この記事を読んでわかること
・アテトーゼ型脳性麻痺の原因がわかる
・アテトーゼ型脳性麻痺の症状がわかる
・アテトーゼ型脳性麻痺との向き合い方がわかる
胎児期や出生時に何らかの原因で脳にダメージを受け、運動障害や知的障害・言語障害など、生まれながらにさまざまな神経症状をきたす病気を脳性麻痺といいます。
出現する症状によって4つの病型に分類され、身体に不随意運動が生じる脳性麻痺をアテトーゼ型と呼びます。
この記事では、アテトーゼ型脳性麻痺の原因や症状について解説します。
延髄梗塞で現れる特徴的な症状:めまいや嚥下障害
延髄とは、脳幹の一部であり、呼吸や循環、嚥下、消化、嘔吐などの中枢として生命の維持に不可欠な機能をになっています。
(参照元#1:公益財団法人日本産婦人科医会)
そのような延髄の外側部分の脳卒中による神経学的な症状をまとめて、ワレンベルク症候群といいます。
これは、脳幹、特に小脳に血液を送る動脈の一つが閉塞することによって起こります。
(参照元#2:NIH)
(参照元#3:延髄梗塞の臨床的検討)
ワレンベルク症候群の主な症状
ワレンベルク症候群の症状は、以下のようなものです。
- 嚥下困難
- 声がれ
- めまい
- 吐き気と嘔吐
- 眼振(目の急速で不随意な運動)
- 体幹失調(歩行時にバランスがとりづらくなる)
- 四肢失調(手足の動きや会話などの身体の機能がうまくコントロールできず、バランスや姿勢が保てない状態)
- 顔の片側のみ温痛覚が低下する
- 止まらないしゃっくり
- ホルネル徴候
- 片麻痺(体のどちらかの半身が麻痺する)
(参照元#2:NIH)
(参照元#3:延髄梗塞の臨床的検討)
延髄梗塞の初期の症状の中で、めまいは特徴的といえます。
めまいは、突然回転するような感覚や平衡感覚の喪失として現れます。
これは、延髄が内耳と脳をつなぐ重要な役割を果たしているためです。
(参照元#4:めまいの臨床)
また、延髄梗塞が起こると嚥下障害も大きな問題となります。
神経学的レベルでは、両側の延髄嚥下中枢は1つの統合された中枢として機能しており、この中枢の一部が梗塞すると、嚥下が完全にできなくなるのです。
(参照元#5:NLM)
嚥下障害が起こると、飲み込むことが難しくなり、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
嚥下機能の低下は、食事中にむせたり、食べ物が喉に引っかかる感覚として自覚されることが多いです。
これらの症状が現れた際には、速やかに医療機関を受診することが重要です。
片側性の筋力低下が示す延髄の損傷サイン
延髄梗塞では、片側の筋力低下が特徴的なサインとして現れます。
山崎らの研究によると、延髄梗塞患者の55.3%の方に片麻痺、つまり体の片側の筋力が低下し動かしづらくなる症状が出たと報告されています。
(参照元#3:延髄梗塞の臨床的検討)
また、同じ研究では、顔面の麻痺も32.5%の方に生じたとされています。
(参照元#3:延髄梗塞の臨床的検討)
これは、延髄は脳と脊髄をつなげるような部分にあり、身体の運動を制御しているためです。
なお、脳から手足に指令が手足に伝わる神経回路は、延髄の下部で交叉しています。
(参照元#6:上位と下位の運動神経細胞)
そのため、延髄のどこで梗塞が起こるかによって左右の手足のどちらに麻痺が出るのかは変わってきます。
さらに、舌の片側が動かしにくくなる場合や、発声が困難になるケースもあります。
これらの症状は、進行すると呼吸障害や意識障害につながる恐れがあるため、早期の診断と治療が必要です。
脳梗塞であっても片麻痺の症状は生じます。
それに加えて、片側の顔面麻痺に伴う、その反対側の半身感覚障害を伴う場合には、延髄梗塞を疑うことが大切です。
医療機関で行われる延髄梗塞の診断プロセス
医療機関で行われる延髄梗塞の診断プロセスを下に挙げていきます。
(参照元#7:近畿大学病院)
延髄梗塞の診断には、MRI(磁気共鳴画像法)やCTスキャンが用いられます。
特にMRIは、脳幹の詳細な画像を撮影できるため、延髄の異常を的確に捉えることができます。
MRI拡散強調画像(DWI)は、急性期の延髄梗塞を検出するのに非常に有効であり、診断精度を高めます。
早期に異常が見つかった場合、迅速に血流を再開させる治療が可能となります。
CTスキャンは、出血の有無を確認するために実施されることが多く、脳出血との鑑別に重要です。
特に、緊急時にはCTが最初の選択肢となるケースが多く、短時間で結果が得られる点が利点です。
また、神経学的検査では、顔面や手足の感覚、筋力低下の有無が確認されます。
医師は、視覚・聴覚・反射などの異常がないか詳細に調べ、延髄に関連する神経機能の状態を評価します。
嚥下障害が疑われる場合には、嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(VE)を行い、嚥下機能を詳しく調べます。
嚥下の様子をリアルタイムで観察し、どの段階で問題が生じているかを特定します。
(参照元#8:摂食嚥下障害Q&A)
さらに、血液検査では、動脈硬化や脂質異常症などのリスク要因が評価されます。
血栓の存在を示すDダイマー値や、炎症の程度を示すCRP値などが測定され、延髄梗塞の背景因子が明らかになります。
併せて、心電図やホルター心電図を用いて、心房細動などの不整脈が梗塞の原因となっていないかを確認します。
再生医療の分野でも、延髄梗塞に対する新たな治療法が注目されています。
ニューロテックでは、延髄梗塞による神経障害を軽減するために『リニューロ®』を提供しており、骨髄由来間葉系幹細胞や神経再生リハビリ®の併用が推奨されています。
まとめ
延髄梗塞は、日常生活に支障をきたすさまざまな症状を引き起こしますが、早期発見と適切な診断によって予後が大きく改善します。
めまいや嚥下障害、片側性の筋力低下などの症状が見られた際には、速やかに医療機関を受診しましょう。
再生医療の進展により、延髄梗塞に対する治療法はさらに広がりつつあります。
狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療リニューロ®などの新しい治療技術を活用することで、神経回路の再構築が期待されています。
延髄梗塞に対する理解を深め、適切な対策を講じることが大切です。
よくあるご質問
- 延髄梗塞の症状は?
- 延髄梗塞の主な症状には、めまい、嚥下困難、声がれ、片側の筋力低下、顔の感覚異常などがあります。
これらはワレンベルク症候群とも呼ばれ、脳幹の血流が途絶えることで発生します。
重症の場合、呼吸や意識にも影響を及ぼします。 - 延髄が障害されるとどうなる?
- 延髄が障害されると、呼吸や心拍、嚥下など生命維持に関わる機能が低下します。
嚥下障害や片麻痺、平衡感覚の喪失が生じ、重篤な場合は命に関わることもあります。
早期発見と治療が重要です。
<参照元>
#1:公益財団法人日本産婦人科医会:https://www.jaog.or.jp/
#2:Wallenberg’s Syndrome|NIH:https://www.ninds.nih.gov/health-information/disorders/wallenbergs-syndrome
#3:延髄梗塞の臨床的検討.脳卒中.2007;29:502-507.|J-STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/29/4/29_4_502/_pdf/-char/ja
#4:<シンポジウム25―1>めまいの臨床:最近の進歩Overview:めまいの臨床を理解しよう:https://www.neurology-jp.org/
#5:El Mekkaoui A, Irhoudane H, Ibrahimi A, El Yousfi M. Dysphagia caused by a lateral medullary infarction syndrome (Wallenberg’s syndrome). Pan Afr Med J. 2012;12:92. Epub 2012 Jul 31. PMID: 23077713; PMCID: PMC3473978.:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3473978/
#6:上位と下位の運動神経細胞|Nursing Care and Pathological Database of ALShttps://pathologycenter.jp/
#7:脳梗塞の治療|近畿大学病院:https://www.med.kindai.ac.jp/
#8:摂食嚥下障害Q&A|日医工株式会社:https://www.nichiiko.co.jp/
・Hemiparesis: What It Is, Causes, Symptoms, Treatment & Types|Cleveland Clinic:https://my.clevelandclinic.org/health/symptoms/24952-hemiparesis
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