この記事を読んでわかること
・脳梗塞とは
・脳梗塞リハビリの具体的な内容
・脳梗塞リハビリと再生医療
「脳梗塞」は多くの方がよく耳にする言葉です。
それほど発症する方が多く、身近な病気です。
脳梗塞の発症後、再び日常生活や社会に復帰するためにはリハビリが欠かせません。
しかし、リハビリの具体的なイメージが湧かない方も少なくないでしょう。
そこで本記事では、脳梗塞のリハビリ内容や目的を中心に解説します。
脳梗塞とは
そもそも脳梗塞とは、脳血管内の血流が何らかの原因で妨げられ脳細胞が壊死に陥る病気です。
脳細胞が壊死した部位によって症状が異なり、手足の麻痺や嚥下障害、言語障害などが見られます。
脳梗塞は原因や起きた場所によって、次の4種類に分けられます。
- アテローム血栓性脳梗塞
- 脳や首の大きな血管が動脈硬化が原因の脳梗塞
- 心原性塞栓症
- 心臓で生じた血栓が脳や首の血管に流れて起こる脳梗塞
- ラクナ梗塞
- 脳の細い血管が詰まる脳梗塞
- その他の脳梗塞
- 自己免疫の異常や外傷などで生じる脳梗塞
脳梗塞がきっかけで寝たきりの原因になり得るため、原因や症状に応じた適切な治療やリハビリが必要です。
脳梗塞リハビリの具体的な内容
脳梗塞のリハビリは、症状や患者の目標(自宅で自立した生活ができるようになるなど)、残存している能力に合わせてリハビリのプログラムを立て、理学療法士や作業療法士と共に行います。
ここでは、共通してよく行われるリハビリをご紹介します。
歩行訓練
歩行の獲得や安定性の向上を目指します。
患者の残存能力に合わせて、歩行補助具や介助方法を使い分けながら訓練を進めていきます。
例えば脳梗塞による麻痺が重度の場合、長下肢装具を装着して歩行訓練を行う場合が多いです。
歩行訓練では下肢の筋力および機能改善だけでなく、意識障害や体幹機能の改善などの効果も期待できます。
ADL訓練
ADLとは「日常生活動作」のことです。
具体的には、座る・立つ・家事が挙げられます。
患者が自宅に戻ってから必要な動作を想定し、練習していきます。
また、できるだけ自立した生活を送りながら転倒などのリスクを減らせるよう、環境調整も訓練に含まれています。
脳梗塞リハビリにおける期間ごとの目的
脳梗塞のリハビリは
- 急性期(発症~1ヵ月程度)
- 回復期(発症1ヵ月~6ヵ月程度)
- 維持期(回復期以降)
の3つの時期に分けて行われます。
それぞれの期間におけるリハビリの目的は異なるため、今どのような時期かを理解しておくと目標をもってリハビリに取り組めるでしょう。
急性期(発症~1ヵ月程度)
安静状態が長く続くことで起こる「廃用症候群」は、心身機能の回復において大きな阻害因子になります。
そこで、発症後できるだけ早い段階でリハビリを開始し、廃用症候群を予防することが重要です。
そのため、状態を見ながらベッド上で関節を動かす運動や座る訓練、立つ訓練などのできる運動からリハビリを行っていきます。
回復期(1ヵ月~6ヵ月程度)
回復期になると、最大で1日3時間までリハビリに励むことが可能です。
急性期よりもさらに積極的かつ集中的なリハビリを行い、日常生活や社会復帰をするうえで必要な動作の獲得を目指します。
理学療法士や作業療法士などのスタッフとコミュニケーションを取って目標を明確にし、リハビリに取り組むことが重要です。
維持期(回復期以降)
維持期では病院を退院してから自宅に戻り、訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションなどのサービスを利用して、廃用症候群の予防や機能改善を目指す場合が多いです。
しかし、一般的には発症してから6ヶ月を経過すると回復しにくいとされています。
リハビリを継続しながらも、残存している機能の活用や補助具などの道具を上手く活用した生活を送ることも検討する必要があります。
脳梗塞リハビリと再生医療
脳梗塞などによって損傷した脳は再生しません。
しかし、リハビリで身体が動かせるようになるのは、損傷した脳の周辺組織が新たにネットワークを作るためです。
しかし、再生医療の研究が進み、安全性や技術が向上すれば壊死した脳細胞を再生できる可能性があります。
再生医療とは、身体から幹細胞を取り出して増殖させた後に移植し、細胞の再生を促す治療法です。
さまざまな機関で治験や研究が始まっており注目を浴びています。
また、再生医療だけは新たなネットワークを作る力が高まるだけなので実は不十分です。
同時にリハビリをすることで必要なネットワークの構築が可能になります。そのため、今後は『同時リハビリ✕再生医療™︎』の重要性がさらに高まると考えられています。
再生医療は、神経や血管の再生に加え、リハビリでの神経同士の繋がりの構築・強化で相乗効果が得るることを目指す治療です。
そんな中ニューロテックメディカル株式会社は、脳卒中・脊髄損傷の再生医療を専門とし、幹細胞治療の基盤特許を取得しています。
脳梗塞の治療で、再生医療をご検討の方はお気軽にご相談ください。
まとめ
脳梗塞のリハビリは日常生活や社会への復帰に向けて、理学療法士、作業療法士とともに歩行訓練やADL訓練などを行います。
発症後は安静にするものだと考えられがちですが、廃用症候群を予防するためにも、早い段階でリハビリに取り組むことが重要です。
よくあるご質問
リハビリしないとどうなる?
後遺症が残ったまま生活することになり、重度の場合は寝たきりとなったり、誤嚥性肺炎によりかかりやすくなったりします。日常生活に戻ることもリハビリとなりますが、集中的に行ったほうが後遺症は少なくなります。
リハビリの重要性は?
後遺症を少しでも減らすことができます。また、後遺症がある場合でも装具などで補える手段を用いたり、介護保険などのサービスの調整をしたりして将来の生活を考えることができる点で重要と言えます
<参照元>
『脳卒中治療ガイドライン』
https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/nou2009_07.pdf
『厚生労働省:2019年 国民生活基礎調査の概況 IV介護の状況 』
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/05.pdf
あわせて読みたい記事:廃用症候群の症状について
外部サイトの関連記事:脳卒中による嚥下障害を改善する3つの方法
コメント