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iPS細胞は治療だけでなく研究分野にも応用可能!実例も紹介

           

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この記事を読んでわかること

iPS細胞の概要がわかる。
iPS細胞を用いた再生医療の概要がわかる。
iPS細胞を応用した研究についてわかる。


人工的に作製されたiPS細胞はさまざまな系統の細胞に変化することができ、さまざまな臓器や組織の再生医療に有用です。
また最近では治療分野だけでなく研究分野でもiPS細胞の活用が進んでおり、新薬開発や病態解明に役立っています。
この記事では、iPS細胞のさまざまな活用事例を紹介します。

iPS細胞の治療への応用とは

心臓の絵と体の絵をテープで貼り合わせる子どもと研究者
2006年、京都大学の山中教授の研究グループがiPS細胞を作り出すことに成功して以来、さまざまな治療の分野にiPS細胞は応用されてきました。
iPS細胞とは、ヒトの皮膚の細胞にいくつかの遺伝子を組み込み、人工的に作られた幹細胞(さまざまな系統の細胞に分化(変化)することのできる細胞のこと)です。
投与することでこれまで治療が困難であった脳や脊髄、心臓などの組織を再生させ、失われた機能や構造を取り戻す効果が期待されます。
iPS細胞を治療に応用した代表例として、心筋シートが挙げられます。
2025年に開催された大阪万博では、iPS細胞から作り出した心筋細胞が拍動する「動くiPS心臓」が目玉展示として公開されました。
これをシート状にして直接心臓に貼ることで、重度の心不全や心筋梗塞などによって傷んだ心筋の機能を再生・修復させる仕組みです。
他にも、最近ではパーキンソン病に対してiPS細胞による治療が厚生労働省に新たに承認されており、iPS細胞を応用した治療法は今後ますます開発が進むでしょう。

iPS細胞の研究分野への応用とは

テーブルの上で実験器具を使用する研究者の女性
ここまでiPS細胞を用いた治療(再生医療)について紹介しましたが、それ以外にも研究分野、特に創薬(新しい薬の開発)の分野での応用が期待されます。
iPS細胞が新薬開発において有用な点として下記の2点が挙げられます。

  • 動物ではなくヒトの細胞を対象に臨床試験を行える
  • 稀な疾患や難病の新薬開発を促進できる

通常、新薬の開発ではヒトに対する有効性や安全性の確認の前段階として、マウスやサルなどの動物を使って作用や副作用を確認するのが一般的です。
しかし、動物では問題なくてもヒトでの治験段階では有効性や安全性に問題が生じ、開発が途中で中止となることも少なくありません。
そこで、iPS細胞を用いれば、動物ではなく最初からヒトの組織(iPS細胞から人工的に作られたもの)を対象に作用や副作用をある程度予測できるようになるため、より安全かつ効率的に新薬を開発できます。
また、稀な疾患や難病の新薬開発にもiPS細胞は有用です。
難病の治療薬を開発する際、その患者さんの細胞からiPS細胞を作り出し、そのiPS細胞から病気特有の細胞を作り出すことができます。
病気特有の細胞を作り出すことができれば、その細胞を解析することで今までわからなかった病気の原因が解明できたり、新しい治療薬を開発できる可能性があります。
このように、iPS細胞は病気に対する再生医療への応用のみならず、新薬の開発や難病の病状解明など、研究分野にも広く応用され始めているのです。

実際に行われている研究

ここでは、実際にiPS細胞を応用した新薬開発の実例を紹介します。
京都大学の研究グループでは、遺伝性のALS(筋萎縮性側索硬化症)患者さんから作製したiPS細胞を使ってALS患者さん独自の変性した神経細胞を人工的に作製することに成功しました。
これを健常な神経細胞と比較した結果、ALS患者さんの神経細胞は培養皿の中でより早く死にやすいことがわかりました。
さらに、約1,400個の化合物を1つずつ神経細胞に作用させた結果、27個の薬が神経細胞の細胞死を強く抑えることも判明したのです。
そのうち、約半数の化合物はSrc / c-Ablというタンパク質の働きを抑制する化合物であることがわかり、Src / c-Ablを創薬のターゲットにすることの重要性が判明しました。
実際に、ALS患者さんを対象に、Src / c-Ablをターゲットにしたボスチニブという薬を使った治験が2019年から開始されており、今後の期待が待たれるところです。

まとめ

この記事では、iPS細胞の治療や研究への応用について詳しく解説しました。
iPS細胞は人工的に作製された幹細胞であり、これまで治療困難であったさまざまな難病への再生医療にとって有用です。
治療分野だけでなく研究分野での応用も進んでおり、iPS細胞から作り出した病気特有の細胞を研究することで、新薬開発の安全性や効率性は飛躍的に向上することが期待されます。
これまで改善困難であった後遺症を残してしまうような神経疾患に対して、新たな治療を生み出す礎となるでしょう。
また近年では、神経障害が「治る」を当たり前にする取り組みとして注目されている「ニューロテック®」という考え方があります。
これは、脳卒中や脊髄損傷に対して「狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療」再生医療「リニューロ®」を軸とするアプローチで、骨髄由来間葉系幹細胞や神経再生リハビリ®を組み合わせた治療法です。
これまで改善困難であった神経障害に対しても、今後このような先進的な治療法が希望となる可能性があります。
回復への選択肢を広げるためにも、医療機関と連携しながら一人ひとりに合った支援を継続することが大切です。

よくあるご質問

iPS細胞の作り方は?
iPS細胞の作り方は、ヒトの皮膚や血液の細胞に対していくつかの特定の遺伝子を組み込むことで作製できます。
その細胞は初期化され、さまざまな系統の細胞に変化することのできる幹細胞となります。
iPS細胞のデメリットは?
iPS細胞の最大のデメリットは開発コストです。
iPS細胞の作製には各患者さんから採取した細胞に対して遺伝子を注入し、オーダーメイドで作製する必要があるため、膨大な時間と高度な設備が必要な点がデメリットです。

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    <参照元>
    1:iPS細胞とは?|京都大学 iPS細胞研究所CiRA:https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/faq/faq_ips.html
    2:iPS細胞から作製した心筋細胞シートの医師主導治験の実施~治験計画前半の移植実施報告~|大阪大学大学院医学系研究科・医学部:http://med.osaka-u.ac.jp/archives/24240%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%B3
    3:Q50.iPS細胞は、新薬の開発にどのように活用されていますか。|製薬協:https://www.jpma.or.jp/about_medicine/guide/med_qa/q50.html
    4:iPS細胞が実現する新しい創薬のかたち|京都大学 iPS細胞研究所CiRA:https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/nl/vol52/focus.html

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    PROFILEこの記事の監修
    貴宝院 永稔
    貴宝院 永稔 医師
    (大阪医科薬科大学卒業)
    • 脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
    • 日本リハビリテーション医学会認定専門医
    • 日本リハビリテーション医学会認定指導医
    • 日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
    • ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

    私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
    リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
    このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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