脳卒中治療における作業療法のガイドラインと理学療法の違い脳卒中・脊髄損傷|麻痺痺れなど神経再生医療×同時リハビリ™で改善

脳卒中治療における作業療法のガイドラインと理学療法の違い

           

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この記事を読んでわかること

作業療法と理学療法との違い
脳卒中、作業療法のガイドラインとは
脳卒中治療ガイドラインにおける作業療法


脳卒中は症状が非常に多彩であり、後遺症の種類も患者さんによってさまざまです。
生活への復帰を目指すリハビリテーションでは、それぞれの患者さんの症状に合わせて治療法を検討していく必要があります。
脳卒中のリハビリテーションという言葉には多くの意味を含みますが、その中の一部として、作業療法という治療法があります。
脳卒中の治療において重要な役割を果たす治療方法であり、多くの知見が積み重ねられガイドラインが作成されています。
ここでは脳卒中、作業療法のガイドラインについて解説していきます。

作業療法と理学療法の役割の違い

作業療法ガイドライン
作業療法とは、「身体または精神に障害のある者、またはそれが予測される者に対して、その主体的な活動の獲得をはかるため、諸機能の回復・維持および開発を促す作業活動を用いて行う治療・指導・援助を行うこと」(日本作業療法士協会)と定義されています。
一般的にリハビリテーションというと理学療法士をイメージすると思います。
定義だけからすると理学療法との違いが分かりづらいのですが、大まかに次のような点で違いがあります。

  • 理学療法では立つ、座る、歩くなどの基本となる動作を習得しようとするのに対して、作業療法では食事をする、顔を洗う、料理をするなど日常生活動作の習得を目指す
  • 理学療法では体の粗大な動きを主に訓練するのに対して、作業療法では手の動作や指の細かい動作などの機能訓練を行う
  • 作業療法は精神分野のリハビリテーションもその範囲に含む。精神的な機能についても訓練を通じて回復、維持を図る

脳卒中のリハビリは理学療法と作業療法を組み合わせて、症状や患者さんのニーズに合わせた治療を行っていきます。

脳卒中、作業療法のガイドラインとは

ガイドラインというのは、ある疾患や治療法に関する専門家が集まり、学術論文のデータ収集を通じて定められる指標であり、診療活動の指針となるものです。
質の高い学術論文はエビデンスレベルが高いと評価され、その論文のデータは重視されます。
多数の論文結果を総合して、治療法や評価方法について推奨レベルをグレードA~Dなどで定めています。
一般の診療活動を行っている医師は多くの疾患を診なければならないため、全ての分野の論文を網羅するのは困難であり、ガイドラインを参考に治療方針を決めていくことも少なくありません。
多くの疾患や治療法についてガイドラインが定められており、脳卒中、作業療法にもガイドラインがあります。
ここでは、日本脳卒中学会が定める「脳卒中治療ガイドライン」、および日本作業療法士協会が定める「作業療法ガイドライン-脳卒中」について紹介します。

脳卒中ガイドラインにおける作業療法の概要

脳卒中治療ガイドラインは脳卒中全般に対する治療法について定めたガイドラインであり、脳卒中に関する一般論から脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血など各疾患に関する項目が細かく記載されています。
ガイドラインの最後の項目では、各疾患と同レベルの項目として「リハビリテーション」が掲載されており、脳卒中の治療においてリハビリがどれだけ重要であるかということがわかります。
「運動障害・ADLに対するリハビリテーション」の項目では脳卒中後遺症に対して、積極的にリハビリテーションを行うことが強く勧められる、発症後早期では訓練量や頻度を増やすことが推奨される、などの記載があります。
これらはどちらもグレードAとされており、「行うよう強く勧められる」という内容になります。
ガイドラインは新たな論文が公開されるとともに年々改訂されており、脳卒中治療ガイドライン2021では「経頭蓋直流電気刺激」など電気治療をリハビリと併用することの効果が認められ、ガイドラインで推奨されるようになってきているという話題があります。

作業療法ガイドライン-脳卒中

作業療法ガイドライン-脳卒中では、脳卒中の患者さんに作業療法を行う上で指針となる内容を、作業療法士向けに定めています。

  • 脳卒中評価に用いられる評価法
  • 上肢機能改善に対する作業療法
  • ADL改善に向けた作業療法
  • 半側空間無視に対する作業療法
  • 廃用性障害への効果

といった内容が記載されており、作業療法の内容が多彩であることがわかります。
中でも重要なのがADL(日常生活動作)改善に向けた作業療法の効果です。
質の高い研究でも作業療法によりADL能力の改善があることが確認され、社会参加を促す効果があることが実証されています。
脳卒中のADL改善のため作業療法を行うことに関して、推奨レベルAと記載されています。
そのほか全体的に目立つのはバーチャルリアリティやロボットリハビリ、ビデオゲームや電気刺激など機器を使用した作業療法が推奨されていることです。
時代とともに作業療法が進化していることを計り知ることができます。
「脳卒中治療ガイドライン(2009)」「作業療法ガイドライン-脳卒中」はいずれもウェブ上に公開されており誰でも読むことができます。
興味のある方は、ぜひご覧になってみてください。

作業療法ガイドライン-脳卒中

理学療法は、筋力や可動域の改善に焦点を当て、作業療法は日常生活の動作を重視します。
この二つが効果的に連携することで、患者の全体的な生活の質が向上します。
例えば、理学療法で基礎体力を向上させ、作業療法で食事や着替えといった具体的な動作に応用することが効果的です。
リハビリプランには、このような総合的な視点を取り入れることが重要です。

ガイドラインに基づく作業療法の進め方のまとめ

脳卒中、作業療法ガイドラインについて紹介しました。
多数の論文を検討した結果として定められたガイドラインから、脳卒中の治療にはリハビリテーションが非常に重要であること、そしてリハビリテーションが進化していることを感じることができます。
患者さんそれぞれに合った理想の治療が見つかりやすくなっているのです。

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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