この記事を読んでわかること
しびれが起こる仕組みと、末梢神経と中枢神経による違いがわかる。
なぜしびれが長引き「治らない」と感じやすいのかがわかる。
原因に応じた治療やリハビリの考え方と、回復を目指すための視点がわかる。
しびれが長く続く理由は、原因となる神経の種類によって異なります。
末梢神経の障害では回復が期待できる場合がある一方、脳や脊髄など中枢神経が原因の場合は自然回復が難しいことも少なくありません。
本記事では、末梢神経と中枢神経の違いを整理し、しびれが治りにくい仕組みや、治療・リハビリの考え方についてわかりやすく解説します。
しびれの原因

しびれは、感覚を脳へ伝える神経のどこかに異常が生じることで起こります。
皮膚で感じた刺激は末梢神経を通って脊髄へ伝わり、さらに脳で処理されることで「触れた」、「痛い」、「冷たい」といった感覚として認識されます。
この経路のどこかで信号が途切れたり、歪んで伝わったりすると、ピリピリ、ジンジン、感覚が鈍いといったしびれが生じます。
しびれの原因は大きく「末梢神経が原因の場合」と「中枢神経が原因の場合」があります。
どこに原因があるかによって、症状の現れ方や回復までの経過が異なるため、正しく理解しておくことが大切です。
まずは、どのレベルの神経障害によって起きているしびれなのかを整理することが、適切な対応への第一歩となります。
末梢神経が原因のしびれ
末梢神経とは、脳や脊髄から枝分かれし、手足や体表に広がる神経のことです。
この末梢神経が圧迫されたり、炎症や血流障害を受けたりすると、しびれが生じます。
代表的な例としては、手首の神経が圧迫される手根管症候群や、糖尿病による糖尿病性神経障害、椎間板ヘルニアによる神経圧迫などがあります。
これらは、原因となる圧迫や代謝異常が改善すれば、しびれが軽減・消失する可能性が比較的高い点が特徴です。
一方で、神経の障害が長期間続いた場合には、神経線維そのものが傷つき、回復に時間がかかることもあります。
末梢神経由来のしびれでは、「原因を取り除くこと」と「神経の回復を待つこと」の両方が重要となります。
中枢神経が原因のしびれ
中枢神経とは、脳と脊髄を指します。
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脊髄損傷などによって中枢神経が障害されると、感覚情報の処理そのものに異常が生じ、しびれが起こります。
中枢神経が原因のしびれでは、感覚が完全に失われるというよりも、「触れている感じがしない」「左右で感覚が違う」「不快なしびれが続く」といった訴えが多くみられます。
これは、感覚信号の伝達経路や処理ネットワークが部分的に壊れるためです。
中枢神経は末梢神経と比べて再生能力が低く、自然回復が乏しいとされてきました。
そのため、中枢神経由来のしびれは「治らない」と感じられやすい特徴があります。
なぜしびれは治らないのか
しびれが長く続く理由の一つは、神経そのものが損傷を受けていることです。
先ほども述べたように、中枢神経系と末梢神経系では、その治癒のしやすさに違いがあることがわかっています。
成長した大人では、脳や脊髄の神経が傷ついても自然に元どおりになることはほとんどありません。
一方で、末梢神経は比較的再生しやすいという特徴があります。
末梢神経が切れたり傷ついたりすると、まず傷より先の部分の神経が一度壊れます。
これは、不要になった神経を整理するための反応で、体の中の掃除役である細胞が壊れた部分を片づけます。
その後、神経の根元側から新しい神経が伸び直し、元の筋肉や皮膚につながることで、しびれや動かしにくさが徐々に改善していくことがあります。
このように、末梢神経では、壊れる、片づける、伸び直すという過程をたどるため、回復が期待できるのです。
また、時間の経過とともに、脳が「誤った感覚の状態」を学習してしまうことも関係します。
本来の感覚入力が失われた状態が続くと、脳内の神経回路が再編成され、不快なしびれが固定化されることがあります。
さらに、痛みや不安、活動量の低下などが重なることで、しびれへの注意が過剰になり、症状が強く感じられる悪循環に陥ることも少なくありません。
そのため、単に「時間が経てば治る」と考えるだけでは改善しないケースが多いのです。
治療とリハビリの考え方
しびれへの対応では、原因に応じた治療とリハビリテーションを組み合わせることが重要です。
末梢神経が原因の場合は、圧迫の解除や基礎疾患の治療を行いながら、神経の回復を促します。
中枢神経が原因の場合は、感覚刺激や運動を通じて、残存する神経回路を活性化させるリハビリが中心となります。
感覚入力を繰り返すことで、脳内の神経回路の再構築を促すことが期待されます。
さらに近年では、神経の回復力そのものを高める再生医療とリハビリを組み合わせたアプローチも注目されています。
単に症状を我慢するのではなく、治療とリハビリを通じて「回復を目指す」視点が重要になっています。
まとめ
しびれは原因によって回復の見込みや対処法が異なります。
末梢神経か中枢神経かを見極め、適切な治療とリハビリを行うことが重要です。
近年は、神経の治る力を高める再生医療とリハビリを組み合わせた新しい選択肢も広がりつつあります。
例えば、神経障害は「治らないもの」と決めつけず、回復力を引き出すという考え方としてニューロテック®が注目されています。
これは、脳卒中や脊髄損傷に対し、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療「リニューロ®」を軸に、骨髄由来間葉系幹細胞や神経再生リハビリ®を組み合わせる治療です。
神経障害によるしびれに対しても、今後の回復の選択肢を広げる可能性があります。
よくあるご質問
- しびれが何年も続いていますが、もう治らないのでしょうか?
- しびれが長期間続いていても、必ずしも回復の可能性がないとは限りません。
原因が末梢神経か中枢神経かによって見込みは異なりますが、適切な評価とリハビリによって症状が軽くなるケースもあります。
一度専門医に相談し、原因を整理することが大切です。
- 薬を飲んでいるのに、しびれが残るのはなぜですか?
- 薬は痛みや違和感を和らげる役割があります。
一方で、感覚の伝わり方を整えるには、神経回路へ働きかけるリハビリが重要です。
薬とリハビリは目的が異なるため、併用することで支え合います。
<参照元>
(1):しびれ|健康長寿ネット:https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/rounensei/sibire.html
(2):しびれの原因は?|国立長寿医療研究センター:https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/25.html
(3):Huebner EA, Strittmatter SM. Axon regeneration in the peripheral and central nervous systems.|Results Probl Cell Differ. 2009;48:339-51. :https://www.nature.com/articles/s41531-022-00329-4
(4):Bang YM, Song Y, Yun SJ, Seo HG, Chang WH. Associated Factors on Quality of Life in Patients with Parkinson’s Disease. |Brain Neurorehabil. 2021 Jul 13;14(2):e13. :https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2846285/
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