この記事を読んでわかること
・本態性振戦の特徴と原因
・本態性振戦の治療方法
・パーキンソン病と本態性振戦の違い
この記事では本態性振戦とは?について解説します。
本態性振戦とは、特定の原因が見つからず、体の特定の部分が規則的に震える状態をいいます。
手足だけでなく、頭や声などでも起こります。
緊張したり、疲れたりすると、震えは強くなる傾向があります。
重度となると、日常生活に支障をきたすこともあります。
本態性振戦の特徴と原因
この記事では本態性振戦の特徴と原因について解説します。
本態性振戦の定義は、自分が意図しない状況で、体の震えが起きる神経疾患と言えるでしょう。
症状として、手足、頭、声などの体の特定部位に規則的な震えが現れます。
休息中はあまり目立たず、緊張、疲れ、細かい動作などで震えが目立つことが多いです。
例えば、コップを持ち上げたり、文字を書いたり、スプーンを使ったりする際に震えが顕著となります。
また、ストレス、疲労、カフェイン摂取などによって悪化することが知られています。
これらの症状は、年齢を重ねるにつれて進行する傾向があります。
本態性振戦の原因は完全には解明されておりません。
でも、脳の特定部位の機能障害が関与していると考えられています。
具体的には、脳の特定部位の神経細胞が変性したり、萎縮したりしている可能性、ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質のバランスが崩れている可能性などです。
その他、遺伝的要因の関与も考えられています。
家族に患者さんがいる場合は、リスクが高まりますので注意する必要があります。
本態性振戦の治療方法
この記事では本態性振戦の治療方法について解説します。
治療方法として薬物療法、手術療法、リハビリなどがあります。
軽度の振戦であれば、薬物療法が第一選択となります。
代表的な薬剤は、ベータ遮断薬や抗てんかん薬です。
これらの薬剤は振戦の頻度や強度を軽減する効果があります。
薬物療法で十分な効果が得られない場合、特に日常生活に支障をきたす場合には、外科的治療が検討されます。
具体的には、以下の3つがあります。
- 脳の視床と呼ばれる部分に小さな穴を開け、震えの原因となる神経細胞を破壊する視床破壊術
- 頭蓋骨を穿開せずに、超音波を用いて脳の特定の部位を破壊する集束超音波治療
- 最近注目されているものとして、脳内に電極を埋め込み、一定の電気刺激を与えることで振戦を抑制する深部脳刺激療法 (DBS)
この手術は、視床破壊術と比較して、効果が調節できるメリットがあります。
さらに、リハビリも重要です。
また、リラクゼーション法や物理療法により、症状の改善につながることも多いです。
このように、本態性振戦の治療は、症状の重さや個々の患者の生活状況に応じて多角的に行われ、日常生活の質の向上を目指します。
パーキンソン病と本態性振戦の違い
この記事ではパーキンソン病と本態性振戦の違いについて解説します。
パーキンソン病と本態性振戦は、どちらも振戦を伴う神経疾患ですが、いくつかの重要な違いがあります。
まず、振戦の特徴に違いがあります。
パーキンソン病の振戦は主に安静時に現れ、特に手が静止している時に目立ちます。
これに対して、本態性振戦は姿勢維持などの労作時に強く現れ、安静時にはあまり目立ちません。
また、パーキンソン病では、震えに加えて、動作が遅くなる、体がこわばる、姿勢が崩れるなどの症状が加わることが特徴です。
原因についても異なります。
パーキンソン病は、脳内のドーパミン産生細胞の減少によって起こる神経変性疾患です。
これに対して、本態性振戦の原因は完全には解明されていません。
症状の進行と対応も異なります。
パーキンソン病は進行性であり、時間とともに症状が悪化し、最終的には日常生活に重大な支障をきたすことが多いです。
一方、本態性振戦も進行性ですが、比較的緩徐に進行し、必ずしも全ての患者において日常生活に重大な影響は及ぼしません。
両疾患は鑑別が難しいことも多いので、体の震えが気になる場合は、神経内科を受診することをお勧めします。
本態性振戦についてのまとめ
今回の記事では、本態性振戦とは?について解説しました。
本態性振戦の原因はいまだ不明な点が多いですが、脳内の神経細胞の変性や壊死が原因と考えられています。
高度に損傷した神経が蘇ることは非常に難しいです。
そのため、神経を蘇させる再生医療は期待の持てる治療となります。
脳や脊髄の損傷に対して、「ニューロテック®」と呼ばれる「神経障害が治ることを当たり前にする取り組み」も盛んです。
ニューロテックメディカルでは、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
さらに、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「神経再生医療×同時リハビリ™」があります。
これらの治療法は、本態性振戦によって日常生活に支障を来している患者さんに対して、期待が持てる治療といえるでしょう。
よくあるご質問
- 本態性振戦の原因は?
- 原因は完全に解明されていません。
でも、家族に同じ症状を持つ人がいるケースが知られており、遺伝的要素の可能性が指摘されています。
また、年齢が上がるにつれて症状が進行しやすいことから、脳の老化との関連も考えられています。 - 本能性振戦かどうかチェックするには?
- 専門医による診察が最も確実ですが、ご自身でも以下の点を注意してチェックしてみてください。
特定の体の部位(手、腕、声など)が規則的に振える。
緊張、疲れ、細かい動作などで震えが目だったり、強くなったりする。
このような症状がありましたら、医療機関の受診をお勧めします。
<参照元>
・神経治療:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/34/4/34_364/_pdf/-char/ja
・東京女子医科大学:https://www.twmu.ac.jp/NIJ/column/dynamic_disorder/essential_tremor.html
・難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/314
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