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脳梗塞後の四分の一盲(クアドランタノプシア)とは

           

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この記事を読んでわかること

  1. 損傷部位別の視野欠損の出方がわかる
  2. 脳梗塞で四分の一盲が出現するメカニズムがわかる
  3. 四分の一盲が生活に与える影響がわかる

我々が普段目にしている視野は、目だけでなく目の奥の視神経・視交叉・脳など非常に複雑な経路を通って処理されています
また左右上下の視野はそれぞれ別の経路を通過して認識されるため、障害部位によって視野障害の出方も異なります。
ここでは、 脳梗塞後の四分の一盲の原因や機序、日常に与える影響などについて詳しく解説します。

脳梗塞後の四分の一盲(Quadrantanopsia)の原因と機序

視覚情報は光として角膜→水晶体→硝子体と眼球構造を透過し、網膜に照射
四分の一盲(クアドランタノプシア)とは、その名の通り、視野のうち、左右上下のいずれか四分の一だけ見えなくなる状態です。
なぜそのような状態になるのかを理解するためには、ヒトの視野のシステムを理解する必要があります。
まず、外界の視覚情報は光として角膜→水晶体→硝子体と眼球構造を透過し、網膜に照射されます。
網膜の細胞によってこれらの視覚情報は電気信号に変換され、その後眼球の奥にある視神経にインプットされ、その後視交叉や視索・外側膝状体などを経由して、最終的に視放線と呼ばれる神経線維によって後頭葉に伝達されるわけです。
後頭葉に情報がインプットされて初めて、視覚として目で見ている情報を脳が認識するわけですが、上記の脳へと伝達される経路は、視野の左右上下によって走行する経路が異なるためやや理解が複雑です。
通常、目で見ている景色の右半分は、左右眼球の網膜の左半分に投射され、左視神経はそのまま左側に、右視神経は視交叉を経由して左側に情報が伝達され、左側の視索・外側膝状体に情報が集約されます。
その後、左側の視放線は上下に分かれ、右下の視野は上の視放線を、右上の視野は下の視放線を通過して後頭葉にインプットされます。
逆に、目で見ている景色の左半分の場合は上記と全て左右反転するため、左右の眼球の網膜の右半分に投射され、右視神経はそのまま右側に、左視神経は視交叉を経由して右側に情報が伝達され、右側の視索・外側膝状体に情報が集約されるわけです。
上記からもわかる通り、左右上下4つの視野によって、後頭葉への伝達経路は異なるわけです。
そのため、網膜・視神経・視交叉や視索・外側膝状体・視放線・後頭葉のどこが障害されるかでどちらの目のどの視野が欠損するかも異なります
部位別の視野欠損は下記の通りです。

  • 視神経:障害を受けた側と左右同側の眼球の視野が全て欠損
  • 視交叉:左目の左半分の視野と、右目の右半分の視野が欠損(両耳側半盲)
  • 視索・外側膝状体:両目とも、障害を受けた側と左右反対側の視野欠損(同名半盲)
  • 上の視放線:両目とも、障害を受けた側と左右反対側の下1/4の失明
  • 下の視放線:両目とも、障害を受けた側と左右反対側の上1/4の失明

以上のことからも、クアドランタノプシアとは左右のいずれかの視放線の上下いずれかが障害された場合にのみ、出現することが分かります。
主な原因はある程度障害範囲の少ない脳梗塞や脳出血などの脳血管障害や、脳動静脈奇形・脳腫瘍・脳外傷・脳膿瘍などが挙げられます。

クアドランタノプシアの診断方法

クアドランタノプシアの診断方法は、視野検査です。
視野検査とは正中を見たときに上下左右のどの範囲の視野が正常に見えていて、どの範囲の視野が欠損しているかを判断する検査です。
視野検査は静的視野検査と動的視野検査の2つに大別されます。

  • 静的視野検査:主に各視野の感度を測定する
  • 動的視野検査:主に各視野の範囲を測定する

特に、クアドランタノプシアの診断のためには各視野の範囲を測定することができる動的視野検査が有用です。
一方で、これらの検査はあくまで左右上下いずれかのクアドランタノプシアが生じていることだけが診断可能であり、クアドランタノプシアの原因疾患を断定できるわけではありません。
診断のためには、頭部CT検査や頭部MRI検査などによって器質的病変の検索が必要となります。

クアドランタノプシアの症状と影響

クアドランタノプシアの症状と影響
クアドランタノプシアでは両目の左右上下の1/4が視野欠損します。
左右上下の1/4といえど、生活に与える影響はそれなりに甚大です。
通路のものが見えなくなるため、これまでのようにスムーズな歩行は困難になります。
また、物の位置やコンピューターのキーボードも見えにくくなるため、仕事にもなんらかの支障をきたす可能性が高いです。
程度次第では運転免許の取得が困難となる場合もあり、生活への影響は少なくありません。
一方で、原因疾患の治療で視野欠損が改善する可能性もあるため、早期診断・早期治療が肝要です。

まとめ

今回の記事では、 脳梗塞後の四分の一盲(Quadrantanopsia)について詳しく解説しました。
脳腫瘍や脳膿瘍が原因の場合、病変の切除や除去によって症状が急速に改善する可能性があります。
一方で、脳梗塞や脳出血によって神経組織が障害された場合、不可逆的なダメージを負う可能性もあります。
その場合、基本的にはリハビリテーションなどを行いながら、症状とともに生活していく必要があり、その後の生活に与える影響は少なくありません。
そこで、最近ではこれらの神経学的後遺症に対して「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
これまで治療の困難であった神経症状に対して、脳梗塞・脊髄損傷クリニックでは、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「神経再生医療×同時リハビリ™」によって、クアドランタノプシアの改善が期待できます。

よくあるご質問

四半盲とは何ですか?
四半盲とは、左右の目で見ている視野のうち、左右上下のいずれか1/4に視野異常が生じた状態です。
脳梗塞や脳出血・脳腫瘍や頭部外傷などによって視放線の一部が損傷を受けることで起きうる病態です。

脳梗塞で半盲になることがありますか?
脳梗塞で半盲になることがあります。
半盲の場合、左右いずれかの視索や外側膝状体、もしくは視放線や後頭葉が障害を受けることで生じる病態のため、脳梗塞によってこれらの部位が障害を受ければ半盲が出現します。

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    ・外側膝状体近傍障害による4分盲を呈した脳内出血の2症例|J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/35/3/35_216/_pdf/-char/ja
    ・疾患別説明書:視野(VF-04)|船橋市立医療センター脳神経外科:https://www.mmc.funabashi.chiba.jp/neurosurgery/uploads/VF-04.pdf
    ・視野検査|慶應義塾大学:https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000341.html

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    PROFILEこの記事の監修
    貴宝院 永稔
    貴宝院 永稔 医師
    (大阪医科薬科大学卒業)
    • 脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
    • 日本リハビリテーション医学会認定専門医
    • 日本リハビリテーション医学会認定指導医
    • 日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
    • ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

    私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
    リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
    このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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