幹細胞点滴がリハビリに与える生理学的な影響 | 脳卒中・脊髄損傷|麻痺痺れなど神経再生医療×同時リハビリ™で改善

幹細胞点滴がリハビリに与える生理学的な影響

           

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この記事を読んでわかること

幹細胞治療の概要がわかる
幹細胞治療とリハビリの併用の効果がわかる
幹細胞治療が神経系に与える影響がわかる


幹細胞治療は、損傷した組織や臓器の再生を促すことができる新たな治療法です。
特に、自身の再生能力だけでは機能の再生が難しい神経細胞においては、リハビリと幹細胞治療の併用によって機能の改善が期待されています。
この記事では、幹細胞点滴がリハビリに与える生理学的な影響について詳しく解説します。

幹細胞が身体に与える影響とメカニズム

近年、さまざまな疾患に対する新たな治療法として注目されているのが「幹細胞点滴治療」です。
その名の通り、幹細胞を点滴によって投与し、体内の損傷した臓器や組織の再生を促す治療法です。
では、なぜ幹細胞は身体のありとあらゆる臓器や組織を修復できるのでしょうか?
最もわかりやすい例として、最強の幹細胞である受精卵を例に解説します。
我々人の体は、1つの精子と1つの卵子が受精し、1つの受精卵から出来上がっています。
これは、受精卵が下記2つの能力を非常に高いレベルで有しているためです。

  • 多分化能:ありとあらゆる系統の細胞に分化する能力
  • 自己複製能:自身のDNA情報を読み取り、同じコピー細胞を複製する能力

受精卵は筋肉や血管・脂肪・神経などありとあらゆる系統の細胞に分化し、自己複製能によって増殖することで複雑な人体を形成しています。
倫理的問題から受精卵を治療に使うことはできませんが、多分化能と自己複製能を有する細胞であれば、体内に投与することで損傷した臓器の細胞に分化し、自己複製によって損傷した部分を補うことができるわけです。
これまで、より良い幹細胞の発見のためにさまざまな研究がなされ、ES細胞やiPS細胞などが樹立されてきました。
しかし、ES細胞には倫理的問題が、iPS細胞にはコスト面での問題があり、近年多くの医療機関で用いられているのは、自身の骨や脂肪から比較的容易に採取できる間葉系幹細胞です。
間葉系幹細胞を身体から採取し、体外で培養することで大量に増殖させ、これを一気に体内に戻す治療法こそ、「幹細胞点滴治療」です。
また、幹細胞を培養した上清液の中には組織修復に有用なさまざまなサイトカインが含まれており、この幹細胞上清液のみを点滴注射する「幹細胞培養上清液点滴」という治療法もあります。

リハビリ中の身体機能改善に対する幹細胞の役割

リハビリ中の身体機能改善に対する幹細胞の役割
爪や髪の毛は放っておいても勝手に再生しますが、心筋や神経細胞は自己複製能に乏しいため、一度障害されると自己再生は困難です。
脳梗塞や脳出血で麻痺やしびれが残存し、リハビリ治療される方が多いのはこのためです。
また、リハビリ単独で身体機能改善を行うよりも、同時に幹細胞治療を併用することでより高い効果が得られることが報告されています。
実際に、脳梗塞患者10名を対象にリハビリ併用の効果を検証した石合らの研究では、10例中5例で幹細胞治療後の明らかな神経機能の改善を認めています。
また、緒方らによれば、失われた動作の再獲得には、リハビリによって下記のような能力を獲得することが重要です。

  • 動作パターンの獲得
  • 動作に必要な筋力や持久力の維持
  • 動作の基盤となる関節可動性や柔軟性の獲得

幹細胞治療は直接的、もしくは間接的に神経回路の再構築、または機能の改善を誘導することができると考えられており、併用することで上記能力の獲得がより促進される効果が期待されます。

幹細胞点滴治療がリハビリの効率を向上させる理由

幹細胞点滴治療がリハビリの効率を向上させる理由
幹細胞点滴治療がリハビリの効率を向上させる主な理由は、下記の通りです。

  • サイトカインよる神経保護
  • サイトカインよる抗炎症作用
  • サイトカインよる血管新生誘導
  • 幹細胞の神経細胞への分化

上記でまとめたように、幹細胞そのものはもちろんのこと、幹細胞上清液に含まれる複数のサイトカインによって神経組織の修復が促され、神経組織の再構築が促進されます。
また、神経組織の修復にとって邪魔な炎症を抑制したり、神経組織に栄養を供給するための血管を新生することで、より効果的な神経組織の再構築を促し、リハビリによる筋力維持や動作獲得の効果が促進されると考えられます。
また、これらの狙った神経回路の治る力(可塑性)を向上させるには、幹細胞点滴と同時のタイミングで狙った神経回路を刺激していくこと(特許取得済み)が有効であることが分かってきました。

まとめ

今回の記事では、幹細胞点滴がリハビリに与える生理学的な影響について詳しく解説しました。
幹細胞そのものや、幹細胞培養の上清液には神経再構築に有用な成分が豊富に含まれており、神経回路の再構築を促すことでより効率的なリハビリが可能となります。
また、ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、これまで改善の困難であった脊髄損傷や脳梗塞の後遺症の改善が期待できます。

よくあるご質問

再生医療の点滴の効果は何ですか?
再生医療の点滴の効果は、大きく2つです。
幹細胞そのものが損傷した臓器や組織の細胞に分化し、直接的に再生・修復を促します。
また、幹細胞培養上清液に含まれるサイトカインによる炎症抑制や血管増生などの効果が期待されます。

幹細胞点滴のデメリットは?
自分の幹細胞を用いるため、幹細胞点滴自体にはほとんどデメリットを認めません。
ただし、自分の身体から幹細胞を抽出するにあたり、骨や脂肪組織から侵襲的に採取する必要があるため、採取部位が一時的に腫れたり痛む可能性があります。

<参照元>
J STAGE:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/clinicalneurol/53/11/53_1177/_pdf
再生医療ポータル:
https://saiseiiryo.jp/basic/detail/basic_mesenchymal.html
J STAGE:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/resja/37/1/37_6/_pdf/-char/ja
首相官邸ホームページ:
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/suisin/suisin_dai18/siryou6.pdf

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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