この記事を読んでわかること
・不全麻痺と完全麻痺の違いを徹底解説
・不全麻痺に見られる運動機能の低下症状
・感覚障害や筋力低下が示す不全麻痺のサイン
脳、脊髄、末梢神経などが損傷されると麻痺が起こります。
不全麻痺は、運動や感覚の機能が一部残存している麻痺と定義されています。
従って、完全麻痺とは異なり、ある程度は動いたり感じたりすることができます。
具体的な症状として、手足のしびれや痛み、脱力感、動作のスムーズさの欠如などがあります。
不全麻痺と完全麻痺の違いを徹底解説
この記事では不全麻痺と完全麻痺の違いを徹底解説します。
不全麻痺と完全麻痺は、神経系の損傷による運動機能の障害程度を表わしたものです。
主な違いは、残存機能の程度にあります。
完全麻痺は、神経が完全に損傷することにより、その神経に支配されている運動や感覚の機能が全く失われた状態を言います。
例えば、下肢の完全麻痺の場合、足が全く動かなくなり、感覚も全く無い状態になります。
一方、不全麻痺は、神経の損傷が完全ではなく、一部の機能が残存している状態です。
つまり、全く動かなくなるわけではなく、ある程度は動かすことができたり、感覚が残っていたりする状態です。
例えば、下肢の不全麻痺の場合、足が全く動かなくなるわけではなく、少しなら動かすことができます。
両者とも脳卒中、脊髄損傷、神経疾患などが原因となります。
臨床的には、完全麻痺よりも不全麻痺の症例の方が多く見られます。
不全麻痺の場合、残存する機能があるため、リハビリよる機能回復が望めます。
でも、完全麻痺の場合は、一般的に、機能回復は難しく、後遺症として障害が残る可能性が高いです。
不全麻痺に見られる運動機能の低下症状
この記事では、不全麻痺に見られる運動機能の低下症状について解説します。
完全麻痺のように全く動かなくなるのではなく、ある程度は動かすことができるのが特徴です。
でも、動きは健康な状態と比較して制限された状態です。
具体的な運動機能の低下として以下の症状がみられます。
筋力の低下によって、力が入りにくくなり、重い物を持ち上げたり、階段を昇り降りしたりすることが困難になります。
日常動作が遅くなり、スムーズに動けなくなることがあります。
例えば、食事の際に、スプーンやフォークを口に運ぶ動作が遅くなったり、歩行スピードが遅くなったりします。
協調運動も難しくなることがあります。
例えば、ボタンを掛けたり、靴ひもを結んだりといった細かい動作が困難になります。
平衡感覚にも影響を与え、立ちくらみやふらつきが出ることがあります。
その他、体の震え、自身の意思とは関係なく、体が勝手に動いてしまう、不随意運動が起こる場合もあります。
従って、これらの運動機能の低下による症状は、日常生活にさまざまな制限をもたらすことが多いです。
感覚障害や筋力低下が示す不全麻痺のサイン
この記事では感覚障害や筋力低下が示す不全麻痺のサインについて解説します。
まずは、感覚障害のサインです。
手足に電気が走るような痺れや、虫が這っているような異常感覚などがあります。
中には、痛みとして感じる場合もあります。
熱いや冷たいが感じにくい、または過敏に感じるなどの温度感覚の異常もあります。
その他、物に触れた時の感覚が鈍ったり、逆に過敏になったりするなどの触覚の異常が出ることがあります。
次に、筋力低下のサインです。
重い物を持てない、足に力が入らないためにふらついて歩けない、転倒しやすい、などの障害が考えられます。
の他、細かな運動障害として、ボタンをかけれない、靴ひもを結べない、などの動作が難しくなるケースもあります。
これらの症状は、損傷した神経の種類や部位によって、症状の程度や現れ方が異なります。
例えば、脳卒中による不全麻痺では、体の片側だけに障害が現れることが多いです。
加えて、感覚障害と筋力低下は、密接な関係があります。
例えば、痛みを感じにくくなると、関節に過度の負担がかかり障害を起こすことがあります。
そのため、不全麻痺は、早期に発見し、適切な治療を受けることが重要です。
まとめ
今回の記事では、不全麻痺の定義と代表的な症状について解説しました。
不全麻痺は、ある程度は体を動かすことが可能である状態ですが、日常生活に支障を来すことがたびたびあります。
原因は、神経の損傷によるものです。
この状態が改善すると、麻痺は改善しますが、決め手となる治療が無いのが現状です。
そのため、新たな治療法として、再生医療に期待が持てます。
『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』を、ニューロテック®と定義しました。
ニューロテック、脳梗塞脊髄損傷クリニックなどでは、脳卒中・脊髄損傷を専門として、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
リニューロ®とは、脳卒中や脊髄損傷、神経障害の患者さんに対する『狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療』と定義しております。
具体的には、同時刺激×神経再生医療Ⓡに加えて、治療効果を高めるために骨髄由来間葉系幹細胞、神経再生リハビリ®を併用し、神経障害の更なる軽減を目指しています。
これらの治療法は、不全麻痺による後遺症で苦しむ患者さんに対して期待が持てる治療となるでしょう。
よくあるご質問
- 不全麻痺とはどういう状態ですか?
- 脳、脊髄、末梢神経などの損傷により、運動や感覚の機能が部分的に消失した状態を言います。
例えば、手足をわずかに動かすことができたり、感覚が低下したりしていますが完全には消失していない状態です。 - 不全麻痺は回復しますか?
- 一律な回答はできません。
原因となる疾患、損傷の部位や程度、リハビリへの取り組み方など、さまざまな要因によって異なるからです。
完全に元に戻ることはなかなか難しいのが現状です。
でも、残存機能を最大限に引き出すリハビリによって、日常生活への復帰は可能なことが多いです。
<参照元>
脊髄損傷|日本整形外科学会:
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/spinal_cord_injury.html
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