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脳梗塞後に注意すべき三大合併症とは

           

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この記事を読んでわかること

脳梗塞後に起こりやすい深部静脈血栓症(DVT)、誤嚥性肺炎、褥瘡の原因とリスクがわかる。
DVTを防ぐための間欠的空気圧迫法や誤嚥性肺炎を予防する食事の工夫がわかる。
褥瘡を予防するための体位変換、スキンケア、栄養管理と多価不飽和脂肪酸(PUFA)の効果がわかる。


脳梗塞後に起こりやすい深部静脈血栓症(DVT)、誤嚥性肺炎、褥瘡の原因やリスクを詳しく解説し、それぞれの効果的な予防法を紹介します。
リハビリや食事管理のポイントに加え、多価不飽和脂肪酸(PUFA)を活用した栄養療法など、最新の治療法についても取り上げます。
脳梗塞の再発を防ぎ、より良い生活を送りましょう。

深部静脈血栓症(DVT):原因と予防策

深部静脈血栓症(DVT):原因と予防策
深部静脈血栓症(deep venous thrombosis:DVT)は、肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism:PTE)と合わせて、静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)と呼ばれています。
脳梗塞をはじめとする脳卒中は、このVTEのリスクを高めるといわれています。
DVTが静脈から離れて肺の動脈まで飛んでいくと、肺の動脈が塞がれてしまい、重症の場合は命に関わることもあるのです。
静脈血栓塞栓症の危険因子としては、以下の3つが知られています。

  • 血流の停滞
  • 血管内皮障害
  • 血液凝固亢進

脳卒中の方の場合は、治療による長期の臥床や手術、意識障害などによって体動に乏しい状態になってしまいます。
また、カテーテルや外傷によって血管血管が傷つけられることもあります。
さらに薬剤や炎症、脱水などによって、血液が固まりやすくなってしまうこともあるのです。
こうした要因が、複雑に、絡まり合い、血液の塊ができやすくなるのです。
また、急性期リハビリテーション、入院中に、DVTは全体で7.4%に認められたという研究報告もあります。
脳卒中による障害が重いほどDVTができやすくなったという結果も出ています。
DVTは、脳卒中が発生してから約6週間以内に生じやすく、麻痺している方の足に起こりやすいとも言われています。
DVT予防のためには、間欠的空気圧迫法などが有効とされています。
間欠的空気圧迫法は、下肢にカフを巻き、ポンプで間欠的に空気を送り込んで静脈血行を促進する方法です。
注意点としては、開始前にエコーなどでDVTの存在を除外しておく必要があります。

肺炎:嚥下障害によるリスクと対処法

肺炎:嚥下障害によるリスクと対処法
嚥下障害(飲み込む機能の低下)は、高齢者や脳卒中後の患者に多く見られ、誤嚥性肺炎のリスクを高めます。
誤嚥とは、食べ物や唾液が誤って気管に入ることを指し、これが原因で肺に細菌が侵入し、肺炎を引き起こすことがあります。
特に、脳卒中によって嚥下機能が低下すると、食事中だけでなく、睡眠中にも唾液が気管に入ることで肺炎のリスクが増します。

リスクを軽減する対策

食事の際は、背筋を伸ばし、顎を軽く引いた姿勢をとることで誤嚥を防ぎやすくなります。
食後もしばらくは上体を起こしておきましょう。
また、やわらかく飲み込みやすい食品を選び、とろみをつけることで誤嚥を防ぎます。
一口の量を減らし、ゆっくりと食べることが大切です。
さらに、口の中の細菌が誤嚥によって肺に入ることを防ぐため、歯磨きやうがいを習慣化し、口腔内を清潔に保つことが重要です。
嚥下機能を向上させるために、専門のリハビリを受けることが効果的です。
嚥下体操やマッサージを取り入れることで、飲み込む力を改善できます。
嚥下障害の程度に応じて、医師や言語聴覚士と相談し、適切な治療や指導を受けることが必要です。
場合によっては、経管栄養(チューブによる栄養補給)を検討することもあります。
誤嚥性肺炎は予防が可能な疾患です。
日常生活の工夫と適切な医療のサポートを受けることで、健康的な食生活を維持し、肺炎のリスクを減らしましょう。

褥瘡(じょくそう):長期臥床による皮膚トラブルの防止方法

褥瘡(じょくそう)は、長期間寝たきりの状態が続くことで、皮膚の血流が悪くなり発生する傷やただれのことです。
特に、脳梗塞の患者さんのように自力で体を動かせない場合、褥瘡のリスクが高まります。
褥瘡が進行すると感染症の原因にもなるため、早期の予防と適切なケアが重要です。
褥瘡予防のポイントについて説明しましょう。
長時間同じ姿勢でいると、皮膚の一部に圧力がかかり血流が滞るため、2時間ごとを目安に姿勢を変えることが大切です。
特に、かかとや仙骨(お尻の骨)、肩甲骨周りは圧がかかりやすいので注意が必要です。
また、体圧を分散する特殊なエアマットやクッションを使用すると、皮膚への負担を軽減できます。
特に、長期臥床の患者さんには体にフィットするクッションを使用するのが効果的です。
さらに、汗や排泄物が皮膚に残ると、皮膚が弱くなり褥瘡ができやすくなります。
やさしく洗浄し、保湿剤を使用することで皮膚のバリア機能を維持できます。
また、シーツや衣類は常に乾燥した状態を保つことが大切です。
なお、皮膚の再生や修復には、タンパク質やビタミン、ミネラルが必要です。
特に多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含む栄養補給は、炎症を抑え、皮膚の健康を保つのに役立つとされています。
研究によると、多価不飽和脂肪酸(PUFA)の一種であるEPA(エイコサペンタエン酸)を含む栄養剤の摂取は、褥瘡の改善に効果的であることが報告されています。
可能であれば、リハビリを取り入れたり、軽いマッサージを行うことで血流を促し、皮膚への酸素供給を増やします。
これは、褥瘡の発生リスクを低減する助けになります。

まとめ

今回の記事では、脳梗塞後に注意すべき合併症について解説しました。
これらの合併症予防のためには、適切なリハビリテーションが重要となり、効果を高めるための再生医療の併用に注目が集まっています。
例えば、ニューロテック、脳梗塞脊髄損傷クリニックなどでは、脳卒中・脊髄損傷を専門として、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
ご興味があれば、ぜひ公式HPをご覧ください。

よくあるご質問

脳梗塞になったら食べてはいけないものは何ですか?
塩分や飽和脂肪酸を多く含む食品(加工食品、揚げ物、インスタント食品など)は避けましょう。
高血圧や動脈硬化を悪化させ、再発リスクが高まります。
また、誤嚥のリスクがある場合は、パサついた食品や水分の少ない食品も注意が必要です。

脳梗塞で起こりうる合併症は?
深部静脈血栓症(DVT)、誤嚥性肺炎、褥瘡が代表的です。
長期の臥床や嚥下障害により、血流の停滞や誤嚥、皮膚の損傷が起こりやすくなります。
リハビリや体位変換、栄養管理などの対策が重要です。

<参照元>
13 脳卒中リハビリテーション治療に おける下肢 DVT 管理https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/58/7/58_58.731/_pdf
2脳卒中|病気について|循環器病について知る|患者の皆様へhttps://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/stroke-2
3脳梗塞患者の褥瘡予防における多価不飽和脂肪酸栄養投与の検討.順天堂大学保健看護学部.2015;3:15-20.https://www.juntendo.ac.jp/assets/3-kenkyu_subete.pdf

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PROFILEこの記事の監修
貴宝院 永稔
貴宝院 永稔 医師
(大阪医科薬科大学卒業)
  • 脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
  • 日本リハビリテーション医学会認定専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定指導医
  • 日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
  • ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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