脳の萎縮はどうなるのか?予防と回復の可能性 | 脳卒中・脊髄損傷|麻痺痺れなど神経再生医療×同時リハビリ™で改善

脳の萎縮はどうなるのか?予防と回復の可能性

           

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この記事を読んでわかること

脳細胞の加齢による萎縮
脳の虚血性の変化
再生医療と神経細胞の再生


脳は加齢性変化があるだけでなく、脳卒中や脳炎、外傷などにより誰にでも脳細胞の変化の可能性はあります
脳・脊髄の中枢神経の障害は回復が難しいと言われています。
一方で近年では再生医療が注目されており、脳の細胞の回復に大きな期待がなされます。
この記事では脳神経の萎縮、再生について解説します。

脳萎縮の主な原因とその影響

脳の部位
言うまでも無く脳は生命活動のために最も重要な臓器の一つです。
加齢により全ての臓器は萎縮していきますが、中でも萎縮の程度は最も脳が軽いと言われています。
脳の重量は20歳代がピークであり、その後徐々に減少していきます。
具体的には年間0.22%ずつ縮小していると言われており、男性の方がより萎縮を生じやすいです。
もっと小さな視点で脳を見てみると、加齢により神経細胞は数が減ったり変性(神経原線維変化が主で、性質が全く変わってしまうこと)が起こったりしています。
80-90歳の高齢者では大脳皮質の神経細胞は約50%にまで減少し、海馬の神経細胞は27%まで減少します。
脳幹にある脳神経核は神経細胞の減少は認めないようです。
分子レベルでも脳の加齢を見ることができます。
脳の神経細胞の活動には様々な神経伝達物質が必要ですが、コリンアセチルトランスフェラーゼやセロトニン受容体、アドレナリン受容体、GABA(Gamma Amino Butyric Acid:ガンマアミノ酪酸)などが減少することが分かっています。
加齢によりフリーラジカルという体を酸化させる物質も増えてしまい、神経細胞の核をも損傷を受けてしまうことが分かっています。

脳の虚血性の変化

脳の細胞の数を減らし、変性をさせてしまう要因は加齢だけではありません。
脳卒中や脳炎など脳そのものの病気だけでなく、敗血症や心停止などで脳の血流が滞った状態や、窒息やけいれん発作など十分に酸素を取り込めなくなってしまった状態でも容易に脳の神経細胞はダメージを受けてしまいます。
脳は体内の臓器の中で最もエネルギー消費が大きい臓器です。
何らかの原因で脳の血流や酸素供給が途絶えると、5分ほどで脳内にあるエネルギー源は枯渇し、時間とともに死んでしまう神経細胞が増えていきます。
脳が一度虚血に陥るとサイトカインというタンパク質の放出や、遺伝子発現の変化があるといわれています。
この中には神経栄養因子という神経細胞の分化、増殖に関わる物質もあるのですが、傷害を上回るだけの再生ができるという報告はありません。

萎縮によって引き起こされる認知機能の低下

脳の細胞は加齢により自然な状態でも徐々に減少し、変性を受けているので、少し減った程度では症状は出ないでしょう。
しかし、萎縮が高度に進んだ場合、急速に一部の神経細胞が死んでしまった場合(脳梗塞や脳炎など)、神経細胞のダメージが広範囲に及ぶ場合(心停止や窒息など)は症状・後遺症が出ることがあるでしょう。
どのような症状が出るのかは損傷を受ける部位により異なります。
脳の萎縮で最も多いのは海馬であり、海馬が障害を受けると記憶障害が顕著に出ます。
脳梗塞では片麻痺や感覚障害、失語などが出ます。
脳全体が障害を受けた場合は脳死や遷延性意識障害など重篤な症状となるでしょう。

脳萎縮を遅らせる生活習慣と予防策

脳の健康を維持するには、以下の生活習慣が重要です。
適度な有酸素運動は脳の血流を促進し、記憶力や認知力を向上させます。
また、地中海食のような栄養バランスのとれた食事が神経細胞の保護に役立ちます。
さらに、学習や社交活動、パズルなどの知的活動は脳を活性化し、萎縮の進行を抑える効果が期待されています。
これらの生活習慣を日常に取り入れることで、脳の健康を保つことが可能です。

再生医療と脳機能の改善の可能性

加齢や脳梗塞、その他の疾患で脳の細胞が死んでしまった場合、神経細胞の再生はほとんどしないと言われています。
特に脳梗塞の場合でも、現在の治療はペナンブラという虚血部位のすぐ脇にある、未だ虚血に至っていない部位をどのように救出するかという視点で行われています。
そのため長年後遺症に悩む方や加齢による変化を恐れる方は後を絶ちません。
近年では再生医療という新たな治療法が注目されています。
再生医療とは何らかの形で増殖させた幹細胞(様々な臓器の細胞に分化して、増殖する能力を持った細胞)を体内に投与し、臓器や組織の修復、機能の改善を目指す治療法です。
変性疾患や脳卒中などの脳の疾患において、日々研究がなされています。
特に脳梗塞に対する再生医療は様々行われています。
コクランレビューという複数の文献についてまとめ、考察した論文では、脳梗塞後の幹細胞治療が麻痺を改善させるとしています。
当院でもニューロテック®という骨髄由来幹細胞を用いた再生医療を行っています。
再生医療で神経細胞が再生することが可能だとしても、ただそれを行うだけでは機能や生活の向上は見込めません。
当院では再生医療×同時リハビリ™を基本としており、常に症状に目を向けたプログラムを組んでいます。

脳の萎縮についてのまとめ

この記事では脳の細胞死について解説をしました。
脳の加齢による変化は誰しも起こることではありますが、それ以外の病気では予防できるものは予防したいものです。
もし、自分や大切な人の脳の神経細胞が障害を受け、後遺症に悩んでしまった場合には再生医療などの最先端の治療も検討されるでしょう。

よくあるご質問

脳の萎縮は回復しますか?
加齢による脳の萎縮は、神経細胞の消失や神経原線維変化などに関連しています。意図的に神経細胞を増やすことは難しく、一度変性を受けてしまった神経細胞を通常の状態に戻すことも難しいので、脳の萎縮が回復することはほぼありません。

脳梗塞で死んだ脳細胞はどうなりますか?
脳梗塞となり虚血になった細胞は間もなく細胞死に至ります。虚血に至っていないペナンブラは回復する可能性がありますが、虚血になって死んだ細胞は元には戻りません。

<参照元>
神経内科でみる加齢による変化:https://dmu.repo.nii.ac.jp/record/737/files/KJ00006347596.pdf

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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