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再生医療の仕組みと応用のメリット・デメリット

           

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この記事を読んでわかること

再生医療が目指す医療とは?
再生医療と幹細胞
再生医療のメリット・デメリット


人間の体に備わっている細胞の力を活かし、再生能力を活かす「再生医療」が注目を集めています。
しかし、再生医療にはメリットだけでなくデメリットも存在します。
人間の体は、もともと自力で細胞を再生する力を持っています。
人工物に頼らず、私たちの身体に備わっている体の再生能力を治療に応用するのが再生医療です。
大きな可能性を持つ再生医療ですが、メリットのほかに注意したいデメリットもあります。
そこで、今回は再生医療の仕組みやメリットとデメリットについて解説します。

再生医療とは体が持つ再生能力を利用する医療

再生医療とは体が持つ再生能力を利用する医療
再生医療とは人間の体がもともと持っている回復能力を利用し、組織や臓器の修復を目指す医療のことをいます。
再生医療が目指す医療は、ケガや病気によって損傷を受けたり完全になくなってしまった臓器や組織の機能を、本人の体の細胞によって修復することです。
そして、義足や薬剤、ペースメーカーなどの人工的な機器や化合物に頼らず、私達が本来持っている組織の再生能力を活かした治療です。
現在の再生医療では、体細胞や幹細胞を移植する細胞移植治療」が取り入れられています。
人間の体はもともとひとつの受精卵が細胞分裂を繰り返し、分化することであらゆる臓器や組織が形成されています。
体細胞とは細胞分裂が完了した大人の細胞のことを指し、幹細胞とは細胞分裂する前細胞の赤ちゃんのことをいいます。
損傷している治療箇所に体細胞やを移植することで、組織の再生を促進するのが再生医療の治療法です。
現在、日本国内に再生医療においては、世界トップクラスの基礎研究や臨床研究が進められています。

3種類の幹細胞の仕組みと特徴

再生医療
現在、再生医療として受けられたり、将来受けられる可能性がある幹細胞は、主に以下の3種類です。

性幹細胞

体性幹細胞は、もともと人間の体の中に存在している細胞です。
代表的なものは骨や軟骨、脂肪細胞といった異なる組織や臓器に分化できる間葉系幹細胞」があります。

ES細胞

は受精卵が胎児になる途中の「」の中の細胞を採り出して培養・作製する細胞です。
さまざまな組織や臓器に分化できる万能細胞ですが、本来赤ちゃんになるはずの細胞を利用するという面で倫理的な問題があります。

iPS細胞

iPS細胞は、体細胞にいくつかの遺伝子を入れることで未分化の状態に戻し、人工的に作製される幹細胞です。
iPS細胞はES細胞と同じ能力があるだけでなく、倫理的な問題をクリアしたことで注目され、iPS細胞を発明した山中伸弥教授が2012年にノーベル医学生理学賞を受賞したことで大きく話題になりました。
以上の3種類の細胞のうち、現在もっとも医療への応用が進んでいるのは体性幹細胞です。
これは、体性幹細胞はもともと人間が持っている細胞のため、治療に利用しやすいという特徴があるためです。

3種類の幹細胞の再生医療におけるメリットと可能性

体が本来持つ再生能力を利用する再生医療には、さまざまなメリットがあります。
ここでは、再生医療によって得られるおもなメリットを紹介します。

すでに多くの治療実績がある

体性幹細胞はすでにさまざまな病気やケガの治療実績があり、脊髄損傷への治療では患者の骨髄液から採取した幹細胞を用いた治療が行われています。
また、整形外科では患者の血液を濃縮加工して患部に注入することで関節痛や炎症を抑えたり、靭帯損傷や筋肉の改善が行われています。
iPS細胞に関しては研究途上ではありますが、2014年に初めて網膜色素上皮細胞の移植手術が実行され、実用化に対する期待が高まっています。

難しい病気の根本治療が期待できる

再生医療は根治が難しい病気を治療できる可能性があるとして期待されています。
細胞の老化が原因となる慢性疾患は根治できる治療法が存在しないケースがあり、世界中で多くの方が治療できずに苦しんでいます。
しかし、再生医療が進めば慢性疾患の根本治療ができるだけでなく、腎臓や心臓などの臓器を丸ごと作り出せる可能性についても、大きな期待が寄せられているのです。

副作用が少ない

再生医療のメリットとして、副作用が少ないという点が挙げられます。
患者自身の組織から採取した幹細胞を培養して治療箇所に移植する場合、もともと自分自身の幹細胞を使うので、副作用の症状が出る可能性はかなり低いのです。
また、再生医療では薬剤や手術療法などといった外科的な介入による副作用や感染の心配もないため、合併症のリスクが少ないこともメリットのひとつです。

脳卒中の再発を予防できる

再生医療の大きなメリットとして、脳卒中の再発を予防できるという点があります。
脳卒中の中でも脳梗塞は再発する可能性が高く、1年以内に10.0%、5年以内に34.1%、10年以内には49.7%が再発するというデータがあります。
参考:循環器疫病サイト
これまでは、一度損傷した脳細胞は元に戻らないとされていました。
しかし、幹細胞を投与することで脳細胞の機能を回復したり脳血管が新生することが分かっています。
その結果、再生医療によって脳卒中による後遺症の改善や再発予防に効果があることが認められているのです。

再生医療のリスクやデメリットとは

生医療のリスクやデメリットとは
再生医療のメリットを紹介してきましたが、一方でデメリットやまだ解決すべき課題があります。
ここでは、再生医療を行う上でのデメリットについて解説していきます。

100%の効果ではない

再生治療の効果や持続時間には個人差があるため、すべての患者の方が100%の効果を感じられるわけではありません。
体質によっては治療効果が感じられなかったり、効果があらわれるまでの期間や効果の持続期間に個人差が出るのが特徴です。

治療費が高額

現在のところ再生医療は自由診療のため、治療費が高額になり経済的な負担が大きいというデメリットがあります。
再生医療を行うことで入院や手術をせずに済むことを考えるとメリットが大きいのは確かです。
しかし、治療費がネックとなり再生医療を受けたくても受けられない方がいるのが現状です。

ES細胞やiPS細胞はガン化するリスクがある

ES細胞やiPS細胞は万能細胞であるがゆえに、予想外の細胞に分化するリスクやガン化してしまうするリスクがあります。
治療のために細胞を移植したはずが、却って損傷を起こしてしまっては恩恵が少なくなるため、このような課題を解決する研究が進められています。
しかし、これらの課題を解決すれば、iPS細胞は様々な病気の治療における新たな標準治療となる可能性があります。
一方、体制幹細胞である間葉系幹細胞では腫瘍化したという報告はなく、臨床で使用されるには一番実用的な細胞であると言えます。

再生医療は正式な手続きをしている医療機関で受ける

常に効果的である再生医療に関しては世界中で研究され、今後の発展も期待されています。
一方で、再生医療は新しい治療法のため、当院のように安全性を確保するため限られた医療機関でしか行えません。
医療機関が再生医療を行う場合には、「第二種再生医療等・治療に関する提供計画」という意見書を厚生労働省に提出し、受理されることが条件となっています。
脳梗塞・脊髄損傷クリニック 提携大阪院 福永記念診療所:厚生労働省受理:再生医療等提供計画番号:PB5180011
ところが、一部のクリニックでは正式な手続きをせず再生医療を行い、逮捕されているケースもあるのです。
再生医療を受けることを検討している方は、事前に医療機関や厚生労働省のホームページを確認し、正式な手続きをとっていることを確認することが重要です。

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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