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水頭症とは?その原因と発症メカニズムを解説

           

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この記事を読んでわかること

先天性水頭症の原因がわかる
後天性水頭症の原因がわかる
水頭症による症状がわかる


水頭症とは頭蓋内やくも膜下腔に髄液が貯留し、周辺の神経細胞を圧迫してしまう病気です。
原因は先天性疾患や腫瘍・脳卒中など多岐に渡りますが、早期治療しないとさまざまな神経症状をきたすため注意が必要です。
この記事では、水頭症の原因疾患や発症メカニズム、症状などについて詳しく解説します。

先天性水頭症の主な原因と特徴

先天性水頭症は10000人あたり3人程度に発症する病気で、胎児期に発症し、胎児期もしくは出生後診断において診断された水頭症のことを指します。
脳は頭蓋骨の中で脳脊髄液と呼ばれるプールのような液体の中に浮遊しており、この液体によって外部からの衝撃から守られたり、脳の水分量を調整して形を正常に保っています。
しかし、なんらかの原因で頭蓋内に過剰な髄液が貯留すると正常な脳細胞が圧排され、それによってさまざまな神経症状をきたす疾患こそ、水頭症です。
この脳脊髄液は、本来であれば脳室内の脈絡叢や上衣細胞で産生され、脳や脊髄周囲を循環した後、最終的にはくも膜下腔のくも膜顆粒で吸収されます。
この過程において、脳脊髄液が産生過多、もしくは循環障害や吸収障害があった場合に、脳の一部に髄液が多量に貯留し、水頭症を発症します。
先天性水頭症の原因となる主な疾患は下記の通りです。

  • 中脳水道狭窄症
  • 脊髄髄膜瘤
  • 脳瘤
  • くも膜嚢胞
  • Galen大静脈瘤
  • Dandy-Walker症候群
  • X連鎖性遺伝性水頭症
  • 全前脳胞症
  • 腫瘍
  • 頭蓋内出血
  • 感染症
  • 頭部外傷

これらの疾患によって髄液が貯留し水頭症に至りますが、実際には上記のような原因疾患は特定できず、発生過程のなんらかの原因によって水頭症を発症することが多いです。

また、人の頭蓋骨はいくつかの小さな骨が縫合されて形成されますが、生まれて間も無くは骨同士の接合がゆるく、完全には縫合されていません。
そのため、2歳以前の水頭症の発症では頭は大きくなるものの、逆に頭蓋内圧は上がりにくいため、頭痛や嘔気が生じにくい点が特徴的です。
一方、成長が進むと頭蓋骨は完全に縫合されてしまうため、水頭症によって頭蓋内圧は急速に上昇し、頭痛や嘔気が出現しやすくなります。

後天性水頭症を引き起こす疾患と要因

生まれながらに水頭症を発症する先天性水頭症に対し、生後、なんらかの脳脊髄疾患によって胎児期から高齢期にわたり、幅広い年齢でもたらされる水頭症を後天性水頭症と呼びます。
後天性水頭症の原因となる疾患は具体的に下記の通りです。

  • 頭蓋内出血
  • 重症頭部外傷
  • 脳脊髄膜炎
  • 脳腫瘍

上記のような疾患によって脳が大きく浮腫んだり、腫瘍によって肥大化することで脳の解剖に大きな変化を与え、髄液の通り道を閉塞させるのです。
髄液は先述したように多くが脳室内の脈絡叢で産生され、その後、左右の側脳室と第3脳室を結ぶ両側のモンロー腔を通過して第3脳室に至ります。
第3脳室からさらに中脳水道を通過して第4脳室に至り、最終的に出口となるマジャンディ孔およびルシュカ孔から頭や脊髄のくも膜下腔を循環して、くも膜顆粒から静脈に吸収されます。
成人の場合、脳脊髄液は頭蓋内と脊柱管内をあわせて150ml、これが1日に3回循環されるとされており、総量で450ml/日の脳脊髄液が産生されるため、この通り道のいずれかが閉塞すると水頭症を発症してしまうのです。

脳脊髄液の循環異常がもたらす影響とは

脳脊髄液の循環異常がもたらす影響とは
では、脳脊髄液の循環異常が起きた場合、全身にどのような影響を与えるのでしょうか。
特に成人の場合、頭蓋骨は硬く閉じているため、頭蓋内で水頭症が進行すると徐々に正常な脳組織が圧排されます。
その結果、頭痛や嘔気とともに下記のような症状が出現します。

  • 歩行障害
  • 認知機能低下
  • 尿失禁

水頭症によって全体的にバランス感覚が失われ、歩行が不安定になる点が特徴的です。
典型的な歩行障害の症状としては、大きく脚を開いたゆっくり歩行や、足が地面に張り付いて歩行するような磁石歩行が挙げられます。
また、比較的早期に尿失禁も認められることが多いです。
一方で、認知機能低下については症状が進行してから出現することが多く、物事の計画を順序立てて立てられなくなる、注意を払うなどのことができなくなります。
さらに症状が進行すると記憶能力も低下するため、注意が必要です。
早期に治療を行えば神経症状が改善することもありますが、認知機能低下を認めるまで症状が進行してから治療した場合、そこまで認知機能が改善しないことも多いため、早期診断・早期治療が肝要です。

まとめ

今回の記事では、水頭症の原因や発症メカニズムについて詳しく解説しました。
水頭症はさまざまな原因で生じる病態であり、また胎児期に形成されることもあれば、成人や中高年でもなんらかの疾患に続発して生じることもあります。
どちらにせよ、貯留した髄液によって神経細胞が障害されれば重篤な神経学的後遺症を残す可能性があるため、早期発見・早期治療が肝要です。
一方で、近年では水頭症による後遺症に対する新たな治療法として再生医療が大変注目されています。
ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、これまで改善の困難であった水頭症後の後遺症の改善が期待できます。

よくあるご質問

水頭症のメカニズムは?
水頭症のメカニズムは、脳室内で産生された脳脊髄液の産生過剰、もしくは脳内部の通り道の閉塞や狭窄(通過障害)、もしくは適切に吸収されない(吸収障害)ことが原因です。

脳出血で水頭症になるのはなぜ?
脳出血で水頭症になる理由は、くも膜下腔にある髄液の吸収部位であるくも膜顆粒が出血によって生じた血腫によってその機能を障害されるためです。
その結果、うまく髄液を吸収できなくなり、水頭症に至ります。

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    <参照元>
    1先天性水頭症|小児慢性特定疾病情報センターhttps://www.shouman.jp/disease/details/11_03_010/
    2胎児期水頭症の診断と治療(生後の対応とケア)|日本産婦人科医会https://www.jaog.or.jp/sep2012/JAPANESE/jigyo/SENTEN/kouhou/suiT02.htm
    3正常圧水頭症|MSDマニュアルhttps://www.msdmanuals.com/

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    PROFILEこの記事の監修
    貴宝院 永稔
    貴宝院 永稔 医師
    (大阪医科薬科大学卒業)
    • 脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
    • 日本リハビリテーション医学会認定専門医
    • 日本リハビリテーション医学会認定指導医
    • 日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
    • ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

    私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
    リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
    このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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