むくみは回復の妨げに?脳梗塞後のむくみと回復の関係性|脳卒中・脊髄損傷|麻痺痺れなど神経再生医療×同時リハビリ™で改善

むくみは回復の妨げに?脳梗塞後のむくみと回復の関係性

           

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この記事を読んでわかること

脳梗塞後のむくみが発生する原因とその仕組みがわかる。
むくみが脳梗塞の回復に与える具体的な悪影響がわかる。
むくみを放置することによるリスクと合併症がわかる。


脳梗塞は急性期の治療後にも、身体のさまざまな機能を回復させるためにリハビリテーションを行う必要があります。
その中でむくみが現れることがあり、この症状が回復にどのような影響を及ぼすのかは見過ごせない問題です。
この記事では、脳梗塞後のむくみの原因や影響、放置するリスク、そして早期改善がもたらす効果について詳しく解説します。

むくみが脳梗塞の回復に与える悪影響とは?

むくみが脳梗塞の回復に与える悪影響とは?
脳梗塞は、高血圧が長く続いた結果、動脈硬化が進行しやがて脳の血管がつまり起こるものです。
脳梗塞の治療法としては、血栓を溶かす治療薬であるrt-PA(遺伝子組み換え組織型プラスミノゲン・アクチベータ)を用いた経静脈的線溶療法や、カテーテルを用いた経動脈的血行再建療法が普及しつつあります。
そして、これによって脳梗塞が完治する可能性が高くなっています。
こうした治療法には、禁忌となる事項があることや、脳梗塞後にできるだけ早く始めなければならないという制約もあります。
一方で、脳梗塞の治療を受けた後には全身性の炎症が起こるということが最近注目されており、これが全身のむくみにつながるということがわかっています。
脳卒中の全身性炎症は、脳卒中患者の急性期や長期予後の重要な決定要因であることが判明しています。
脳梗塞が起こると、脳の細胞が壊死してしまいます。
その結果、末梢免疫系も脳卒中で受けた脳損傷への反応として急速に活性化します。
続いて、体では逆に免疫抑制状態となります。
脳卒中の慢性期には、持続的に炎症が起こり、脳卒中患者の長期的な予後に影響を与える可能性があります。
また、脳卒中患者のむくみがみられる原因として最も大きなものは、片麻痺(片側の筋力低下)です。
片麻痺の患者は、影響を受けた腕や足を定期的に動かさないため、リンパ系は筋肉や関節の動きによるリンパ液を効果的に排出することができなくなります。
その結果、腕や手にリンパ液が溜まり、外見上は腫れとして現れるのです。
むくみによる悪影響としては、下のようなものがあります。

  1. 血行不良による回復の遅れ
    むくみがあると、患部や全身への血流が悪化します。
    これにより、脳梗塞後に必要な酸素や栄養素の供給が滞り、組織の修復や神経機能の回復が遅れる可能性があります。
  2. 動作の制限
    むくみがひどくなると、手足の動きが制限されることがあります。
    これにより、リハビリテーションに支障をきたし、回復がさらに遅れる悪循環に陥る危険があります。
  3. 心理的な影響
    むくみによる身体の不快感や見た目の変化が、患者の心理的な負担を増やすこともあります。
    これがモチベーションの低下を引き起こし、リハビリの意欲が減退することも考えられます。

むくみを放置するとどうなる?関節拘縮や褥瘡のリスクが高まる?

むくみを放置するとどうなる?関節拘縮や褥瘡のリスクが高まる?
むくみに適切な対処をしない場合、関節拘縮や褥瘡のリスクが高まることが懸念されます。
さらに、感染症のリスクも高まります。
以下で、詳しく解説しましょう。

  1. 関節拘縮のリスク
    むくみによる腫れが長期間続くと、関節周囲の組織が硬化し、関節の可動域が狭くなる「関節拘縮」が起こりやすくなります。
    これにより、日常生活の動作が困難になり、リハビリの成果が出にくくなります。
  2. 褥瘡(じょくそう)の発生
    むくみが続くことで皮膚や筋肉への血流がさらに悪化し、褥瘡(いわゆる「床ずれ」)が発生するリスクが高まります。
    褥瘡は一度発生すると治療に時間がかかり、患者のQOLも著しく低下してしまうことがあるので、早めの対応が必要です。
    定期的な体位変換や、体重がかかる部分にパッドなどを当てておくなどの方法があります。
  3. 感染症のリスク
    むくみによってリンパの流れが滞ると、免疫機能が低下し、感染症のリスクが高まります。
    特に皮膚がむくみで張り詰めた状態では、細菌の侵入が起きやすくなります。

むくみの早期改善が脳梗塞回復を早める理由と生活の質の向上

むくみを早期に改善することは、脳梗塞後の回復を加速させるだけでなく、生活の質を向上させるためにも重要です。

  1. 血流改善で回復をサポート
    適切な対処により血液循環が改善されると、脳や身体への栄養供給がスムーズになります。
    これにより、神経細胞の回復や筋肉の再生が促進されます。
  2. リハビリ効果の向上
    むくみが軽減されると、手足の可動域が広がり、リハビリテーションの効果が高まります。
    これは、患者がより積極的に運動療法に取り組めることにもつながります。
  3. 心理的安定の確保
    むくみが改善されることで、不快感が軽減され、患者の気持ちが前向きになります。
    この精神的な安定が、回復意欲の向上や全体的な治療成果に大きな影響を与えてしまいます。
  4. 日常生活の質の向上
    むくみが改善されると、衣服の着脱がしやすくなる、見た目の問題が解消されるといった日常生活の改善が得られます。
    これにより、患者が自立した生活を取り戻しやすくなります。

まとめ

脳梗塞後のむくみは、回復を妨げる要因となるだけでなく、適切に対処しないとさらに深刻な合併症を引き起こすリスクがあります。
しかし、むくみを早期に改善することで、回復を促進し、患者の生活の質を大きく向上させることが可能です。
むくみに対しては、専門家の指導のもと、適切な運動療法やリンパドレナージュ、弾性ストッキングの活用、食事の見直しなどを行うことが推奨されます。
患者本人だけでなく、家族や介護者もむくみの重要性を理解し、適切に対応していくことが大切です。
脳卒中後のリハビリテーションの効果を高めるため、当院ニューロテックメディカルでは『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』を、ニューロテック®と定義しました。
脳卒中や脊髄損傷、神経障害の患者さんに対する『狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療』を、リニューロ®と定義しました。
神経再生リハビリ®は、再生医療に合わせて磁気刺激や電気刺激などで神経回路を興奮しやすくした上での反復訓練(川平法®)などをおこなうことで、狙った神経回路の強化及び再構築を目指すリハビリです。
脳梗塞後のむくみに対しても、適切なリハビリを行うことで改善が期待できます。
ご興味のある方は、ぜひ一度当院までご相談くださいね。

よくあるご質問

脳梗塞後、足がむくむのはなぜですか?
脳梗塞後の足のむくみは、片麻痺による運動不足でリンパの流れが滞ることが原因です。
また、全身性炎症や血行不良もむくみを引き起こします。
脳梗塞後のむくみはリハビリの妨げとなる場合もありますので、早期改善が重要です。

脳出血とむくみの関係は?
脳出血は脳内で血管が破れて出血する状態であり、周囲の脳組織に直接的な損傷を与えるだけでなく、広範囲にわたる身体への影響を引き起こします。
この出血による炎症反応や血流の変化が、むくみの発生に関与しています。

<参照元>
Swollen Arm After Stroke: How to Manage This Common Complication.|Flint Rehab:
https://www.flintrehab.com/swollen-arm-after-stroke/
Simats A, Liesz A. Systemic inflammation after stroke: implications for post-stroke comorbidities. EMBO Mol Med. 2022 Sep 7;14(9):e16269. doi: 10.15252/emmm.202216269. Epub 2022 Aug 15. PMID: 35971650; PMCID: PMC9449596.:
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9449596/
Chen S, Shao L, Ma L. Cerebral Edema Formation After Stroke: Emphasis on Blood-Brain Barrier and the Lymphatic Drainage System of the Brain. Front Cell Neurosci. 2021 Aug 16;15:716825. doi: 10.3389/fncel.2021.716825. PMID: 34483842; PMCID: PMC8415457.:
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8415457/
脳血管障害・脳卒中 | e-ヘルスネット(厚生労働省):
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-006.html

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PROFILEこの記事の監修
貴宝院 永稔
貴宝院 永稔 医師
(大阪医科薬科大学卒業)
  • 脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
  • 日本リハビリテーション医学会認定専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定指導医
  • 日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
  • ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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