この記事を読んでわかること
・非外傷性くも膜下出血の原因
・外傷性くも膜下出血とは
・外傷性くも膜下出血に対する再生医療
脳は髄膜という柔らかい膜に覆われており、その外側には頭蓋骨、頭皮があります。
髄膜は内側から軟膜、くも膜、硬膜に分けることができて、くも膜と軟膜の間の層をくも膜下腔と呼びます。
くも膜下腔に出血するのがくも膜下出血です。
くも膜下腔には血管が豊富にあるため、出血を起こすとその量が多くなり重症になることがあります。
出血を起こす原因には怪我が原因になるものと、怪我とは関係なく起こるものがあります。
この記事では、怪我が原因で起こるくも膜下出血(外傷性くも膜下出血)について解説していきます。
非外傷性くも膜下出血の原因
全くも膜下出血の80%は脳動脈瘤の破裂が原因です。
くも膜下腔にある動脈にこぶができて、それが破裂して出血します。
動脈瘤は高血圧や喫煙、遺伝などが原因でできると言われています。
その他脳の血管奇形や脳腫瘍がくも膜下出血の原因になることもあります。
これらが原因の場合頭をぶつけたなどの怪我がなく、何もしていない時でも突然頭をガンと殴られたような感じがして強い頭痛を感じ、くも膜下出血を発症します。
怪我が原因ではないため、非外傷性くも膜下出血ということになります。
外傷性くも膜下出血とは
外傷性くも膜下出血とは、交通事故や転倒、転落などで頭をぶつけることで起こるくも膜下出血です。
くも膜下腔には膜と膜を橋渡しするような静脈が多くあり、打撲することでその血管が傷つき出血します。
動脈とは違い出血が多量になるケースは少ないため、多くの場合手術などを行わず自然に吸収されるのを待つことになります。
ただし外傷により動脈から出血する可能性もあること、外傷が原因で脳動脈瘤が新たにできる可能性があること、例え静脈からの出血でも量が多くなれば神経症状が重くなり手術が必要になることなどに注意が必要です。
外傷性くも膜下出血の症状
外傷性くも膜下出血の主な症状は頭痛です。
もちろん頭をぶつけているためそれによる痛みもあるのですが、出血によって痛みが増強します。
吐き気や軽い意識障害を起こすこともあります。
つまり、頭の怪我の後に吐き気やぼんやりしているなどの症状がある場合には要注意ということになります。
外傷性くも膜下出血を起こすような怪我をした場合、急性硬膜下出血(硬膜とくも膜の間の出血)や脳挫傷(脳実質の損傷)を同時に起こしている場合があります。
その場合脳全体が腫れ意識障害などの症状が重くなるケースがあり、減圧開頭術(頭蓋骨を外して内部の圧を下げる手術)が必要となることがあります。
外傷性くも膜下出血の出血量が多いと脳血管攣縮(れんしゅく、血管が一時的に収縮すること)を起こし、脳梗塞に至ることがあります。
その場合手足の麻痺など脳梗塞の症状が発生します。
外傷性くも膜下出血に対する再生医療
外傷性くも膜下出血では出血量が多い場合や、硬膜下出血・脳挫傷・脳梗塞など合併する病態によって神経障害が発生します。
強い意識障害や手足の麻痺など神経の障害が確定してしまうと、その後回復するのは難しく後遺症が残ります。
後遺症には様々な種類や程度がありますが、どれも生活に直結するつらい症状ばかりです。
通常の治療では限界があり回復は頭打ちになってしまうのですが、新たな治療として効果が期待されるのが再生医療です。
再生医療では自身の幹細胞(神経の元になる細胞)を治療に応用します。
体内に移植された幹細胞は神経に成長し、損傷部位に生着して神経として機能することが期待されています。
細胞は成長する際に神経を保護する因子や修復する因子を分泌するため、合わせて機能再生の効果をもたらします。
ニューロテックメディカル株式会社では、「ニューロテック®」として脳卒中・脊髄損傷・神経障害などに対する幹細胞治療の基盤特許を取得しており、再生医療の効果を高める取り組みを行っています。
外傷性くも膜下出血による後遺症にお悩みの方やご家族の方はぜひご相談ください。
まとめ
外傷性くも膜下出血について解説しました。
脳は硬い頭蓋骨に守られていますが、それでも怪我で強い損傷を受けてしまうことがあります。
一度確定してしまった神経症状を回復させるのは困難です。
頭をぶつけるような怪我をした後に強い頭痛や吐き気などの症状を伴う場合には、ためらわずに救急病院を受診するようにしましょう。
<参照元>
・「外傷性脳損傷」MB Med Reha 223, 2018
・「外傷性くも膜下出血」BRAIN NURSING 27(10), 2011
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