神経障害にはなぜ骨髄由来の幹細胞治療が最適なのか|脳卒中・脊髄損傷|麻痺痺れなど神経再生医療×同時リハビリ™で改善

神経障害にはなぜ骨髄由来の幹細胞治療が最適なのか

           

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この記事を読んでわかること

骨髄由来幹細胞治療の効果がわかる
骨髄由来幹細胞を神経の再生治療に利用する理由がわかる
より効果的な骨髄由来幹細胞治療の方法がわかる


脳梗塞や脳出血によって損傷した神経細胞は、これまで基本的には再生できないと考えられてきました
しかし、近年の再生治療の発達に伴い、徐々に幹細胞治療がもたらす効果や適切な投与法などが明らかとなり、神経疾患への臨床応用も進んでいます。
この記事では、神経障害にはなぜ骨髄由来の幹細胞治療が最適なのかについて詳しく解説します。

骨髄由来幹細胞治療のメカニズムと神経再生能力

SF的幹細胞培養施設
骨髄由来幹細胞治療とは、その名の通り、骨髄から採取した幹細胞によって損傷した臓器や組織の再生を促す治療です。
一方で、心筋細胞や脳細胞・神経細胞は自己複製能に乏しく、一度損傷するとなかなか自身の力のみでは再生することができません。
そこで、脳梗塞などの神経疾患に対する骨髄由来幹細胞治療の注目度は近年急激に増しています。
具体的な治療のメカニズムは主に3つです。

  • サイトカインによる神経保護・栄養作用
  • 血管新生作用
  • 神経再生作用

骨髄由来幹細胞から分泌される液性因子が、損傷した神経細胞に直接作用して保護・栄養します。
この反応は治療開始直後から起こるため、治療初期の効果に関わります。
さらに、液性因子に含まれるPIGFなどの成分が血管新生作用を持ち、これにより損傷部位への血流が増加し、より良好な治療結果を得られることが知られています。
この反応が生じるのは、脳梗塞などを発症してから約3日後です。
最後に、幹細胞による直接的な神経組織の再生作用は最も発現が遅く、発症後1週間〜数ヶ月の間で効果を示します。
これらの効果によって、神経細胞の軸索が延長したり、樹状突起が増生することで神経細胞は再生し、失われた機能の改善に繋がるわけです。
では、なぜ幹細胞によって神経細胞が再生するのでしょうか?

骨髄由来幹細胞による再生能力

骨髄由来幹細胞の能力
骨髄由来幹細胞を含む、再生医療に用いられる幹細胞には自己複製能と多分化能が必要です。
それぞれ、下記のような能力です。

自己複製能
自身で細胞分裂を行い、同じ性能・形状の細胞を作り出す能力
多分化能
さまざまな臓器や組織の細胞に自由に分化できる能力

例えば、幹細胞を投与しても多分化能がなければ、損傷した神経細胞に変化することができないため、神経組織の再生は望めません。
次に、幹細胞が神経細胞に分化できたとしても、そこから細胞分裂して増殖しない限り、損傷した組織を再生することはできません。
骨髄由来幹細胞には上記2つの能力が備わっているため、神経細胞の再生が望めます。

治療効果の現れ方と継続的な治療の重要性

上記で解説したように、骨髄由来幹細胞治療は3つのメカニズムによって、治療早期から効果を発揮します。
発症早期から効果を示すサイトカインによる神経保護・栄養作用、発症3日目から効果を示す血管新生作用、発症から数週間後に効果を示す神経再生作用が相互に影響しあって再生を促すわけです。
しかし、これらの効果はそれぞれ持続期間も決まっており、相互に作用し合うためには単回での投与では困難です。
複数回の治療を繰り返すことで、3つの効果を重複させることができ、より持続的な効果を得ることができます。

骨髄由来幹細胞の投与方法とその利点

骨髄由来幹細胞の投与方法は非常にシンプルです。

  1. 検診で血液検査や感染症のチェック
  2. 骨髄穿刺によって検体を抽出
  3. 培養センターで骨髄由来幹細胞を培養
  4. 安全性のチェック
  5. 点滴にて患者に投与

腸骨などの骨から直接検体を取り出し、骨髄液内に含まれる骨髄由来幹細胞を培養センターで増殖させ、点滴製剤として血管から体内に戻します
自身由来の幹細胞であるため、免疫反応やアレルギー反応などが生じるリスクは限りなく低いです。
脂肪組織から幹細胞を取り出すことも可能ですが、特に神経疾患に対する治療では骨髄由来幹細胞の方が効果的であることが知られています。
理由は、骨髄由来幹細胞は脂肪由来幹細胞よりも、神経細胞への分化能や神経再生作用、神経保護作用が高いためです。
一方で、脂肪よりも幹細胞採取の侵襲は高いですが、効果を考えれば神経疾患に対しては骨髄由来幹細胞での治療がおすすめです。

まとめ

今回の記事では、神経障害にはなぜ骨髄由来の幹細胞治療が最適なのかについて詳しく解説しました。
骨髄由来の幹細胞は脂肪由来の幹細胞よりも神経細胞への分化能が高く、また神経細胞の保護効果も高いことから、より神経疾患の治療に適しています。
実際に、国内でも2018年の12月に骨髄由来の幹細胞(ステミラック注)を用いた脊髄損傷への治療が臨床使用可能となりました。
今後もさらなる知見が進めば、より多くの疾患に対して適応範囲も広がるでしょう。
また、最近では「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
ニューロテックメディカルでは、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「神経再生医療×同時リハビリ™」によって、これまで改善の困難であった神経疾患の改善が期待できます。

よくあるご質問

幹細胞治療はどんな効果があるのですか?
幹細胞治療の主な効果は、損傷した細胞の再生・液性因子による血流の増進・血管増生・サイトカインによる直接的な神経細胞の保護、栄養などです。
特に、骨髄由来の間葉系幹細胞は神経組織への分化能が高く、効果を示しやすいことが知られています。

幹細胞治療の効果はどのくらいの期間続きますか?
幹細胞治療の効果の持続期間には個人差もありますが、概ね数ヶ月〜数年の期間、持続することが多いです。
また、効果をより長続きさせるためには、並行してリハビリを積極的に行うことも肝要です。

<参照元>
・J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/dds/23/5/23_5_526/_pdf
・厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000104468.pdf

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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