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遺伝性脊髄小脳変性症のマシャドジョセフ病について

           

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この記事を読んでわかること

マシャドジョセフ病の遺伝様式がわかる
マシャドジョセフ病の症状がわかる
マシャドジョセフ病に対するリハビリ方法がわかる


脊髄や小脳の細胞が同時に変性する脊髄小脳変性症のうち、遺伝性に発症するタイプで国内で最も多い脊髄小脳変性症3型をマシャドジョセフ病といいます。
発症すると小脳失調や錐体路障害などの神経症状によって日常生活にさまざまな支障をきたします。
この記事では、マシャドジョセフ病の症状やリハビリ方法について詳しく解説します。

マシャドジョセフ病の遺伝との関係と診断方法

マシャドジョセフ病の遺伝との関係と診断方法
皆さんはマシャドジョセフ病と呼ばれる病気をご存じでしょうか?
マシャドジョセフ病とは脊髄と小脳の細胞が原因不明に変性し、脊髄と小脳の両方の機能が障害される脊髄小脳変性症の1つです。
脊髄小脳変性症自体の原因は遺伝性、もしくは孤発性であり、遺伝性の場合は稀に常染色体劣性遺伝やX染色体遺伝ですが、多くの場合は優性遺伝であるため発症者の子供が50%の確率で遺伝子変異を受け継ぎます。
遺伝性の脊髄小脳変性症の中でも日本で最も多い病型が、脊髄小脳変性症3型のマシャドジョセフ病です。
マシャドジョセフ病の診断のためには、症状や身体診察はもちろんのこと、遺伝性疾患であることから家族歴なども非常に重要です。
また、頭部MRIでは第四脳室の拡大や小脳・脳幹の萎縮などの所見が見られますが、最終的な確定診断を下すためには遺伝子検査が必要です。
マシャドジョセフ病では、ATXN3遺伝子と呼ばれる原因遺伝子のCAG(シトシン・アデニン・グアニン)という3塩基の繰り返し配列が異常に(正常の2〜3倍に)伸長するという所見を認めるため、遺伝子検査によって上記を認めた場合に診断されます。

症状の進行パターンと生活への影響

まず、マシャドジョセフ病は原因不明に脳細胞が変性していく病気であり、残念ながら現代の医療で根治することは困難です。
症状の経過としては、年齢や症状の特徴から4タイプに分類できます。

  • 1型:若年発症で、痙性やジストニア(全身がねじれて硬直する)が目立つ
  • 2型:成人発症で、痙性や小脳失調(スムーズな運動ができない)が目立つ
  • 3型:高齢発症で、小脳失調や筋萎縮などが目立つ
  • 4型:非常に稀で、パーキンソン病様症状(動作緩慢、歩行障害)が目立つ

上記のように、小脳失調やパーキンソニズム、末梢神経障害、錐体路障害など、さまざまな神経症状をきたします。
経過は病型によっても異なりますが、どの病型でも日常生活では転倒リスクが増加するため、屋外だけでなく自宅の階段や廊下でも注意が必要です。
また、嚥下機能の低下も著しく、ものの飲み込みが困難になるため、刻み食やとろみ食など、食事の形状には注意が必要です。
主な治療法は症状によっても異なり、失調症状に対しては甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)やTRH誘導体を、有痛性筋痙攣に対しては塩酸メキシレチンを、反復発作性の失調症状、めまい症状に対してはアセタゾラミドを処方しますが、有効性は確立されていません。

生活の質を保つためにリハビリでできること

脳細胞の変性を止める術がないため、機能の維持や改善のためには継続的なリハビリテーションが必要不可欠です。
特に、マシャドジョセフ病を含む脊髄小脳変性症のリハビリにおいては、小脳失調による転倒予防と錐体路障害による麻痺に伴う廃用症候群の予防が重要です。
そこで、主に下記のようなリハビリが実施されます。

  • 体幹・骨盤帯運動
  • バランス訓練
  • 姿勢反射訓練
  • 動作訓練
  • 日常生活動作訓練
  • 構音訓練
  • 音声訓練

加藤らの報告によれば、実際に上記のようなリハビリの結果、膝伸展力の改善と、それに伴う歩行・立位保持機能の改善を認めています。
これらの機能改善は日常生活においても非常に重要であるため、マシャドジョセフ病においては継続的なリハビリが重要です。

まとめ

今回の記事では、マシャドジョセフ病の概要や症状・治療法などについて詳しく解説しました。
マシャドジョセフ病は原因不明の神経変性疾患であり、その多くが遺伝性に発症します。
発症後は小脳失調や脳幹障害に伴う錐体路障害によって、麻痺などの運動機能障害やスムーズな動作が困難となり、日常生活に大きな支障をきたすため、注意が必要です。
変性した脳細胞を元に戻すことは困難であり、現状ではリハビリによる機能の改善・維持が主な治療となりますが、それでも症状は徐々に進行します。
一方で、近年ではマシャドジョセフ病に対する新たな治療法として、変性した脳細胞の再生が期待できる再生医療が大変注目されています。
また、ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、これまで改善の困難であったマシャドジョセフ病の症状改善が期待できます。

よくあるご質問

マシャドジョセフ病の薬は?
脳細胞が変性するマシャドジョセフ病に対して、変性を元に戻すような根治的な治療法は未だに確立されていません。
あくまで、出現した症状に対してその症状を緩和するような対症療法が主です。

脊髄小脳変性症はどうやって治すの?
脊髄小脳変性症は運動失調に対しては甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)やTRH誘導体を処方し、有痛性筋痙攣に対しては塩酸メキシレチンを処方しますが、根治するための治療法は未だに確立されていません。

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    1:脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)(指定難病18)|難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/4880
    2:歩行可能な脊髄小脳変性症患者の運動失調に 対する短期集中リハビリテーション治療 ―Scale for the Assessment and Rating of Ataxia の総得点と下位項目得点による検証―|J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/58/3/58_20022/_pdf

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    PROFILEこの記事の監修
    貴宝院 永稔
    貴宝院 永稔 医師
    (大阪医科薬科大学卒業)
    • 脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
    • 日本リハビリテーション医学会認定専門医
    • 日本リハビリテーション医学会認定指導医
    • 日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
    • ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

    私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
    リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
    このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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