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脊髄髄膜瘤・脊髄脂肪腫とは?特徴と合併症を詳しく解説

           

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この記事を読んでわかること

脊髄髄膜瘤・脊髄脂肪腫の病態がわかる
脊髄髄膜瘤・脊髄脂肪腫によくある合併症がわかる
脊髄髄膜瘤・脊髄脂肪腫に対する早期治療の重要性がわかる


脊髄髄膜瘤・脊髄脂肪腫とは、どちらも胎児期に生じる先天異常であり、脊髄がうまく保護されなくなることでさまざまな神経症状をきたす病気です。
麻痺やしびれ、排泄障害などさまざまな合併症をきたすため、早期発見・早期治療が重要な疾患です。
そこでこの記事では、脊髄髄膜瘤・脊髄脂肪腫の特徴と合併症について詳しく解説します。

発生機序と出生時診断の重要性

発生機序と出生時診断の重要性
脊髄髄膜瘤・脊髄脂肪腫とは、どちらも先天性疾患である二分脊椎の1種であり、胎児期における脊椎の形成に異常をきたす事で生じる疾患です。
胎児期、神経板という板状の構造物が、徐々に管状に形を変えて神経管を形成していくのが始まりです。
この神経管は徐々に閉鎖していきますが、その過程で閉鎖障害が起こると神経管を形成しきれず、二部脊椎を発症します。
閉鎖障害の程度が軽症の場合、内部の神経組織は皮膚で覆われるため、出生時におしりから腰にかけての異常なふくらみやくぼみを認め、これを脊髄脂肪腫と言います。
一方で、閉鎖障害の程度が重症の場合、神経組織は外表に露出し、出生時には背部からおしりにかけて皮膚が欠損し、脊髄が直視できるためすぐに診断可能です。
脊髄髄膜瘤・脊髄脂肪腫は、どちらも出生後に麻痺やしびれ、排尿・排便障害の有無、水頭症・キアリ奇形・脊髄空洞症などの合併症の有無を評価し、症状の有無や程度によっては出生早期から手術が必要となります。
そのため、事前にこれらの疾患や合併症の有無を検索できる出生前診断は有用です。
出生前診断では、エコー検査によって二分脊椎のレベルの同定や、脊髄髄膜瘤の伴うキアリ奇形Ⅱ型、水頭症などの検索が可能なため、出生後の手術計画を立てやすくなります。
また、出生前診断で事前に脊髄髄膜瘤・脊髄脂肪腫の有無を知っておくことで、妊娠中や出産時に脊髄を損傷しないように注意することができ、脊髄保護につながるため、これらの疾患に対して出生前診断を行うことが重要です。

共通して起こりやすい合併症(麻痺・側弯・排泄障害)とは?

脊髄髄膜瘤・脊髄脂肪腫どちらにも起こりやすい合併症としては、下記のような症状が挙げられます。

  • 麻痺
  • 側弯
  • 排泄障害
  • 脊髄空洞

脊髄髄膜瘤・脊髄脂肪腫では、瘤部分による直接的な脊髄の障害や、脂肪腫による脊髄の圧迫によって下肢の麻痺やしびれ、さらには排便や排尿の調整を行う仙髄の機能も障害されることで排泄障害も出現します。
また、麻痺による体幹筋力の低下、水頭症合併による痙性片麻痺、二分脊椎に伴う脊椎奇形などの理由から、脊髄髄膜瘤・脊髄脂肪腫では脊椎が左右に変形する側弯を合併しやすいです。
他にも、脊髄中心部に脳脊髄液が貯留し、空洞が形成される脊髄空洞も両者に共通する合併症の1つです。
歩行障害を引き起こす原因となるため、症状を認める場合は手術の適応となります。

早期対応が予後に与える影響

二分脊椎、特に脊髄髄膜瘤においては早期発見・早期対応が肝要です。
脊髄髄膜瘤は脊髄が露出してしまっている状態のため、感染予防や脊髄損傷予防、もしくは脊髄が引っ張られること(脊髄係留)でかかっている牽引を解除するために、出生数日以内に手術が必要です。
さらに、水頭症やキアリ奇形を認める場合はそれらの合併症に対しても手術が必要となるケースがあります。
これらの対応が遅れれば、麻痺や排泄障害など、後遺症がより重く残ってしまう可能性があるため、注意が必要です。
なお、仮に早期対応できたとしても、身体の成長に伴って脊髄の再係留や空洞形成が生じる可能性があるため、定期的なフォローアップも必要不可欠です。

まとめ

今回の記事では、脊髄髄膜瘤・脊髄脂肪腫の特徴や合併症について詳しく解説しました。
どちらも、胎児期における神経管の形成期に異常が生じることで発症する病気であり、脂肪腫による圧迫や、体表に露出することによる障害によって麻痺やしびれ、排泄障害、側弯など、さまざまな合併症をきたします。
出生後には合併症に応じて手術が早期から必要になることもあるため、事前に出生前診断で評価しておくことが重要です。
また、早期対応できても身体の発達と共に脊髄が再係留される可能性があるため、治療後も定期的なフォローアップが必要であり、後遺症に対しては継続的なリハビリが必要となります。
一方で、近年では脊髄髄膜瘤・脊髄脂肪腫の後遺症に対する新たな治療法として、再生医療が非常に注目されています。
また、ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄の治る力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、これまで改善困難であった脊髄髄膜瘤・脊髄脂肪腫の後遺症の改善が期待できます。

よくあるご質問

脊髄髄膜瘤の合併症は?
脊髄髄膜瘤の合併症は、水頭症やキアリ奇形、脊髄空洞症などが挙げられます。
また他にも側弯・股関節脱臼、水腎症や直腸肛門奇形など、全身の奇形を伴う可能性があります。

髄膜瘤と脂肪腫の違いは何ですか?
髄膜瘤と脂肪腫の違いは脊髄が露出しているかどうかです。
脂肪腫の場合は皮膚組織に覆われているため、脊髄は表面に露出していませんが、髄膜瘤の場合は表面に露出しています。

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    1:二分脊椎(脊髄脂肪腫・脊髄髄膜瘤)|慶應義塾大学医学部外科:https://www.neurosurgery.med.keio.ac.jp/disease/childhood/03.html
    2:二分脊椎|日本小児神経外科学会:https://jpn-spn.umin.jp/sick/f.html

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    PROFILEこの記事の監修
    貴宝院 永稔
    貴宝院 永稔 医師
    (大阪医科薬科大学卒業)
    • 脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
    • 日本リハビリテーション医学会認定専門医
    • 日本リハビリテーション医学会認定指導医
    • 日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
    • ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

    私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
    リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
    このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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