この記事を読んでわかること
・脳梗塞が左手麻痺を引き起こすメカニズムとその原因がわかる。
・左手の麻痺に関わる脳の部位とその役割がわかる。
・脳梗塞後の麻痺の回復を促すリハビリや生活習慣の改善方法がわかる。
脳梗塞による左手麻痺の原因について詳しく解説します。
右脳の特定領域が血流不足でダメージを受けると、左手の動きが失われるメカニズムや、神経回路の遮断が原因となる仕組みを紹介。
さらに、回復の可能性を高めるリハビリ方法や、日常生活でできるサポート、再発予防のための生活習慣改善のポイントも分かりやすく説明します。
脳のどの部分が損傷すると左手が麻痺するのか?
脳梗塞は、脳の血管が詰まることで脳の特定の部分に血液が届かなくなり、酸素や栄養が不足してその部位がダメージを受ける病気です。
左手の動きをコントロールしている脳の部分が損傷を受けると、左手が麻痺することがあります。
運動野の役割と脳梗塞の影響
脳の「運動野」と呼ばれる領域が手や足の動きを司っています。
この運動野は脳の大脳皮質に位置し、特に手や指などの細かい動きには高度な調整が必要です。
脳梗塞がこの運動野やそれに連結する神経経路に発生すると、その先にある筋肉への指令がうまく伝わらなくなり、麻痺が生じます。
右脳と左手の関係
人間の脳は「交差支配」というメカニズムにより、右脳が左側の身体を、左脳が右側の身体を支配しています。
したがって、右脳の運動野が脳梗塞により損傷を受けると、左手や左側の足が麻痺する可能性が高まります。
脳の中でも特に「中心前回」という領域がこの運動制御に関与しており、ここに障害が生じると左手の麻痺が見られることが多いのです。
左手麻痺と脳の部位の関係:脳梗塞でなぜ左手が動かなくなるのか
脳梗塞による左手麻痺は、主に血流の不足が原因です。
脳は非常に酸素を必要とする臓器であり、血流が途絶えると数分以内に細胞が損傷を受け始めます。
左手の動きが突然失われるのは、右脳に血液を供給する動脈が詰まったために、その先の神経細胞がダメージを受けたからです。
内頚動脈系と中大脳動脈の影響
右脳の内頚動脈系や中大脳動脈といった主要な血管は、脳の広範囲に血液を供給しています。
これらの血管が詰まると、手や腕をコントロールする脳の領域にも酸素が供給されなくなり、左手に麻痺が現れます。
また、脳の深部に位置する「基底核」という部位が損傷を受けると、細かな手の動きや力加減が難しくなることもあります。
神経回路の遮断による影響
脳梗塞による麻痺は、ただ血流が途絶えるだけでなく、神経回路の遮断によっても引き起こされます。
正常であれば、脳からの指令が脊髄を通じて筋肉に伝えられますが、脳梗塞によってこの経路が途絶されると、指令が届かなくなり手が動かせなくなるのです。
この神経遮断のメカニズムが、左手麻痺の根本的な原因となります。
脳梗塞の麻痺は治る?回復のためのリハビリと生活習慣
脳梗塞後の麻痺が完全に治るかどうかは、個々のケースによって異なります。
しかし、適切なリハビリや生活習慣の改善により、回復を促すことができるケースも少なくありません。
リハビリの重要性とその方法
脳梗塞後のリハビリテーションは、主に「神経可塑性」を利用して行われます。
神経可塑性とは、脳が新たな神経回路を形成し、損傷した機能を補完する能力です。
例えば、左手の麻痺を克服するために、健側である右手と連動して左手の動きを徐々に再教育する訓練が行われます。
リハビリの初期段階では、専門的な理学療法士や作業療法士と共に行うことが推奨されます。
筋肉を刺激する電気療法や、手の反復運動を行うことで、脳が新しい運動パターンを学習し、機能回復を促進します。
特に、細かな手の動きや握力の回復には、数か月から数年にわたる根気強い訓練が必要です。
日常生活の工夫とサポート
リハビリは医療機関での訓練に限らず、日常生活での工夫も重要です。
左手麻痺がある場合でも、できる限り自分で動かそうとする努力が神経の活性化につながります。
例えば、簡単な家事や買い物での荷物持ちなどを積極的に行うことで、手の動きが少しずつ改善することがありま
また、家族や介護者の支援も回復を促すための大きな助けとなります。
日常生活で左手の使用を促すような環境設定や、一緒に運動を行うことで、回復へのモチベーションが高まります。
食生活や生活習慣の改善も不可欠
脳梗塞は生活習慣病の一つであり、食生活や生活習慣の見直しが再発予防や麻痺の改善に重要です。
塩分を控えめにし、野菜や果物を多く摂ることで血圧を下げる効果が期待されます。
また、適度な運動を取り入れることで、血液循環が改善され、脳の健康が維持されます。
さらに、禁煙やアルコールの節制も大切です。
タバコは血管を収縮させる作用があり、脳梗塞の再発リスクを高めます。
適度な生活習慣を心がけることで、再発を防ぎながら麻痺の回復をサポートできます。
まとめ
左手麻痺が脳梗塞によって引き起こされる場合、その原因は脳の運動野やその関連する神経回路が損傷を受けるためです。
特に右脳の運動野が血流不足や神経遮断によってダメージを受けると、左手が動かなくなるリスクが高まります。
しかし、リハビリや日常生活での工夫、生活習慣の改善によって、脳の神経回路が新たに形成され、回復の可能性を高めることができます。
再発予防も含めて、長期的に健康な生活を維持することが重要です。
脳梗塞による麻痺が完全に治るとは限りませんが、適切なサポートと努力によって生活の質を高めることは十分可能です。
そこで、私たちニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」という方法を開発しました。
「ニューロテック®」とは、神経障害が「治る」を当たり前にすることを目指した取り組みを指します。
そして、脳卒中や脊髄損傷、その他神経障害の患者さんに対し、「狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療」を「リニューロ®」と定義しています。
リニューロ®は、同時刺激×神経再生医療®による治療法で、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める効果が期待されています。
さらに、骨髄由来間葉系幹細胞や神経再生リハビリ®との併用により、その治療効果をさらに向上させることが推奨されています。
ご興味のある方は、ぜひ一度当院までご相談ください。
よくあるご質問
- 左片麻痺は脳のどこの障害ですか?
- 左片麻痺は通常、右脳の運動野や関連する神経回路の損傷によって引き起こされます。
特に右脳の中心前回という部位が影響を受けると、左手の動きが麻痺することが多くなります。 - 脳梗塞で片手が麻痺することはありますか?
- はい、脳梗塞によって片手が麻痺することがあります。
脳梗塞が運動制御を司る脳の部位や神経回路に影響を与えると、左右いずれかの手が動かなくなる場合があります。
<参照元>
Hemiparesis | American Stroke Association:
https://www.stroke.org/en/about-stroke/effects-of-stroke/physical-effects/hemiparesis
Stroke – Symptoms and causes – Mayo Clinic:
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/stroke/symptoms-causes/syc-20350113
Hand Paralysis | Orthopaedics | Loyola Medicine:
https://www.loyolamedicine.org/services/orthopaedics/orthopaedic-conditions/hand-paralysis
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