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指定難病ALSの原因と環境的要因の徹底解説

           

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この記事を読んでわかること

指定難病ALSとは
ALSの症状
ALS発症の前兆や余命について


alsは、筋肉に運動の指令を伝達する神経のみが障害される事で全身のありとあらゆる随意筋の筋力が低下していく難治性の病気です。
難病に指定されており、これまでさまざまな学説が提唱されていますが、今日に至るまでその原因は解明されていません。
そこでこの記事では、alsの病態や症状、原因などについて詳しく解説していきます。

alsとは

als
als(amyotrophic lateral sclerosis)は、日本語で筋萎縮性側索硬化症のことで、全身のありとあらゆる随意筋の筋力が徐々に低下していく病気のことです。
年間で新たに罹患する人は人口10万人当たり約1-2.5人と非常に稀な疾患であるとともに、難治性であり日本では指定難病とされています。
また、alsは主に中年以降に発症し、男性に多い
と言われています。
では、一体どういった病態なのでしょうか?
そもそも、人間の運動の指令は大脳→中脳→橋→延髄→脊髄(頸髄、胸髄、腰髄、仙髄)→末梢神経→筋肉という順に伝達されていきます。
脳がある運動を行おうと判断し、最終的に筋肉に伝わった刺激によって筋収縮が発生し、人間は随意運動を行っているわけですが、この経路のいずれかに異常が生じるとうまく筋肉に刺激が伝達されず運動が起こらなくなります。
脳梗塞では大脳が、脊髄損傷では脊髄が損傷されることで麻痺が生じるわけですが、alsでは上記に示した経路が複数部位において変性をきたし、同時に障害されていきます。
脊髄より上位を上位運動ニューロンといい、脊髄より末梢を下位運動ニューロンと呼びますが、alsでは運動ニューロンが上位下位ともに障害される点で特徴的です。
逆に言えば、運動ニューロン以外は障害されないため、痛みや温度、視力や聴力を感じる感覚神経や、内臓の運動を支配する自律神経は正常に機能します。
また、心臓の筋肉は随意筋ではなく不随意筋であり、alsの影響は受けません。
筋肉そのものには異常があるわけではありませんが、神経からの刺激が途絶えてしまうため長期間収縮しなくなり、徐々に筋肉も萎縮してしまいます。
では、具体的にalsによってどのような症状をきたすのでしょうか?

alsの症状

alsの症状は主に片側上肢の筋萎縮に始まり、その後反対側上肢や両下肢へ筋萎縮が進行していきます。
また、その間に言語障害嚥下障害などの球麻痺症状や、呼吸筋麻痺が加わることが多く、最終的には人工呼吸器なしでは生命維持ができなくなってしまいます。
症状が何年もかけて緩徐に進行する例もあれば、急速に麻痺症状が進行してしまうケースもあります。
alsは進行性の病気であり、症状が改善することもないため、一般的に発症してから死亡、もしくは人工呼吸器装着まで20-48ヶ月間ほどと報告されている難治性疾患です。

alsの発症原因

シナプス
現在に至るまで、なぜalsが発症するのかはっきりとした原因は解明されていませんが、遺伝的要因と環境的要因が関与しているとされています。
しかし、これまで多くの研究がなされ、下記に挙げるようないくつかの説が提唱されています。
それぞれ詳しくご紹介します。

味の素説

前述した運動の指令の通り道は、実際には多数の小さな神経が連なって形成されています。
神経と神経の間をシナプスと言い、情報伝達の際には情報を伝える側の神経からシナプスに神経伝達物質と呼ばれる物質が放出され、逆に情報を受け取る側の神経が神経伝達物質を感知することで刺激が伝達されていきます。
このうち、神経伝達物質の1つであるグルタミン酸がシナプスに過剰に蓄積することで運動ニューロンが破壊されていくと考えている説が、グルタミン酸仮説です
ちなみに、食品である味の素にはグルタミン酸が豊富に含まれているため、alsのリスクなのでは?と考える人もいるようですが、味の素摂取によって発症頻度が増加することは証明されていません。

遺伝

alsの約90%は孤発性であり、遺伝とは無関係に発症します。
しかし、残り10%は家族性であり、スーパーオキシド・ジスムターゼ(SOD1)という遺伝子に原因があることがもっとも多く、そのほかFUS、TARDBP、VCP、OPTNといった遺伝子と関連する場合があります。
一方、欧米の家族性ALSではC9ORF72という遺伝子に原因がある例が多いと報告されています。

環境(紀伊半島の例)

次に、環境が原因の1つであると考えられています。
これは、かつてのグアム島や紀伊半島南部の地域において、全国平均の50-100倍も罹患者が多いというデータをもとに提唱された仮説です。
現在のグアム島ではかつての多発地区が消滅し、ALSの発症頻度は激減しています。
その一方で、紀伊半島南部における発症頻度は数十年前と比較してもあまり変化がありません。
しかし、なぜ地域によって罹患者数にここまで大きな偏りがあるのかまでは解明されていません。

Bunina小体

als患者の変性した神経細胞内には、時折Bunina小体というalsに特異的な異常構造物が顕微鏡で確認できます。
しかし、Bunina小体の成分や構成物が一体何なのかは未だに解明されていません。

ALSの原因についてのまとめ

今回の記事ではalsの原因などについて解説させて頂きました。
ここまで医療技術が発展した現代においても、未だにalsの原因は解明できていません。
主な理由として患者の絶対数が少ないことなどが挙げられますが、alsは進行性かつ難治性であるため、今後の新しい治療法の開発が医療者にとっての1つの課題と言えます。
その課題に対する1つの答えとして、再生医療が注目されています。
再生医療は、自身の血液から抽出した幹細胞を増殖して体に戻すことで、変性した神経細胞を再生して機能を回復してくれる可能性を秘めています。
現在その知見が待たれるところです。

よくあるご質問

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の前兆は?
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の前兆として多いものは、手足のしびれや脱力感、力が入らないなどが挙げられます。
また、呂律が回りにくくいためはっきり喋れないなどもあります。
症状が発症してからの病状の進行スピードが速い病気ですので、注意が必要です。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の余命は?
症状が発症してからの病状進行速度が速い疾患で、発症から死亡までの平均期間は約3.5年といわれています。
進行が遅いケースでは、呼吸補助無しで10数年の経過を取るケースもありますが、進行速度が速い球麻痺型では、発症から3か月以内に死亡する例も報告されています。

<参照元>
・難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/52
・ALSステーション:https://als-station.jp/about/pathogenesis.html

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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