この記事を読んでわかること
頚椎症性脊髄症に対する治療方法
治療での回復の定義
リハビリテーションの内容と生活での注意点
頚椎症性脊髄症とは首の高さの背骨の中を通る神経が圧迫されることで、運動麻痺や感覚障害などが出現する疾患です。
症状によって保存療法もしくは手術療法を行いますが、治療期間は人によって大きく変わります。
この記事では頚椎症性脊髄症の治療や回復について、治療方法の違いやリハビリテーション、生活での注意点を解説します。
症状に合わせて選択される2つの治療
頚椎症性脊髄症とは、加齢性の変化によって首の骨の中を通っている神経が圧迫され、不安定性や外傷などが加わることで発症する脊髄の麻痺のことです。(頚椎症性脊髄症診療ガイドライン2023|日本整形外科学会)
主な症状としては、損傷した神経が動かしている部位より下の運動麻痺や感覚障害があります。
治療は軽症例では保存療法、症状が進んでしまう場合は手術療法を行います。
軽症例に適応になる保存療法
頚椎症性脊髄症の治療で軽症の方には首の安静を行う保存療法が適応になります。
主な内容としては、装具を使用して首を安定させる装具療法、首を軽く引っ張って負担を和らげる牽引療法、症状を悪化させないための日常生活指導、痛みやしびれに対する内服治療があります。
カイロプラクティックなどで行われる徒手療法に関しては、神経症状を悪化させる恐れがあるため、あまりおすすめできません。
症状が進行してしまう場合に推奨される手術療法
保存療法を行っても、症状が進行してしまう場合は手術療法を選択します。
手術療法は神経機能や生活の質、痛みの改善に有効です。
術後の改善度合いは年齢や術前の重症度、圧迫を受けていた期間、圧迫の度合いによって変わります。
80歳以上のご高齢の方は若い方に比べて術後の神経症状が改善しにくいですが、手術のメリットがリスクを上回ることが予測される場合は、手術を検討します。
頚椎症性脊髄症の治療で「治った」と言える回復の目安
頚椎症性脊髄症の治療は保存療法と手術療法の2種類ですが、どちらの治療も症状の完全な回復ができないことがあります。
そのため、医療者が判断する治ったと言える回復の度合いと一般的に考えられる治る基準に違いがあります。
頚椎症性脊髄症の治療での目標
頚椎症性脊髄症の治療の目標は、保存療法では現状の症状が進行しないことと、手術療法では神経の圧迫を軽減して症状の改善を図ることです。
保存療法では出現している症状と上手く付き合えるようになることが治療の一つのゴールになります。
また、手術療法では治療によって神経機能がどの程度まで改善するかの予測が難しく、術後もしびれや運動麻痺が残ってしまうこともあります。
そのため、医療者が考える頚椎症性脊髄症が治ったと言える回復の目安は、症状が悪化しない、もしくは手術で症状が改善して日常生活が送れるようになることです。
治療開始から回復にかかる期間
頚椎症性脊髄症は治療方法によって、回復にかかる期間が変わります。
保存療法では、悪化予防が主な目的のため、医師や理学療法士と相談しながら症状が悪化しない生活スタイルを獲得するまでが治療期間になります。
手術療法では、術後にリハビリを行なって退院して生活が安定するまでが治療期間です。
症状の改善には神経が圧迫を受けていた期間などの様々な原因が影響を与えるため、どの程度の治療期間がかかるかは個人差があります。
入院中はリハビリテーションを行い、必要であれば退院時に訪問リハビリテーションなどのサービスの利用も検討します。
手術療法でも保存療法と同様に、症状が再発しないような動作を獲得し、自主練習で身体機能を維持できる状態を目指します。
治療後のリハビリテーションと生活での注意点

保存療法・手術療法のどちらの場合でも治療としてリハビリテーションを行います。
また、生活では気をつけなければならない注意点もあります。
身体機能や生活能力を維持するためのリハビリテーション
頚椎症性脊髄症では、症状として運動麻痺や感覚障害が出現します。
また、手術療法では術後の痛みなどの影響でベッド上に寝ている時間が増え、筋力や体力が低下することがあります。
そのため、リハビリは現状の筋力・体力などの身体機能や生活能力を維持・向上を目指します。
リハビリは身体機能を改善し日常生活動作を再獲得するための運動や、物理療法で症状の緩和を行います。(頚椎変性疾患患者に対する理学療法の効果|J-stage)
日常生活で首に負担をかけないための工夫
頚椎症性脊髄症は首の骨の隙間を通っている神経が圧迫を受けることで症状が出現します。
首の骨の隙間は首を反らして上を向く姿勢で最も圧迫されます。
そのため、日常生活では首を反らすような動作は避ける必要があります。
また、デスクワークで首を下に向けたような姿勢やスマートフォンを胸の高さで操作をすると首に大きな負担がかかります。
日常生活ではこのような姿勢を取ることは避け、デスクワークの環境を整えたり、スマートフォンを顔の高さで操作するなどの対策を行いましょう。
まとめ
この記事では頚椎症性脊髄症の治療や生活の工夫について解説しました。
頚椎症性脊髄症の治療は保存療法と手術療法があり、症状によって治療方法が選択されます。
治療では症状が進行しないことや日常生活が維持できていることが目標になります。
リハビリテーションは保存療法と手術療法のどちらでも行い、生活では首への過度な負担を避けることが重要です。
頚椎症性脊髄症で損傷した神経の治療は確立されていませんが、再生医療にはその可能性があります。
今後、神経再生医療×リハビリテーションの治療の研究は進んでいきます。
私たちのグループは神経障害は治るを当たり前にする取り組みを『ニューロテック®』と定義しました。
当院では、リハビリテーションによる同時刺激×神経再生医療を行う『リニューロ®』という狙った脳・脊髄の治る力を高める治療を行っていますので、ご興味のある方はぜひ一度ご連絡をお願いします。
よくあるご質問
- 首の病気なのに、足のしびれや歩きにくさが出るのはなぜですか?
- 首の骨の中を通る脊髄は、脳から手足へと繋がる太い神経の束のためです。
首の部分でこの神経が締め付けられると、そこから下にある足の神経にも命令がうまく伝わらなくなり歩行障害が出現します。
- ウォーキングやスポーツは続けても大丈夫ですか?
- 安全な場所でのウォーキングは、体力維持のためにぜひ続けてください。
ただし、ゴルフやテニスなど首を急激にねじるスポーツや、ジョギングなど首に縦の衝撃が繰り返しかかる運動は症状を悪化させるリスクがあるため、主治医の許可が必要です。
<参照元>
(1)頚椎症性脊髄症診療ガイドライン2023|日本整形外科学会https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00606.pdf
(2)頚椎変性疾患患者に対する理学療法の効果|J-stage 葉清規ら 理学療法学 第47巻 第2号 2020年https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/47/2/47_11713/_pdf/-char/ja













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