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本態性振戦とパーキンソン病の違いとは

           

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この記事を読んでわかること

振戦の種類や特徴がわかる
本態性振戦とパーキンソン病による振戦の違いがわかる
本態性振戦とパーキンソン病による振戦の治療法がわかる


振戦とは体の一部がリズミカルにふるえる症状のことで、出現する条件や原因によってさまざまな種類に分類されます。
そのうちの1つである、原因不明に生じる本態性振戦とパーキンソン病による振戦は、時に鑑別が難しく、誤診されることも少なくありません。
そこで、この記事では本態性振戦とパーキンソン病の振戦の違いについて解説します。

振戦の種類と特徴

振戦の種類と特徴
皆さんは「振戦」と呼ばれる症状をご存知でしょうか?
振戦とは、手足や頭など体の一部に生じる不随意かつリズミカルなふるえのことであり、筋肉の収縮と弛緩が交互に繰り返されることで生じる症状です。
振戦は出現する条件によって下記のように分類されます。

  • 安静時振戦:筋肉を動かしていない状態で起こる振戦
  • 動作時振戦:何らかの動作に伴って生じる振戦

さらに、動作時振戦は出現の仕方によって下記のように分類されます。

  • 企図振戦
  • 運動時振戦
  • 姿勢時振戦

企図振戦とは、例えば指でボタンを押そうと手を伸ばした時など、目標物に向かって動作を行う際に生じる振戦です。
それに対して、運動時振戦とは手首を上下に動かしたり、首を左右に振るような随意運動中に現れる振戦です。
姿勢時振戦とは、一定の体位のまま、手足を上下に引き伸ばすことで出現する振戦を指します。
また、上記分類とは別に原因別で下記のように分類されることもあります。

  • 本態性振戦:明らかな病因を認めない振戦
  • 小脳性振戦:小脳が障害されることで生じる振戦
  • 心因性振戦:激しい怒りや恐怖に伴って生じる振戦

このように、振戦は出現する際のシチュエーションや原因によってさまざまな分類がなされており、それぞれの特徴などを把握することは病気の診断にも有用です。
振戦をきたす病気の代表例としてパーキンソン病が挙げられますが、どのような振戦なのでしょうか?
パーキンソン病とは大脳基底核の黒質と呼ばれる部位が変性・萎縮することで、本来黒質から分泌される神経伝達物質、ドーパミンが枯渇してしまう病気です。
ドーパミンの枯渇によって、本来身体のスムーズな運動をコントロールしている錐体外路と呼ばれる神経回路がうまく機能しなくなるため、振戦が現れます。
例えば腕を曲げるためには上腕二頭筋の収縮が必須ですが、それと同時に腕を伸ばす筋肉である上腕三頭筋が弛緩している必要があります。
腕を曲げるとき、スムーズな動作のために上腕三頭筋を弛緩させるように調整するのが錐体外路の役割です。
しかし、パーキンソン病では錐体外路の機能が障害されるため、筋肉の収縮と弛緩のバランスが乱れて振戦が生じます。
動作の有無に関わらず、安静時でも出現する振戦であるため、上記で言うところの安静時振戦に分類され、特に病因のない本態性振戦とは異なります。

治療法の違いと選択肢

では、本態性振戦やパーキンソン病による振戦はどのように治療するのでしょうか?
まず本態性振戦にはこれといった病因がないことがほとんどのため、治療はあくまで振戦を軽減するための抗てんかん薬などが選択肢です、
それに対して、パーキンソン病による振戦の治療はパーキンソン病そのものの治療に準じます。
病態はドーパミンの枯渇であるため、治療は内服によるドーパミンの補充が主です。
また振戦が強い場合や、上記のような内服療法に抵抗性のある方の場合は、手術によって直接脳内に電極を挿入し、視床下核と呼ばれる部位を刺激することで症状の改善を目指すこともあります。
このように、両者では治療法が全く異なるため、事前に診断を見誤らないことが重要です。

再生医療と本態性振戦およびパーキンソン病の治療

再生医療と本態性振戦およびパーキンソン病の治療
本態性振戦は、何らかの神経系の異常が背景にあると考えられていますが、その原因は不明です。
また、パーキンソン病の病態は明らかとなっていますが、なぜ黒質において脳細胞の変性が生じてしまうのかは解明されていません。
そのため、両方とも原因にダイレクトでアプローチできるような治療法はなく、どちらも出現した症状を緩和するような治療法が主です。
一方で、近年では幹細胞治療を用いた再生医療が非常に注目されています。
体内に投与した幹細胞は全身に広がり、修復が必要な組織に届くとその組織の再生を促すため、本態性振戦やパーキンソン病によって障害されている神経細胞そのものを治療できるわけです。
振戦に対する新たな治療法として、今後の知見が待たれるところです。

まとめ

今回の記事では、本態性振戦とパーキンソン病の振戦の違いについて詳しく解説しました。
同じ振戦でも原因が異なるため、両者では治療法も異なりますが、どちらもあくまで症状を抑えるような治療方法しかないため、病態そのものを根治できるような治療法は認めません。
しかし、近年ではこれらの神経疾患に対する再生医療が非常に注目されており、ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、これまで根治の困難であった振戦の改善・根治が期待できます。

よくあるご質問

本態性振戦とパーキンソン病の違いは何ですか?
パーキンソン病による振戦は安静時に出現しますが、本能性振戦は何らかの動作時や姿勢時に出現します。
また、本態性振戦では振戦のみですが、パーキンソン病では固縮や無動など、さまざまな症状が出現します。

本態性振戦と安静時振戦の違いは何ですか?
本態性振戦の場合、振戦が出現するのは安静時ではなく、何らかの動作時、もしくは特定の姿勢で四肢を伸ばした時に生じます。
そのため、静止時に生じる安静時振戦とは、振戦の出現する条件が異なります。

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<参照元>
MSDマニュアル:https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/09-%E8%84%B3%E3%80%81%E8%84%8A%E9%AB%84%E3%80%81%E6%9C%AB%E6%A2%A2%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E9%81%8B%E5%8B%95%E9%9A%9C%E5%AE%B3/%E6%8C%AF%E6%88%A6
難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/169

あわせて読みたい記事:大脳皮質基底核変性症とパーキンソン病の違い

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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