再生医療とCBDは補完しあえるのか?脳神経再生の新たなアプローチ| 脳卒中後遺症の幹細胞治療|ニューロテックメディカル

再生医療とCBDは補完しあえるのか?脳神経再生の新たなアプローチ

           

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この記事を読んでわかること

幹細胞治療・サイトカイン療法とCBD(カンナビジオール)には相乗効果があるのかどうかがわかる。
内因性カンナビノイドと神経再生との関係がわかる。
CBDは再生医療のサポートツールとなりうるかどうかがわかる。


CBD(カンナビジオール)とは、大麻などに含まれる成分の一つです。
神経伝達の調整や抗炎症作用、鎮痛作用、制吐作用、抗不安作用などが報告されています。
今回の記事では、幹細胞治療・サイトカイン療法の基礎から、それぞれの共通点や炎症・神経修復への作用を解説。
さらに、CBDと再生医療との相乗効果の可能性に迫ります。

幹細胞治療・サイトカイン療法とCBD(カンナビジオール)の相乗作用の可能性

幹細胞治療・サイトカイン療法とCBD(カンナビジオール)の相乗作用の可能性
幹細胞治療・サイトカイン療法とCBD(カンナビジオール)には相乗作用があるのでしょうか。
ここでは、それぞれについて解説し、相乗作用があるのかどうかについて説明していきましょう。

カンナビジオール(CBD)

カンナビジオール(CBD)は、Cannabis sativa(アサ)という植物に含まれる成分の一つです。
大麻の主要成分は、テトラヒドロカンナビノール(THC)とCBDです。
THCは精神作用(ハイになるなど)の原因となりますが、CBDは中毒を引き起こすことはないとされています。
Cannabis sativaは、大麻と呼ばれる植物の一種ですが、THCを多く含むものはマリファナとも呼ばれています。

カンナビノイドはさまざまな受容体を介して作用を発揮します。
例えば、CB1受容体は主に神経細胞にあり、神経伝達を調整しています。
また、CB2受容体は神経細胞以外のリンパ球やマクロファージにあります。
これらの受容体の他にも、GPR55、TRP、5-HT、PPAR受容体を介して作用を発揮すると言われています。
総じて、抗炎症作用や鎮痛作用、制吐作用、抗不安作用や糖尿病、がん、アルツハイマー病などの予防や治療に対する効果が報告されています。

幹細胞治療

幹細胞治療とは、疾患や外傷、加齢などによって、生体本来の修復機能では自然回復が困難なほどに組織・臓器が損傷・変性し生体機能が失われた時に、幹細胞や組織・臓器の移植などによってその組織・臓器の再生を目指す医療のことを指します。

例えば、ヒトiPS細胞をベースとした幹細胞治療(再生医療)や、間葉系幹細胞や組織幹細胞の移植治療(再生医療)などがあり、現在での研究が進められています。

サイトカイン療法

間葉系幹細胞(MSC)は、骨髄、骨格筋、皮膚、脂肪組織、歯髄、臍の緒、胎盤などから採取することができます。
主に、骨や軟骨、脂肪、骨格筋に分化する能力を持ちます。
また、サイトカインやケモカイン、増殖因子、エクソソームなどの様々な因子を産生し、抗炎症、免疫制御、血管新生など多様な効果が報告されています。
サイトカインは免疫細胞を活性化させるタンパク質のことです。
サイトカイン療法は、このサイトカインを投与することで、歯周病やがん、ウイルス性肝炎などの治療を行う免疫療法です。

幹細胞治療・サイトカイン療法とCBD(カンナビジオール)の相乗作用

カンナビジオールには、抗炎症作用があり、急性および慢性炎症を治療するために、効果を発揮することが期待できるという報告があります。
サイトカイン療法にも、同様の作用があることが知られており、これらの2つを組み合わせることで強力に炎症を抑えることが可能かもしれません。

今後、臨床応用への発展が期待されます。

内因性カンナビノイドと神経再生との関係

さて、このカンナビノイドは植物からとれるだけではありません。
内因性つまり身体の中で作られる場合もあります。
これは、内因性カンナビノイドと呼ばれています。
カンナビノイドCB1受容体が見つかったのと前後し、生体由来のマリファナ類似物質、つまり内因性カンナビノイドが存在し、CB1受容体に作用していると考えられました。
CB1受容体は中枢神経系にたくさん発現しており、これらの内因性カンナビノイドによって神経活動が何らかの形で調節されていることが推測されていました。
通常の神経伝達は、シナプス前部の情報が、シナプス後部の神経細胞に神経伝達物質によって伝わります。
そして、内因性カンナビノイドはシナプス後部の神経細胞から、シナプス前部の神経細胞に情報を伝え、通常の方向(順行性)のシナプス伝達を抑制する”逆行性伝達物質”であることがわかりました。

内因性カンナビノイドには、さまざまな作用があることが研究で明らかになりつつあります。
その中でも、神経の発達に対する作用が、神経再生に寄与する可能性があります。
例えば、内因性カンナビノイドが、成人の神経細胞の新生にとって不可欠であるという報告があります。
神経の損傷が起こった場合、2-AGシグナル伝達という経路が活性化されることで、神経修復に関与していることが明らかになっています。
また、CB1が誘発したPI3K/Akt経路の活性化によって、神経毒、栄養欠乏、さらに興奮毒性から神経細胞を保護し、細胞の生存を促進することもわかっています。

CBDは再生医療のサポートツールとなりうるか?

ここまで述べてきたように、CBDは再生医療のサポートツールになりうるポテンシャルを秘めているといえるでしょう。
実際に、最近の研究ではCBDは特に間葉系幹細胞(MSC)において、細胞の増殖と移動についても改善をもたらすということが報告されています。
神経再生以外にも、筋骨格系再生医療に対してもそのような相乗効果が期待できるという研究報告もあります。

さらなる研究が必要であることはもちろんですが、幹細胞治療やサイトカイン療法など再生医療の効果をCBDが高める作用が期待できるでしょう。

まとめ

幹細胞治療・サイトカイン療法、そしてCBD(カンナビジオール)は、それぞれがもつ抗炎症作用や神経保護作用により、再生医療の分野で注目されています。
その中でも、CBDは内因性カンナビノイド系を通じて神経回路の可塑性に関与することが示唆されており、神経再生医療の補助的な役割を果たす可能性があります。
ニューロテック®では、脳卒中や脊髄損傷などに対して「狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療」であるリニューロ®を提供しています。
リニューロ®では、骨髄由来間葉系幹細胞や神経再生リハビリ®との併用により、神経修復を最大限に引き出すことを目指しています。
今後、CBDの安全性と有効性がさらに検証されることで、幹細胞治療・サイトカイン療法とCBDの相乗作用が、神経障害を治療する新たな一手となる可能性があります。

よくあるご質問

内因性カンナビノイドの効果とは?
内因性カンナビノイドは、体内で作られるカンナビノイドで、痛みの調整、ストレス緩和、炎症抑制、神経保護などに関与しています。
特にCB1やCB2受容体を介して神経活動や免疫機能のバランスを保つ役割があります。

CBDは血圧を下げる効果があるのですか?
CBDにはストレスや不安を緩和する作用があり、それに伴い一時的に血圧を下げる効果が報告されています。
ただし、常用による持続的な血圧低下効果については、現時点では十分な科学的根拠はありません。

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    1:カンナビジオール(CBD) – 26. その他の話題 – MSDマニュアル家庭版:https://www.msdmanuals.com/
    2:カンナビジオールの治療効果とその作用機序.保健医療学雑誌.2018;9(2):112-126.:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jalliedhealthsci/9/2/9_112/_pdf/-char/ja
    3:2.1.4 幹細胞治療(再生医療)研究開発の俯瞰報告書|ライフサイエンス・臨床医学分野(2023年):https://www.jst.go.jp/crds/pdf/2022/FR/CRDS-FY2022-FR-06/CRDS-FY2022-FR-06_20104.pdf
    4:歯周組織再生を目指す新規サイトカイン療法と細胞治療の基礎研究.日歯周誌.2021;63(3):105-112.:https://www.jstage.jst.go.jp/article/perio/63/3/63_105/_pdf/-char/ja
    5:腎細胞がん(RCC)の治療 薬物治療| 患者の皆様 | 武田薬品工業株式会社:https://www.takeda.co.jp/patients/rcc/treatment_drug/
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    9:Marques Azzini GO, Marques Azzini VO, Santos GS, Visoni S, Fusco MA, Beker NS, Mahmood A, Bizinotto Lana JV, Jeyaraman M, Nallakumarasamy A, Jeyaraman N, da Fonseca LF, Luz Arab MG, Vicente R, Rajendran RL, Gangadaran P, Ahn BC, Duarte Lana JFS. Cannabidiol for musculoskeletal regenerative medicine. Exp Biol Med (Maywood). 2023 May;248(5):445-455. doi: 10.1177/15353702231162086. Epub 2023 May 9. PMID: 37158062; PMCID: PMC10281618.:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10281618/

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    PROFILEこの記事の監修
    貴宝院 永稔
    貴宝院 永稔 医師
    (大阪医科薬科大学卒業)
    • 脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
    • 日本リハビリテーション医学会認定専門医
    • 日本リハビリテーション医学会認定指導医
    • 日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
    • ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

    私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
    リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
    このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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