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脊髄損傷の治療と再生医療などの新しい技術

           

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この記事を読んでわかること

脊髄損傷とは?
脊髄損傷の症状
脊髄損傷の治療


脊髄損傷とは、わたしたちの背骨のなかに走る神経の束である脊髄が損傷することで、多くの場合、損傷した部位より下の部分の力や感覚、その他の身体機能に永続的な問題が生じます。
しかし多くの科学者は、いつの日か脊髄損傷の問題を克服することを目標に掲げ、研究を積み重ねてきています。
そこで今回の記事では、脊髄損傷の治療についてご説明をします。

脊髄損傷とは?

脊髄は、脳と体の間のメッセージを伝える神経の束で、背骨のなかにある管のなかを通っています。
運動路は、筋肉の動きを制御するために脳からの信号を伝えます。感覚路は、暑さ、寒さ、圧力、痛み、手足の位置などに関する信号を体の一部から脳に伝えます。
脊髄損傷は、通常背骨である椎骨、椎骨をつなぐ靭帯、椎骨の間にある椎間板の損傷によって起こります。
外傷による脊髄損傷は、脊椎への突然の外傷により、1つまたは複数の椎骨が骨折あるいは脱臼し、脊髄が圧迫された場合に生じます。外傷ではない脊髄損傷は、関節炎、がん、感染症、椎間板のヘルニアなどが原因となります。
原因にかかわらず、脊髄損傷では損傷した部位を通過する神経線維が損傷を受け、損傷部位に対応する筋肉や神経が障害されます。
胸部や腰部の損傷は、体や足、腸や膀胱のコントロール、性機能に影響を与えます。
頸部の損傷は、胸部や腰部の損傷による症状に加え、腕の動きや、場合によっては呼吸にも影響を与えます。
脊髄損傷における損害領域と影響

脊髄損傷の症状

脊髄損傷の症状をご説明します。
脊髄損傷の症状は、損傷の程度と、損傷した箇所という2つの要因によって決まります。
損傷の程度によって症状の重症度が定まりますが、一般的に完全と不完全に分けられます。

完全損傷
すべての感覚(知覚)とすべての動きを制御する能力(運動機能)が失われた状態です。
不完全損傷
患部より下の部分で運動や感覚の機能がある場合は、不完全損傷と呼ばれます。
不完全な損傷には様々な程度があります。

どのような脊髄損傷であっても、損傷を受けた場所に応じて、以下のような症状が生じる可能性があります。

  • 運動能力の低下(麻痺)
  • 温覚や触覚などの感覚の喪失
  • 腸や膀胱のコントロールの喪失
  • 性機能の変化
  • 脊髄の神経線維の損傷による痛みや刺すような感覚
  • 呼吸困難

脊髄損傷の治療

残念ながら、現在のところ脊髄の損傷によって失われた機能を完全に回復させる方法はありません。
現在の脊髄損傷の治療は、さらなる損傷を防ぎ、損傷を受けた患者が活動的で生産的な生活に戻れるようにすることに重点を置いています。

緊急時対応

頭部や頸部の外傷の影響を最小限に抑えるためには、緊急処置が不可欠です。
そのため、脊髄損傷の治療は事故現場で始まることがあります。
救急隊員は、通常首を動かせないようにするネックカラーを使用して、可能な限り穏やかにかつ迅速に脊椎を固定し、固定を続けたまま病院に搬送します。

初期(急性期)段階の治療

救急室では、首の保護を継続しながら、呼吸機能の維持、ショック状態の回避に集中します。
特に頸椎の損傷があれば、気管挿管を行った上で呼吸を補助します。
その後、脊椎を圧迫している骨、異物、椎間板ヘルニア、椎骨の骨折などを取り除くために、手術が必要になることがあります。
また、脊柱を安定させるために装具やギプスを使った固定、頸椎の損傷があれば頭蓋骨を体から離れる方向へ引っ張ることで首への圧迫を避ける牽引が必要になることもあります。

継続治療

最初の損傷や状態が安定した後、筋肉や関節の拘縮、褥瘡、腸や膀胱の障害、呼吸器感染症、血栓などの二次的な問題の発生を防ぐことが治療の中心となります。

リハビリテーション

リハビリテーションは、患者が回復の初期段階にあるときから開始します。
リハビリテーションの初期段階では、既存の筋肉機能の維持と強化、失われた運動能力の再獲得、日々の生活に適応するための技術の習得などに重点が置かれます。

薬物療法

脊髄損傷後の急性期に投与するメチルプレドニンは、現在では積極的に用いられる薬剤ではなくなりました。
ただ脊髄損傷の影響を抑えるために、痛みや筋肉のけいれんを抑える薬、膀胱、腸、性機能を改善する薬などを用いることはあります。

再生医療などの新しい技術

研究者たちは、神経細胞の再生を促進したり、脊髄損傷後に残った神経の機能を改善したりする可能性のある人工器官や薬など、新しい治療法としてiPS細胞や、その他間葉系幹細胞を利用する再生医療の研究を続けています。
また最新の工学技術を応用した医療機器は、脊髄を損傷した人がより自立し、より移動しやすくするのに役立っています。
例えば、階段を登ったり、凸凹のある道を移動したり、座ったままの人を持ち上げて、人の手を借りずに高いところに移動させたりできる電動車椅子の開発が進められています。
またコンピューターの技術を応用したものでは、音声認識やわずかな筋肉の動きや視線の動きを認識して反応する電子機器など、簡単なものから複雑なものまであります。
最近では、ロボットを活用して歩行を補助することにも取り組まれています。

まとめ

脊髄損傷やその治療についてご紹介しました。
損傷を受けて失われた機能は、まだ劇的な改善が望める状況ではないかもしれません。
しかしかつては不可能だと思われていた神経機能の回復は、医療だけでなくあらゆる技術の発展に伴い、克服することも夢ではなくなってきています。
今後のさらなる技術革新に期待したいものです。

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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