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認知症の初期に起こりやすい症状や重度認知症について

           

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この記事を読んでわかること

認知症による認知機能の症状とは
認知機能が低下することで起こる行動と心理の症状


認知症の症状といえば、新しいことを覚えることができない、もの忘れがまず思い浮かぶと思います。
もの忘れは認知機能の一つである「記憶」の症状です。
認知機能は記憶だけではなく、さまざまな機能のことを指しており、認知症ではそれらが全般的に障害されるため、さまざまな症状が起こります。
そして認知症の進行とともに症状が重くなり、自立した生活が難しくなってしまいます。
ここでは、認知症の症状について解説していきます。

認知症による認知機能の症状とは

もの忘れ
認知症で障害される主な認知機能には、注意遂行機能記憶言語視空間認知行為社会的認知があります。
少し難しい言葉ですが、それぞれについて紹介していきます。

・注意障害
注意というのは身の回りの状況を認識するための機能です。
話を聞いて理解する、物事に集中するといった機能が低下するため、やや複雑なことについて理解したり、反応したりすることが難しくなります。
いろいろな作業でミスが増える、ぼんやりして反応が遅いなどの症状が目立ちます。
・遂行機能障害
ある目的に向かって計画を立て、実行し進めていく能力を遂行機能といいます。
認知症で遂行機能が障害されると、物事を段取りよく進めることが難しくなり、期日や締切りに間に合わない、最後までやりきることができないなどの症状が起こります。
・記憶障害
その日あった出来事を覚えていることができない、食事をしたのを忘れてしまうなどの症状です。
初期では昔のことはよく覚えているものの、最近のことを忘れてしまう前向性健忘が目立ち、進行すると昔のことも忘れてしまうようになります。
無意識にやる動作、たとえば食事をするためお箸やスプーンを使う、立って歩く、自転車に乗るなどに関する記憶は保たれることが多いという特徴があります。
・失語
言語を認識し、理解したり言葉を発したりする能力が障害されるのが失語です。
言葉を聞いても理解できず、意味のある発話が難しくなるため、意思の疎通が困難になります。
書字が難しくなることを失書といいます。
・視空間認知障害
見たものや空間を認識するのが難しくなる症状です。
図を認識できないため写し取ることができない、よく知っている場所でも道に迷うなどの症状が起こります。
・失行
日常で行う動作や、道具を使用できなくなる、「行為」の障害です。
細かい動きができず動作がぎこちなくなる、バイバイなどのジェスチャーができなくなるなどの症状が起こります。
・社会的認知の障害
他人の表情から考えていることを読み取る、周囲の状況を認識する、といった能力が低下します。
ある程度認識できたとしても適切な行動をとることができず、大声を出してしまうなど不適切な行為をとってしまいます。

以上のように、認知症ではさまざまな認知能力の低下が起こります。
初期から起こりやすいのは注意障害や記憶障害(前向性健忘)、失語(特に書字が難しくなる失書)などです。

認知機能が低下することで起こる行動と心理の症状

認知機能の低下がもととなり起こる行動や心理の症状を、BPSD(behavioral and psychological symptoms of dementia)といいます。
BPSDには、活動亢進、精神病様症状、感情障害、アパシーがあります。

・活動亢進
もの忘れなどを自覚し不安やあせりを感じ、いらいらしたり不機嫌になったりします。
症状が進むと暴言を放つ、暴力を振るう、興奮してしまうなど攻撃性が増すようになります。
自分がどこにいるか分からない、忘れてしまうといった状況から、その場にとどまっていることができず徘徊するといった症状もここに含まれます。
・精神病様症状
幻覚、妄想などがあります。
注意力の低下や健忘が元で自分の大事なものがどこにあるかわからなくなり、「誰かが自分の財布を盗んだ」「ひどい目にあわされている」といったもの盗られ妄想、被害妄想といった症状になります。
・感情障害
認知機能が低下することで感じる不安やあせりは、時にうつ状態に至ることがあります。
アルツハイマー型認知症では早期から起こりやすい症状です。
・アパシー
自発性や意欲が低下し、自ら行動することができなくなってしまいます。
周囲に対する興味が失われ、何が起きても無反応といった状態になります。

認知症が進行するとどうなる?重度認知症とは

認知症の症状は徐々に進行し、重度認知症となると自立した生活は困難となります。
重い記憶障害があり、残っているのは断片的な記憶のみで、自分の家族のみかろうじて認識できる程度となります。
自分で判断して問題を解決するのは困難となり、社会への参加はできなくなります。
家庭内でも意味のある行動をとることは難しく、しばしば失禁するため常に介助が必要な状況となります。
歩行障害や食事の障害なども顕著になるため、転倒による骨折のリスク、低栄養、誤嚥による肺炎など急に体調を崩す可能性が高くなります。
病院での治療も落ち着いて受けることができず、点滴を自分で抜いてしまう、治療者に対して暴言を吐いてしまうといった状況になります。
ここまで進行すると生命予後が厳しいものとなり、いわば認知症の「終末期」であると捉えられます。

まとめ

認知症の症状について、解説しました。
認知症は軽度であれば体は元気で日常生活も可能であるため、病気とは捉えられづらい疾患かもしれません。
しかし進行すると必ず介護が必要となり、生命にも影響する可能性のある、怖い病気であるという認識が必要です。

データ参照元:日本神経学会 認知症疾患診療ガイドライン2017

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
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