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関節リウマチと脊柱管狭窄症の関係とは

           

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この記事を読んでわかること

関節リウマチが脊椎に与える影響
関節リウマチの診断
関節リウマチの治療


関節リウマチとは膠原病の一種で、関節内の滑膜と呼ばれる組織が異常増殖することで炎症を引き起こす病気です。
この炎症は脊椎の関節でも引き起こるため、脊椎の安定性が失われ、脊柱管がずれることで様々な病気をきたす可能性があります。
そこで今回の記事では、関節リウマチと脊柱管狭窄症の関係性などについて解説していきます。

関節リウマチが脊椎に与える影響

関節リウマチ
結論から言えば、関節リウマチによって全身の骨や関節に変形を来たし、様々な神経症状を来たす可能性があります。
関節リウマチとは膠原病の一種であり、膠原病とは自分の体内で発生したものを敵と勘違いして攻撃してしまい、炎症が生じる病気のことです。
関節リウマチの場合、全身の関節内の滑膜と呼ばれる組織が異常増殖し、それを異物と認識した免疫細胞(白血球など)が攻撃してしまうため、手足の関節はもちろん、股関節や膝関節、脊椎に至るまで炎症が引き起こる可能性があるのです。
関節内に炎症が引き起こると、周囲の軟骨や組織も磨耗していき、骨そのものが変形、破壊されていく可能性もあります。
では、関節リウマチが進行すると具体的にどのような病気を併発してしまうのでしょうか?

環軸椎亜脱臼

関節リウマチの炎症が第1−2頚椎に及ぶと、環軸椎亜脱臼を生じる恐れがあります。
7個ある頚椎の中でも最も上位レベルに存在する第1頚椎を環椎、その1つ下のレベルにある第2頚椎を軸椎と言い、両方合わせて環軸椎と呼びます。
頸部の左右の回旋運動には環軸椎の働きが必須であり、ここに炎症が及ぶことで頸部は非常に不安定になってしまいます。
関節リウマチによって環軸椎亜脱臼がある状態では、首を不用意に前屈させると内部を走行している頸髄が圧迫されてしまい、場合によっては呼吸や心臓の動きが止まってしまう可能性もあるため、非常に危険な病態と言えます。

脊柱管狭窄症

関節リウマチが進行すると脊椎にも炎症が生じ、周辺組織である関節、靭帯、軟骨なども磨耗していき、安定性が失われていきます。
その結果、背骨椎間板関節黄色靱帯などで囲まれたトンネルである脊柱管が狭窄していくのです。
脊柱管内部には脊髄が走行しているため、狭窄部位に応じて下肢のしびれ、麻痺など様々な神経症状をきたします。
また、特に関節リウマチでは腰部の脊椎、つまり腰椎で脊柱管狭窄症を引き起こしやすく、特徴的な症状として間欠性跛行が挙げられます。
これは、ある程度の距離を歩行すると自然と脊柱管の狭窄度合いが強くなり、下肢のしびれや麻痺が増悪して歩けなくなる症状のことです。
少し休憩すると脊柱管の圧迫が解除され、症状が緩和する点でも特徴的です。

変形性関節症

関節リウマチの炎症は脊椎のみならず、膝関節や股関節などの大きな関節にも影響を及ぼします。
関節内で生じた炎症によって軟骨が溶けてしまい、膝関節や股関節の骨同士が直接こすれ合ってしまうため痛みが生じてしまうのです。
さらに進行すると骨自体が破壊されてしまい、手術をするにしても難易度も上がっていきます。
症状が膝関節に生じた場合は変形性膝関節症、股関節に生じた場合は変形性股関節症と言います。

関節リウマチの診断

関節リウマチの診断は、腫脹している関節の数や血液検査での炎症反応の値、自己抗体の有無、炎症の期間など様々な指標を元に行います。
脊柱管狭窄症や環軸椎亜脱臼、変形性関節症などの併発する疾患に関しては、症状の出ている部位に対するレントゲン検査やMRI検査などの画像検査を行い診断を付けていきます。

関節リウマチの治療

関節リウマチの治療は主に薬物療法、手術療法、理学療法の3つです。
以前までは炎症や痛みを抑えるだけの対症療法しか手立てがありませんでしたが、特に近年では薬物療法の進化が目覚ましく、リウマチの進行そのものを止めるような薬も開発されています。
しかし、進行して脊柱管狭窄症や環軸椎亜脱臼などを併発し、神経所見まで出現している場合は手術療法も検討しなくてはなりません。
また、関節が徐々に破壊されていくと運動機能にも支障がでるため、リハビリテーションなどの理学療法も非常に効果的な治療法です。

まとめ

今回の記事では関節リウマチについて解説し、脊柱管狭窄症との関係性についても深掘りさせて頂きました。
関節リウマチは、全身の関節内の滑膜をターゲットにした自己抗体が炎症を引き起こす膠原病の一種であり、手足の関節はもちろんのこと、膝関節や股関節、脊椎など大きな関節にも影響を及ぼす疾患です。
特に、頚椎の変形による頸髄の損傷は、呼吸機能や心臓の動きにダイレクトな影響を与え、致命的になるため注意が必要です。
このように、関節リウマチは炎症によって周辺組織の変形をきたし、場合によっては神経を損傷する恐れもあるため、早期から専門の医療機関に受診されることをオススメします。
また、近年では再生医療の発達も目覚ましいです。
再生医療はご自身の幹細胞を抽出、増殖し体内に戻すことで、本来であれば再生しない神経細胞の再生を促す新しい治療法です。
関節リウマチや脊柱管狭窄症で障害された神経の再生も期待できるため、現在その知見が待たれるところです。

よくあるご質問

関節リウマチの初期症状は?
手足のこわばり、関節の痛み、持続する微熱が多いです。手足のこわばりは左右対象に指の関節に多く、朝に症状が強いのが特徴です。息切れや体重減少、健診の尿検査(蛋白、潜血)を契機に診断される方も多く、早めの受診が重要です。

関節リウマチの特徴的な症状は?
手足、特に指の朝のこわばり、関節の腫脹・変形、痛みが長期間持続することが特徴です。症状は左右対称に現れやすいのが特徴です。血液検査では炎症反応が高くなります。

<参考サイト>
・宇多野病院 https://utano.hosp.go.jp/section/13_17.html
・東京大学整形外科教室 http://www.u-tokyo-ortho.jp/outpatient/disease/backbone_03.php

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
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