この記事を読んでわかること
・ギランバレー症候群とは
・ギランバレー症候群はなぜ起こる?
・ギランバレー症候群に対する再生医療
ギランバレー症候群は神経の病気で、手足の運動や感覚に異常が起こります。
有名人の方がかかったニュースを見たり、最近ではワクチン関連のニュースを見たりで耳にしたことがあるかもしれません。
軽症ですむ場合もある一方で、呼吸がままならず命に関わる可能性もある怖い病気です。
ここでは、ギランバレー症候群について解説してきます。
ギランバレー症候群とは
ギランバレー症候群とは、末梢神経の病気です。
脳や脊髄のことを中枢神経と呼びますが、そこから分布して手足や臓器に分布する神経が末梢神経です。
7-9割の患者さんは発症前にかぜ症状や下痢を起こしていて、それらの症状がでてから数日~3週間の間に末梢神経の症状が発生します。
頻度は少ないですが、ワクチン接種後に発症するケースもあります。
初めは手足にしびれや力の入りづらさを自覚し、進行すると麻痺となり歩行が困難になることがあります。
患者さん全体の10数%では重症となり、呼吸するための筋肉が麻痺して人工呼吸器が必要になります。
神経の症状は発症してから2〜4週がピークでその後徐々に改善するものの症状の幅は広く、日常生活に支障がないレベルまで回復するケースもあれば、重篤な後遺症を残すこともあります。
ギラン・バレー症候群の主な原因
免疫反応と神経への攻撃のメカニズム
ギランバレー症候群は自身の免疫が関わる病気です。
風邪をひいたり下痢をしたりすると、免疫は私たちの体を守るため原因となったウイルスや細菌に対して抗体を作ります。
産生された抗体は本来そのウイルスや細菌に対してだけ攻撃をするはずなのですが、ギランバレー症候群では自分の末梢神経を攻撃してしまうために、神経の障害が起こります。
なぜ抗体が自分の神経まで攻撃してしまうかは不明な点もあるのですが、体内に入ったウイルスや細菌がもつ構造が、自分の神経と似ている時に起こる(分子相同性)という説が有力です。
各種ワクチンも抗体を作るため異物を体内に注入する治療ですから、同じような機序でギランバレー症候群を発症させる可能性があるということになります。
カンピロバクター感染症との関連
ギラン・バレー症候群の原因には、カンピロバクター感染症が関わることが多く、免疫反応が過剰に働くことで末梢神経が攻撃されます。
特に、ウイルスや細菌の感染後、自己免疫が誤作動し、神経のミエリン鞘を破壊することが神経伝達を阻害します。
これにより、手足の筋力低下や麻痺といった症状が現れますが、正確なメカニズムはまだ完全に解明されていません。
ギランバレー症候群の治療
ギランバレー症候群に対する治療は、血漿交換療法と免疫グロブリン静注療法があります。
血漿交換療法は自分の血液を取り出して体内にある抗体を取り除くことで、症状が進行しないようにする治療です。
免疫グロブリン静注療法は、免疫を調節する作用があり症状の進行を抑える効果があります。
どちらの治療を行うにしても神経の症状が進行する前に開始できるかが重要であり、後遺症の程度に大きく関係してきます。
両者の併用はできず、簡便さから免疫グロブリン療法が選択されるケースが多くなっています。
近年では免疫に関わる「補体」をターゲットとした新たな薬剤(分子標的薬)が開発され、免疫グロブリン療法との併用が試験されています。
ギランバレー症候群の後遺症
ギランバレー症候群の後遺症は、経過中に神経の症状がどれだけ悪化したかによって異なります。
症状のピークでもしびれや軽度の筋力低下程度であった場合には、日常生活に支障がないレベルまで回復する見込みが高いということになります。
一方で、強いしびれや感覚低下、筋肉の麻痺まで進行していた場合には後遺症が残る可能性が高くなります。
強いしびれや感覚低下は不快な感覚で、寝ている時も含めて常時感じるなど、大きなストレスになります。
筋肉の麻痺にも程度がありますが、杖を使用して歩行がなんとか可能なケースもあれば、歩くことができずに車いす生活になってしまうこともあります。
最も重症では、呼吸ができずに人工呼吸器を外せない状態になります。
ギランバレー症候群は末梢神経の病気ですから、脳は正常に機能し意識ははっきりしているため、本人は非常につらい状態であることが想像できます。
ギランバレー症候群に対する再生医療
ギランバレー症候群の治療はどれだけ症状を悪化させないかにかかっており、悪化してしまった場合には打つ手がありません。
残された機能で生活する方法を考えるしかないのです。
神経の障害は一度確定すると元に戻ることはなく、生涯残る後遺症となってしまうのです。
ところが、回復することのないと考えられていた神経の障害を治療する試みが進んでいます。
それが、再生医療です。
再生医療とは、神経などの障害に対して細胞のもととなる幹細胞などを使用して臓器や組織を再生し、機能の回復を目指す医療です。
近年、脳梗塞や脊髄損傷など神経の障害に対して再生医療が応用され、成果が出てきています。
ギランバレー症候群による神経の障害に対しても、効果が期待できるかもしれません。
ニューロテックメディカル株式会社では、「ニューロテック®」として脳卒中・脊髄損傷・神経障害などに対する幹細胞治療の基盤特許を取得しており、再生医療の効果を高める取り組みを行っています。
ギランバレー症候群に対しては、再生医療と最先端のリハビリテーションを組み合わせることで最大限の機能回復を達成できると考えています。
ギランバレー症候群にお悩みの患者さんやご家族の方は、ぜひご相談ください。
ギラン・バレー症候群の原因についてのまとめ
ギランバレー症候群について解説しました。
珍しい病気ではありますが、ワクチン関連で注目が高まっている疾患の一つです。
むやみに怖がる必要はありませんが、もし発症を疑う症状があれば、早めの受診をおすすめします。
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