的な構造の問題であることが典型的です。
しかし中には症状だけでは判別がつかないことや、回転性めまいであっても、脳梗塞や脳出血であると言う場合もあります。
今回ご紹介したように、めまい以外に手足の麻痺などの神経症状がある場合には、早急に脳神経外科外来等の受診をお勧めします。
しかしながら、めまいが長引くあるいは症状が強い、初めてのめまいだったなどの場合には、医療機関の受診をしましょう。
脳梗塞や脳卒中であった場合、手足の麻痺などの後遺症が残ってしまう場合もあります。
そうした後遺症に対してはリハビリテーションが重要となります。
ニューロテックなどではリハビリテーションに再生医療を組み合わせた治療を提供しています。
ご興味のある方は、ぜひ公式ホームページをご確認ください。

よくあるご質問

浮動性めまいの原因は?
浮動性めまいは、小脳や脳幹など中枢神経の異常が原因となることがあります。
ふわふわと足元が不安定になり、バランスを崩しやすいのが特徴です。
耳の病気によるめまいとは異なり、神経症状を伴うこともあります。

脳梗塞の前兆としてめまいは?
脳梗塞の前兆として、突然ふらついたり、浮くような感覚のめまいが起こることがあります。
特に、手足のしびれ、顔のゆがみ、ろれつが回らないなどの症状が同時に見られる場合は、脳梗塞の可能性が高く、早急な受診が必要です。

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    <参照元>
    1:脳血管障害によるめまい.日大医誌.2019;78(2):79-82.:https://www.jstage.jst.go.jp/article/numa/78/2/78_79/_pdf
    2:9.めまいに関連する脳梗塞・脳出血 Vertigo and Dizziness Due to Cerebrovascular Disease.Equilibrium Res.2023;82(6):509-518.:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jser/82/6/82_509/_pdf/-char/ja
    3:脳幹・小脳の血管障害によるめまい.臨床神経.2011;51:1092-1095.:https://www.jstage.jst.go.jp/article/clinicalneurol/51/11/51_11_1092/_pdf
    ・めまいの診断と治療.日耳鼻.2019;122:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/122/6/122_910/_pdf

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    PROFILEこの記事の監修
    貴宝院 永稔
    貴宝院 永稔 医師
    (大阪医科薬科大学卒業)
    • 脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
    • 日本リハビリテーション医学会認定専門医
    • 日本リハビリテーション医学会認定指導医
    • 日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
    • ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

    私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
    リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
    このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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