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脳梗塞後に残る後遺症の種類とその影響

           

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この記事を読んでわかること

脳梗塞後の後遺症がわかる
嚥下障害の危険性がわかる
後遺症からの社会復帰率がわかる


脳梗塞には麻痺やしびれなど、さまざまな後遺症を伴います
これらの後遺症は移動や歩行などの基本的な日常動作に支障をきたし、失語症や記憶障害・情動障害などの高次脳機能障害は他者とのコミュニケーションにも支障をきたすため、早期から適切に対策することが重要です。
この記事では、脳梗塞に伴う後遺症について詳しく解説します。

脳梗塞後遺症の日常生活への影響

脳梗塞後の後遺症として、嚥下障害の有無は命に関わります。
脳梗塞による後遺症は日常生活に大きな影響を与えるため、発症早期から積極的なリハビリを行う必要があります
特に日常生活に支障を与える後遺症は、主に下記の3つです。

  • 麻痺・しびれ
  • 嚥下障害
  • 高次脳機能障害

それぞれについて詳しく解説します。

麻痺・しびれ

脳から身体に運動の指令をうまく伝達できなくなる麻痺や、身体から脳に感覚の情報をうまく伝達できなくなるしびれは、日常生活に大きな支障を与えます。
脳梗塞は左右どちらかに発症することが多く、その反対側の上下肢に麻痺やしびれが出現することが一般的です。
麻痺やしびれは症状が重度の場合、移動や体位変換、歩行などの基本的な日常動作を困難にするため注意が必要です。

嚥下障害

脳梗塞後の後遺症として、嚥下障害の有無は命に関わります
嚥下障害とは麻痺の1種で、モノを飲み込む(嚥下)のに使う筋肉が麻痺することで、うまくモノを飲み込めなくなる症状です。
嚥下障害の最も危険な点は、うまくモノを飲み込めなくなって、誤って食道ではなく気管や肺に咀嚼物が入り込んでしまい、誤嚥性肺炎を併発することです。
急性期脳卒中では、診断方法や評価時期にもよりますが、50〜70%の高頻度に嚥下障害を認めると言われています。
多くの場合は脳卒中発症後、約1週間〜1ヶ月で嚥下障害は改善すると言われていますが、中には改善せず、誤嚥性肺炎を併発する確率が2.4〜47%と報告されています。
また、この誤嚥性肺炎による死亡率は脳卒中後1年以内に約6%とされており、寿命に大きく関わるため、注意が必要です。
嚥下能力は日常生活において必要不可欠な基本動作であるため、嚥下障害が日常生活に与える影響は大変大きいと言えるでしょう。

高次脳機能障害

脳梗塞後の後遺症である高次脳機能障害は、他者とのコミュニケーションという観点で非常に大きな支障をきたします。
高次脳機能障害とは、なんらかの原因で言語・思考・記憶・行為・学習・注意などの知的機能が障害された状態を指します。
具体的には、注意力や集中力の低下、比較的新しい記憶が定着しない、感情や行動の抑制がきかなくなるなどの症状です。
周囲の人からすると、ぱっと見ではそういった後遺症を抱えているということが分からないため、コミュニケーションの観点から周囲と軋轢を生みやすいという点で日常生活に与える影響も大きいです。

運動麻痺から認知症まで脳梗塞後の多様な後遺症

生活習慣を見直す
上記で記載した以外にも、脳梗塞に伴う後遺症は多数あります。

  • 構音障害
  • 複視
  • 脳血管性認知症
  • 脳卒中後うつ病

構音障害は嚥下障害と似ている病態で、言語を作り出す咽頭部の筋肉が麻痺することで、うまく言語を表出できなくなり、他者とのコミュニケーションに大きな支障をきたす症状です。
次に、眼球運動を司る脳幹が障害を受けると、眼球の運動が一部制限され、モノが重なって見える「複視」と呼ばれる症状が出現します。
また、脳梗塞は認知症やうつ病の発症の引き金になるため、注意が必要です。
脳血管性認知症は認知症全体の約20%を占め、男性で多く発症する認知症です。
発症様式は通常の認知症と異なり、症状が徐々に進行するわけではなく、突然症状が出現したり、落ち着いていると思うと急に悪化することを繰り返したり、変動したりすることがしばしば見られます。
また、脳梗塞後にうつ症状が見られる脳卒中後うつ病も有名な後遺症です。
脳梗塞によるうつ病発症率増加のメカニズムは完全には解明されているわけではありませんが、脳卒中発症後にうつ病の発症率が増加することは広く知られています。
このように、脳梗塞はその後の生活に支障をきたす様々な後遺症・合併症をきたすことが知られているため、注意が必要です。

脳梗塞患者の後遺症発生率と回復の可能性

近年では、「t-PA」などの脳梗塞に対する急性期治療やその後のリハビリ療法も進歩し、後遺症が残る確率も下がってきています。
厚生労働省の報告によれば、就労世代などの若い世代においては約7割がほぼ介助を必要としない状態まで回復し、復職できる可能性も少なくありません。
また、脳卒中の重症度や職場環境、適切な配慮などによって異なりますが、脳卒中発症後の最終的な復職率は50〜60%と報告されてます。
以上を踏まえると、もちろん年齢や重症度にもよりますが、十分社会復帰が望めるため、早期から適切な治療・リハビリを実施することが肝要です。

脳梗塞後のリハビリと回復プロセス

脳梗塞の後遺症は、適切なリハビリによって改善が期待できることが多いです。
運動機能の回復には、物理療法や筋力トレーニングが有効で、言語障害に対しては言語療法が行われます。
特に、発症後早期からのリハビリ開始が重要で、脳の可塑性を最大限に活かすことができるとされています。
加えて、精神的なサポートも回復を促進するため、心理療法や家族のサポートも重要な要素となります。
運動療法や作業療法、認知機能訓練などがあり、個別に症状に合わせてアプローチします。
リハビリには数ヶ月から数年かかることもありますが、適切なプログラムにより、生活の質を向上させることができます。

脳梗塞における後遺症についてのまとめ

今回の記事では、脳梗塞における後遺症について詳しく解説しました。
脳梗塞は、麻痺やしびれ・嚥下障害や構音障害、認知症やうつ病など幅広い後遺症をきたします。
どの後遺症も日常生活に影響を与えるため、発症を未然に予防し、実際に発症したら後遺症の軽減に勤めることが重要です。
そのためには、急性期から適切な医療を受けて、発症早期からリハビリテーションに励むことが肝要です。
また、最近では「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
ニューロテックメディカルでは、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「神経再生医療×同時リハビリ™」によって、これまで完治の難しかった脳梗塞後の後遺症の改善が期待できます。

よくあるご質問

脳梗塞で起こりやすい後遺症は?
脳梗塞で起こりやすい後遺症は、麻痺などの運動障害・しびれなどの感覚障害・構音障害・嚥下障害・高次脳機能障害などの症状が挙げられます。
特に麻痺は日常生活に大きな支障をきたすため注意が必要です。

脳梗塞の後遺症で目にどんな症状が現れますか?
脳梗塞では、目にさまざまな症状をきたします。
モノが二重に見える複視・視野の半分が欠損する半盲・または瞼を閉じる筋肉が麻痺することによるドライアイなどが挙げられます。

<参照元>
・J STAGE :https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdr/23/1/23_8/_pdf
・東京都医師会:https://www.tokyo.med.or.jp/docs/handbook/358-375.pdf
・健康長寿ネット:https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/ninchishou/nou-kekkansei.html#:~:text=脳血管性認知症とは、脳の血管,な症状が現れます%E3%80%82
・厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000198760.pdf

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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