この記事を読んでわかること
一過性脳虚血発作と脳梗塞との違い
一過性脳虚血発作を発症した後のリスク
脳梗塞を予防するための対策
一過性脳虚血発作とは、脳の血管に血栓が一時的に詰まることによって麻痺などの脳梗塞と同様の症状を発症する疾患です。
発症後は脳梗塞へ移行するリスクが高く、すぐに脳梗塞が発症しないように対策を行う必要があります。
この記事では一過性脳虚血発作と脳梗塞の違いからリスク、脳梗塞の予防方法を解説します。
一過性脳虚血発作(TIA)とは?脳梗塞との違い

一過性虚血発作(TIA)とは一時的に脳の一部に血流が不足することで発症する神経の働きの低下のことで、長くても24時間以内に症状が消失する疾患です。
神経の働きの低下が出現すると麻痺症状、しびれなどの感覚異常、呂律が困難になるなどの脳梗塞と同様の症状が出現します。
一過性脳虚血発作は脳の血管に一時的に血栓が詰まることで症状が出現し、その後血栓による詰まりが取れることで症状が改善します。
大まかな一過性虚血発作の分類は不整脈などの循環器病が原因になる心原性とその他の要因の非心原性に分かれます。
心原性は不整脈などが原因で心臓の中で小さな血栓ができ、血流に乗って一時的に脳の血管に詰まることによって発症します。
非心原性は血管に溜まったコレステロールが何らかの原因で剥がれ一時的に血管に詰まることや急激な血圧の低下によって、一時的に脳血流が途絶えることによって発症します。
脳梗塞は血栓が完全に詰まってしまうことで、神経機能低下の症状が出現します。
血管が完全に詰まってしまうため、脳梗塞は一度症状が出現すると多くの方に後遺症が出現します。
一方で一過性虚血発作はすぐに血流が改善するため症状が改善し、後遺症が残りません。
しかし、一過性虚血発作を一度発症すると脳梗塞を発症するリスクが大きく上がるため注意が必要です。
一過性虚血発作が脳梗塞を引き起こす理由
一過性虚血発作になった方は2日以内に2.4%、3ヶ月以内に4.7%が脳梗塞を発症します。
脳梗塞と一過性虚血発作の原因はほぼ同じで、高血圧・高脂血症・喫煙・心疾患などがあります。
この2つの疾患は血栓が詰まっている期間が一時的なものか、詰まったままであるかの違いがあります。
つまり、ほとんど原因や脳の血管が詰まる理由が一緒です。
そのため、一過性虚血発作の発症する状況は脳梗塞が起きる直前の状態がすでに始まっている状態です。
首の動脈に溜まってしまった血栓が剥がれやすい状態になると、脳梗塞になるリスクが上がります。
また、不整脈があると心臓の中の血流が不規則になり血栓ができやすい状況になります。
一過性虚血発作を発症後に画像では脳梗塞になっていない状態でも、一時的に詰まっていた血管が再度詰まったり、流れた血栓が他の場所に詰まる事があります。
さらに血圧低下が原因で一過性虚血発作を発症した場合は、脳への血流が不十分になっている可能性があり、再度血圧が低下した際に脳梗塞を発症する可能性があります。
一過性虚血発作は脳梗塞が発症しやすい血管の状態になっていることを示すだけでなく、一過性虚血発作の原因になった血栓そのものが脳梗塞の原因になる事があります。
一過性虚血発作が疑われた時にするべきことと脳梗塞の予防方法
一過性虚血発作の症状は自然に改善しますが、脳梗塞を予防するための治療が必要になります。
一過性虚血発作を発症した後の脳梗塞の予防方法は、薬物療法と生活習慣の見直しがあります。
脳梗塞は血液が固まりやすくなり血栓ができることで発症するため、血液をサラサラにする抗血小板薬や抗凝固薬を内服します。
心原性の一過性虚血発作では心臓内での血流が滞ることで血栓ができるため、血が固まりにくくなる抗凝固薬を使用します。
非心原性の一過性虚血発作では脳の血管内に血を固める作用のある血小板がくっつくことで血栓ができるため、抗血小板薬が適応になります。
生活習慣の見直しでは特に食事と運動習慣が鍵になります。
食事はバランスを意識して摂取する事が重要です。
脂質や塩分の多い食事ではなく、和食を中心とした食事が血圧や高脂血症の改善に効果的です。
加工肉や揚げ物を減らすことも有効です。
運動は有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせて行いましょう。
厚生労働省は有酸素運動・筋力トレーニングなどの複合的な運動を週3回以上行うことを推奨しています。
特に有酸素運動は歩行を毎日40分程度行うことで、脳梗塞のリスクである血糖値や血圧の改善効果を見込む事ができます。
まとめ
この記事では脳梗塞じゃないのに麻痺が出現する一過性脳虚血発作について解説しました。
一過性虚血発作は血栓が一時的に脳の血管に詰まることによって発症する疾患です。
脳梗塞へ移行するリスクが高く、発症後早期に脳梗塞を発症するリスクが上がります。
一過性虚血発作を発症した後は薬物療法・食事・運動を組み合わせて脳梗塞を予防しましょう。
もし、一過性虚血発作になったことがある方で麻痺症状などが再度出現した際は早急に受診が必要です。
脳梗塞で残存した神経障害の治療は確立されていませんが、再生医療にはその可能性があります。
今後、神経再生医療×リハビリテーションの治療の研究は進んでいきます。
私たちのグループは神経障害は治るを当たり前にする取り組みを『ニューロテック®』と定義しました。
当院では、リハビリテーションによる同時刺激×神経再生医療を行う『リニューロ®』という狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療を行っていますので、ご興味のある方はぜひ一度ご連絡をお願いします。
よくあるご質問
- 麻痺症状が出現してすぐになくなったけどどうしたらいい?
- 麻痺症状がすぐに消失した場合、一過性脳虚血発作を発症した可能性があります。
数日以内に脳梗塞を発症する可能性があるため、すぐに医療機関を受診し脳梗塞予防のための治療を行いましょう。
- 一過性脳虚血発作は再発しますか?
- 一過性脳虚血発作は治療を行わないと再発するリスクは非常に高いです。
発症してしまった後は内服治療や生活習慣の見直しを行うことで、一過性脳虚血発作の再発や脳梗塞の発症を予防する治療を行いましょう。
<参照元>
(1)TIA定義について|日本脳卒中学会:https://www.jsts.gr.jp/img/tiateigi_201910.pdf
(2)A 5-Decade Analysis of Incidence Trends of Ischemic Stroke After Transient Ischemic Attack A Systematic Review and Meta-analysis JAMA Neurol Published Online: October 12, 2020 2021;78;(1):77-87. doi:10.1001/jamaneurol.2020.3627
:https://jamanetwork.com/journals/jamaneurology/fullarticle/2771410?utm_source=chatgpt.com
(3)脳卒中治療ガイドライン2021改定2025 p25:https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2025_kaiteikoumoku.pdf
(4)一過性脳虚血発作の内科的治療 脳卒中 37 巻3 号 2015 p194−196:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/37/3/37_194/_pdf/-char/ja
(5)健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023(概要):https://www.mhlw.go.jp/content/001204942.pdf
あわせて読みたい記事:脳梗塞が原因でまぶたが下がる?一過性黒内障の症状とは
外部サイトの関連記事:脳梗塞発症の年代別ピークと予防策













コメント