この記事を読んでわかること
・二分脊椎症とは
・二分脊椎症の症状
・二分脊椎症の治療
脳や脊髄が障害される疾患は様々ですが、中には生まれつき障害がある先天性の疾患があります。
頻度は高くないものの、出産直後の母親や家族に与えるインパクトが大きく重要な疾患です。
脊髄を包む骨である「脊椎」に異常が起きる先天性の疾患に二分脊椎症という疾患があります。
この記事では二分脊椎症について解説します。
二分脊椎症とは
二分脊椎症とは、妊娠初期に何らかの原因で脊椎が十分に作られず、脊髄を覆うことができない状態になったことを言います。
脊椎に覆われていない部分の脊髄は表面に露出してしまったり、周辺の組織に癒着したりすることで、神経機能の障害を来します。
10000人あたり4.8人と珍しい先天性の疾患です。
二分脊椎症の症状
二分脊椎症では背中の皮膚が欠損していることがあり、その場合脊髄が体の表面に露出するため開放性二分脊椎と呼ばれます。
開放性二分脊椎は出産直後に露出した脊髄に気づかれるため、即座に診断がなされます。
開放性二分脊椎の赤ちゃんはほとんどが水頭症を合併しているため、治療が必要になります。
水頭症を放置すると知能障害やてんかんなどの原因になります。
脊髄の神経障害は運動・感覚麻痺や排尿・排便機能の障害を引き起こします。
生まれつき運動や感覚の麻痺があると骨の成長に異常を来し、脊柱側弯(背骨が大きく横に曲がる)や足の変形、褥瘡(床ずれ)などの原因となります。
排尿機能の異常は繰り返しの感染症や尿失禁を起こします。
様々な症状と長期に渡り付き合っていかなければならないため、脳神経外科・小児科・泌尿器科・整形外科・リハビリテーション科など様々な医療を受けていく必要があります。
二分脊椎症の治療
開放性二分脊椎の場合、脊髄に感染症が起きる危険性が非常に高いため、生後2-3日以内に手術を行って閉鎖します。
合併する水頭症に対しては、脳の髄液をお腹に流すシャント術が行われます。
脊髄空洞症といって、脊髄に空洞が形成される状況を合併することがあり、これも手術による治療が検討されます。
足や背骨の変形による機能障害に対しては、リハビリテーションや歩行を補助する道具(杖や歩行器など)の使用により対処します。
変形を矯正する手術が行われることもあります。
排尿の異常に対しては子どものうちから導尿をして尿を体外へ排出させます。
感染症を繰り返すことが多いため、抗生物質による治療が行われます。
症状が高度の場合、泌尿器科的な手術が行われることもあります。
二分脊椎症に対するリハビリテーションと再生医療
二分脊椎症による神経障害は様々な症状を引き起こし、治療の難しい疾患です。
神経障害は確定するとその回復は難しく、対症療法が中心となります。
特にリハビリテーションは機能維持と生活能力の向上に有効であり、様々な手法が取り入れられます。
近年ではTMSという脳を磁気で刺激する治療法や、ロボットリハビリテーションが発展しており高い治療効果を発揮しています。
これらの治療法と相性が良いと考えられるのが、再生医療です。
再生医療では神経の元になる幹細胞を治療に使用します。
幹細胞は体内で増殖し神経細胞になることで神経の機能を再生すると期待されています。
ニューロテックメディカル株式会社では、「ニューロテック®」として脳卒中・脊髄損傷・神経障害などに対する幹細胞治療の基盤特許を取得しており、再生医療の効果を高める取り組みを行っています。
二分脊椎症による神経症状に対しては、再生医療と最先端のリハビリテーションを組み合わせることで最大限の機能回復を達成できると考えています。
二分脊椎症の症状にお悩みの患者さんやご家族の方は、ぜひご相談ください。
まとめ
二分脊椎症について解説しました。
先天性の疾患であり、長期の治療が必要になる疾患です。
専門機関で治療を受けることになりますが、主治医の説明を良く聞いて納得できる治療を受けてください。
よくあるご質問
二分脊椎の主な症状は?
病気の程度や合併奇形により様々な神経症状を起こします。
脳の障害により無気力や知能障害、下肢の麻痺があると変形や歩行障害、排尿機能に異常があると感染症を繰り返したり、腎不全を起こしたりする原因になります。
二分脊椎症 何人に一人?
日本産婦人科医会の報告によれば、二分脊椎の子どもは10000人あたり4-5人程度とされています。1980年は10000人あたり2.2人であったのが増加し、近年では概ね横ばいになっています。
<参照元>
・「奇形症候群分野/二分脊椎」難病情報センターホームページ
https://www.nanbyou.or.jp/entry/2216
・「二分脊椎」日本脊髄外科学会ホームページ
http://www.neurospine.jp/original35.html
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