この記事を読んでわかること
・首筋の違和感が脳卒中の警告サインの場合がある
・首筋の違和感や痛みが起こる原因についてわかる
・くも膜下出血を含む脳卒中の危険な徴候についてわかる
首筋の違和感は多くの原因で起こり得ますが、突然の激しい痛みはくも膜下出血の前兆である可能性があります。
この病状は脳卒中の一種で、迅速な治療が命を救う鍵となります。
特に、椎骨動脈解離が原因で起こる場合があり、重大な神経障害や死に至ることも。
今回の記事では、首筋の違和感が示す脳卒中の可能性について解説していきます。
くも膜下出血と首筋の違和感
首の不快感や痛みは、多くの人が一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
パソコン作業のしすぎや、運動不足などが原因となる筋肉の緊張、また頚椎症などの骨や神経の問題などが原因として挙げられます。
しかし、このような違和感が予期せずに突然現れ、特に強い痛みを伴う場合は、くも膜下出血や脳卒中の前兆や警告サインである可能性があります。
くも膜下出血とは
くも膜下出血は、脳の周囲を覆う薄い膜(くも膜)の下で発生する出血で、命に関わることもある重大な状態です。
この出血は、脳梗塞や脳出血と同様に脳血管障害である脳卒中の一種と考えられており、迅速な対応が必要です。
くも膜下出血は、脳の表面を覆うくも膜という薄い膜の下の領域で発生する出血です。
この状態は、脳内の血管が破裂して血液がくも膜の下に漏れ出ることにより起こります。
くも膜下出血は、突然発生し、しばしば生命を脅かす緊急事態です。
首筋の違和感とくも膜下出血の関係
首筋の違和感や痛みがくも膜下出血と関係している主な理由について解説しましょう。
これは、脳脊髄液(のうせきずいえき)という液体の流れや圧力が変化することによります。
くも膜下出血が発生すると、血液が脳脊髄液に混じり、脳の周囲を流れるこの液体の圧力が変わります。
この圧力の変化が、首や頭の他の部分に痛みとして感じられることがあるのです。
また、くも膜下出血は頭痛を引き起こすことが一般的です。
この頭痛は非常に激しく、「人生で最もひどい頭痛」と表現されることもあります。
この頭痛は、首筋にも影響を及ぼすことがあり、首の硬直や違和感の原因となることがあります。
椎骨動脈解離とは?
くも膜下出血の中でも、特に首の後ろの方にある、椎骨動脈(ついこつどうみゃく)の解離が関係していることがあります。
椎骨動脈解離は、首の後ろを走っている、左右2対の動脈で、脳に血液を供給する主要な血管の一つです。
この椎骨動脈の内壁が裂け、血液が動脈の層の間に入り込む状態を椎骨動脈解離といいます。
椎骨動脈解離は、激しい首の痛みや頭痛、場合によっては脳への血流障害を引き起こす可能性があります。
首筋の違和感
椎骨動脈解離では、首筋の違和感や痛みが最初の兆候の一つとして現れることがよくあります。
この痛みは、しばしば突然始まり、片側にのみ起こることが多いとされています。
この痛みや違和感は、動脈の解離が、脊髄から出ていく神経根に影響を及ぼすことによって引き起こされます。
くも膜下出血との関係
椎骨動脈解離がくも膜下出血を引き起こすことがあります。
これは、解離した動脈が最終的に破裂し、血液が脳の表面の下にある、くも膜下腔という空間に漏れ出ることで生じます。
この状態になってしまうと非常に危険です。
重大な神経学的障害を引き起こしたり、場合によっては死に至ることもあります。
脳卒中の前兆としての首筋の痛み
脳卒中にはいくつかの前兆がありますが、首筋の痛みもその一つとされています。
特に、首筋の違和感や痛みが「雷鳴様頭痛(らいめいようずつう)」と呼ばれる、雷のような激しい頭痛と同時に発生する場合は、強く警戒しなければなりません。
このような症状は、くも膜下出血の可能性を示唆している可能性があります。
そのため、緊急の医療対応が必要となります。
警告サイン!いつ医療機関で受診すべきか
首筋の違和感が脳卒中やくも膜下出血の唯一の前兆ではありません。
しかし、以下に示すような症状は警告サインと考えられます。
こうした症状と共に首の違和感が現れた場合は、直ちに医療機関を受診しましょう。
- 顔、腕、足の片側の突然の麻痺や筋力の低下
- 突然、言葉を話すことや理解することが困難になる
- 一方の目または、両目の突然の視力低下
- 歩行時の突然のふらつき、バランスや協調運動障害
- 理由なく起こる激しい頭痛
これらの症状は、脳への血流が何らかの原因で妨げられていることを示していると考えられます。
すぐに、脳神経外科や専門の医療機関での評価が必要です。
まとめ
今回の記事では、首筋の違和感が示す脳卒中の可能性について解説しました。
首筋の違和感や痛みは、筋肉や骨格系の原因があるものが多いのですが、中にはくも膜下出血などの脳卒中の危険信号の可能性もあります。
ひとたびくも膜下出血が起こってしまうと、出血の量が多ければ命を失うこともあります。
また、救命できたとしても、手足の麻痺や呂律困難などの後遺症が残ってしまう場合もあります。
くも膜下出血によって傷ついた脳神経細胞は、修復することが難しいとされてきました。
そこで、再生医療の可能性に着目されるようになったのです。
当院ニューロテックメディカルでは、脳卒中・脊髄損傷を専門として、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
リニューロ®では、同時刺激×神経再生医療®、骨髄由来間葉系幹細胞を用いて脳や脊髄の治る力を高めた上で、同時刺激×神経再生医療Ⓡを行うことで神経障害の軽減を目指します。
くも膜下出血の後遺症にお悩みの方で、再生医療にもご興味がある方は、ぜひ一度当院までご相談ください。
よくあるご質問
- 首と脳の関係は?
- 首にある頚動脈や椎骨動脈は、脳への血流を提供する大切な血管です。これらの血管が狭窄したり、閉塞したりすると、脳への血流が減少し、脳血管障害(例えば、脳卒中や一過性脳虚血発作)を引き起こすリスクが高まります。首の損傷や異常がこれらの血管に影響を及ぼすことで、脳の健康と機能に直接的な影響を与える可能性があります。
- くも膜下出血の前兆として首筋が痛むことはありますか?
- あります。くも膜下出血は、脳の表面近くの血管が破裂し、脳とその周囲の膜(くも膜)の間の領域に血液が漏れ出る状態を指します。この状態は、突然の激しい頭痛(しばしば「人生最悪の頭痛」と表現される)の主要な症状で知られていますが、首の硬直や首筋の痛みも伴うことがあります。
<参照元>
Stroke Symptoms and Warning Signs. American Stroke Association.
https://www.stroke.org/en/about-stroke/stroke-symptoms
Vertebral Artery Dissection.Stroke.2006;37(19):2499-2503.
https://www.ahajournals.org/doi/full/10.1161/01.STR.0000240493.88473.39
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