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脳出血と高血圧や心血管疾患の関係

           

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この記事を読んでわかること

脳出血とは何かについて理解できる
高血圧や心血管系疾患が脳出血とどのように関連しているかについて知ることができる
脳出血を予防するための管理法について学ぶことができる


脳出血とは脳を栄養する血管が破綻して頭蓋内で出血をきたす病気
です。
さまざまな原因で発症しますが、特に高血圧や心筋梗塞などの心血管系疾患は脳出血と強い関連性があるため、これらの持病をお持ちの方は注意が必要です。
そこでこの記事では、脳出血と高血圧や心血管疾患の関係について解説し、予防のための管理法についても紹介します。

高血圧は脳出血リスクを増加させるのか?

高血圧と脳出血の関係
結論から言えば、高血圧は脳出血最大のリスクと言われており、血圧の値と脳出血発症のリスクは正の相関関係にあります。
そもそも、脳出血とは脳を栄養する血管がなんらかの原因で破綻し、頭蓋内で出血をきたす病気です。
頭蓋内に生じた出血は血腫となり、閉鎖空間である頭蓋内に蓄積していくため、進行すると脳実質を圧迫し始めてさまざまな神経症状をきたします。
最悪の場合、脳が強い圧迫を受けることで脳ヘルニアとなり、呼吸や循環動態に悪影響を与え死に至る可能性もある危険な病態です。
もともと高血圧がある場合、血管には当然高い圧がかかり、血管内皮細胞が損傷しやすくなります。
そこに血液中を流れる悪玉コレステロールが入り込むことで、血管が硬く変性し、これを動脈硬化と言います。
動脈硬化によって従来の弾力性を失った血管は、急な血圧の変化に耐えられず出血を引き起こすわけです。
実際に、2022年に報告された脳卒中データバンクのデータによれば、脳出血の原因のうち66.6%が高血圧性であり、糖尿病などのその他の原因と比較しても圧倒的に多い原因です。
また、1930〜50年代の日本では塩分摂取量も高く、死因の第1位は圧倒的に脳血管障害でした。
しかし、その後の予防医学の向上によって高血圧のコントロールが良好となった結果、年々脳血管障害に伴う死亡率は低下し、2023年現在では死因第4位まで低下しています。
以上のことからも、高血圧を指摘されている方は脳出血のリスクが高まるため、注意が必要です。

心血管疾患と脳出血の関連性とリスク

脳出血と高血圧や心血管疾患の関係
結論から言えば、心血管疾患と脳出血には関連性があります。
日本医療研究開発機構の研究によれば、心血管疾患における脳血管疾患の併存率は6%、脳血管疾患における心血管疾患の併存率は17.8%であり、特に脳血管障害をもつ患者では心血管疾患を併発しやすいことがわかります。
心血管疾患とは主に心筋梗塞・狭心症・大動脈解離などの疾患で、どれも動脈硬化によって動脈が硬く狭くなることが原因です。
共通して動脈硬化が背景にある疾患のため、相互に併発しやすいわけです。
また、脳出血やクモ膜下出血を発症した場合、体内では急激なストレス反応で大量のカテコールアミン(ドパミンやアドレナリン)が放出され、心臓にとって過剰な負担がかかります。
その結果、急性心不全や急性心筋梗塞を発症することもあり、注意が必要です。
特に、大動脈が破綻する大動脈解離や脳出血は死亡率が高いことが知られており、注意すべき疾患です。

再発予防のための高血圧と心血管疾患の管理

脳出血や心血管疾患を予防するためには、動脈硬化の進展を防ぐ必要があり、そのためには血圧・血糖値・脂質・喫煙などを適切に管理する必要があります。

血圧

脳卒中ガイドラインによれば、血圧を平均133/76mmHgで管理した群の方が平均140/81mmHgで管理した群よりも脳卒中発症率が22%、心血管系イベント発症率が14%低いと報告されています。
一方で、収縮期血圧120mmHg未満でコントロールした群では低血圧に伴う副作用が多発したため、血圧を下げれば下げるほどいいわけでもありません。
ガイドラインでは、通常130/80mmHg未満を目標値としています。(年齢や持病によって異なります。)
塩分に気をつけ、カリウムを多く含む野菜の摂取を心がけましょう。

血糖値

2型糖尿病も脳卒中や心血管疾患のリスク因子であり、適切な血糖コントロールによって両疾患ともに死亡率が低下することが知られています。
血糖コントロールのためには、適切な食事と運動が最も重要です。
規則正しく、低糖質・低脂質のバランスの良い食事を心がけ、継続的に有酸素運動を取り入れるといいでしょう。
ちなみに、脂質のコントロールも動脈硬化の抑制につながりますが、主に脳梗塞の予防効果が強く、脳出血の発症への関与は弱いことが知られています。

喫煙

喫煙も脳卒中や心血管疾患のリスク因子です。
タバコに含まれるニコチンは交感神経を活性化させる効果があるため、喫煙習慣によって持続的な心拍数の増加・血管の収縮などを引き起こします。
さらに、喫煙によって発生した一酸化炭素は血管内皮細胞を損傷し、動脈硬化の進展につながります。
中でも喫煙とクモ膜下出血の関係性は強く、国立がん研究センターの研究によれば喫煙者と非喫煙者で比較すると、男性で3.6倍、女性で2.7 倍発症しやすくなることが示されました。
可能な限り禁煙を心がけ、副流煙にも注意しましょう。

まとめ

今回の記事では、脳出血と高血圧や心血管疾患の関係について解説しました。
脳血管障害や心血管疾患は、どれも各臓器を栄養する動脈になんらかの異常を認め、出血や梗塞を引き起こすことで発症します。
その原因の多くは動脈硬化であり、動脈硬化の予防には血圧や血糖値・脂質のコントロールが必要となります。
特に、脳出血は一度発症すれば命に関わるケースも多く、損傷を受けた脳細胞は基本的に再生しないため、仮に助かっても重い後遺症を残す可能性もあります。
そのため、未然にリスクを把握して予防することが重要です。
一方で、近年では再生医療の発達も目覚ましく、脳出血によって損傷した脳細胞の機能が回復する可能性もあります。
治療には自身の細胞を使うため、アレルギー反応などのリスクも少なく、今後の新たな治療の選択肢として知見が待たれるところです。

よくあるご質問

脳出血と血圧の関係は?
血圧と脳出血の発症には正の相関関係があり、血圧が高ければ高いほど脳出血を発症するリスクも高まります。特に、急激な血圧の変化や収縮期血圧180mmHg以上の高血圧では発症リスクが高いため、注意が必要です。

脳出血の予兆は?
脳出血の発症は基本的に急激であり、これといった予兆はないと言われていますが、少ない割合で頭痛を経験する人もいるようです。初期症状もさまざまで、頭痛・嘔気嘔吐・めまい・意識障害などが挙げられます。急激な血圧の変動には注意しましょう。

<参照元>
・脳卒中治療ガイドライン2021:https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2023.pdf
・厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai06/kekka3.html
・脳卒中データバンク:https://strokedatabank.ncvc.go.jp/f12kQnRl/wp-content/uploads/日本脳卒中データバンク報告書2022年_FIX.pdf
・日本医療研究開発機構:https://www.amed.go.jp/news/seika/kenkyu/20220415.html
・国立がん研究センター:https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/267.html

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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