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脊髄損傷型減圧症とは?その原因と発症メカニズム

           

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この記事を読んでわかること

減圧症の基本的な仕組みと脊髄型の特徴がわかる
スキューバダイビング中の圧力変化と気泡形成のリスクがわかる
再生医療による神経障害の新しい治療の可能性がわかる


スキューバダイビングは、水中世界を体験できる魅力的なアクティビティですが、潜水後に正しく浮上しないと「減圧症」という重篤な健康被害が生じることがあります。
中でも特に深刻なのが、神経系に影響を及ぼす「脊髄損傷型減圧症」です。
本記事では、この症状がどのような原因で発生し、なぜ脊髄に障害が起こるのか、メカニズムを解説します。

減圧症の基本概念と脊髄への影響

減圧症の基本概念と脊髄への影響
減圧症とは、潜水中に体内に溶け込んだ窒素ガスが、急浮上などによって急激に気泡化し、体内組織や血管に悪影響を及ぼす病態です。
通称「潜水病」とも呼ばれます。
通常、人間の体は水中での圧力に適応しており、吸入したガス(特に窒素)は血液や組織に溶け込んでいます。
ところが、浮上時に圧力が急激に下がると、溶けていた窒素が急に気泡となって現れます。
この気泡が神経組織、特に脊髄に形成されると、「脊髄損傷型減圧症」が発症します。
脊髄損傷型減圧症は、減圧症の一種であり、脊髄が損傷されるタイプでありII型減圧症の中でも特に多くみられます。
脊髄は身体の運動や感覚を司る重要な部位であるため、ここに障害が起こると、しびれや麻痺といった深刻な神経症状を引き起こすことになります。

脊髄が障害されると、手足のしびれや電気が走るような痛み、筋力の低下などの神経症状が現れます。
これらの症状は単独で出ることもあれば、複数が組み合わさって生じることもあります。
初期は軽度でも、数時間のうちに不可逆的な麻痺へと進行することがあるため注意が必要です。
また、排尿が困難になったり、排尿・排便のコントロールがきかなくなるケースもあります。
腹部や背中の痛みを訴える方も少なくありません

スキューバダイビング中の圧力変化と気泡形成の関係性

スキューバダイビング中の圧力変化と気泡形成の関係性
水中では、深く潜るほど水圧が高くなります。
水深10メートルごとに1気圧上昇し、例えば水深30メートルでは地上の約4倍の圧力が体にかかっていることになります。
この状態で呼吸する空気には高濃度の窒素が含まれており、それが血液や組織に徐々に溶け込んでいきます。
問題は、浮上のスピードが速すぎるときです。
急激に圧力が下がることで、体内の窒素が急激に気泡化し、血流中や組織内で小さな気泡が多数発生します。
そして、気泡化した窒素が組織内や静脈内に溶け出し、空気塞栓を起こしてしまうのです。
これが減圧症の本質です。
適切な「減圧停止」なしに浮上した場合、こうした気泡が全身に悪影響を及ぼし、特に血流の遅い脊髄では気泡が留まりやすく、局所的な障害を引き起こします。
特に、冷えや疲労、脱水状態などがあると血流がさらに悪くなり、気泡が長くとどまる原因となります。
これにより神経組織へのダメージが強まり、症状の重症化や後遺症につながるリスクが高まります。
こうした危険を防ぐためには、浮上速度の管理やダイブコンピューターの活用が不可欠です。

脊髄内での気泡形成が引き起こす神経障害のメカニズム

脊髄内での気泡形成が引き起こす神経障害のメカニズム
脊髄には脳からの信号を手足に伝える神経線維が密集しており、その周囲には微細な血管が張り巡らされています。
気泡がこれらの血管に詰まると、血流障害を起こし、酸素や栄養が行き渡らなくなります。
結果として神経細胞が損傷され、感覚障害や運動麻痺などの神経症状が現れるのです。
また、気泡自体が神経組織に物理的な圧迫を加えることで、直接的な損傷も生じます。
さらに、気泡による刺激で炎症反応が起こり、周囲の神経組織にも二次的なダメージが広がることが知られています。
こうした連鎖的な障害が進行すると、回復までに長い時間を要する場合や、完全な回復が困難になることもあります。
症状は通常、ダイビング後30分〜数時間以内に現れ、特に下半身のしびれや歩行障害、排尿障害といった「脊髄型」の特徴的な症状が出ることが多いです。
早期対応が重要であり、これらの症状が見られた場合は迅速な高気圧酸素療法が必要となります。
適切な処置が遅れると、神経損傷が進行し、後遺症が残るリスクも高まります。

脊髄損傷型減圧症の原因と発症機序まとめ

脊髄損傷型減圧症は、スキューバダイビング中の急激な圧力変化によって体内に生じた気泡が脊髄に損傷を与えることで発症します。
神経症状が主な特徴で、早期発見と治療が不可欠です。
減圧症の予防には、計画的なダイビングと正しい浮上手順の遵守が重要です。
とくに「減圧停止」を含む安全管理を徹底し、異変を感じた際にはすぐに医療機関を受診することが、重篤化を防ぐ鍵となります。
さらに近年では、脊髄損傷に対する新たな治療の可能性として、再生医療の応用が注目されています。
たとえば、脳卒中や脊髄損傷に対して「神経障害は治るを当たり前にする取り組み」として定義されたニューロテック®や、狙った脳や脊髄の治癒力を高める治療であるリニューロ®などが挙げられます。
リニューロ®は、同時刺激×神経再生医療®によって神経回路の再構築を促す治療であり、骨髄由来間葉系幹細胞や神経再生リハビリ®との組み合わせにより、損傷部の神経再生を目指します。
従来は難治とされてきた神経障害に対しても、治る可能性を広げる新たな選択肢となりつつあります。
今後の医療の進歩により、脊髄損傷型減圧症による後遺症も、より高いレベルでの回復が期待できる時代が訪れようとしています。

よくあるご質問

減圧症は完治しますか?
早期に適切な治療を受ければ、多くのケースで回復が期待できます。
特に高気圧酸素療法が効果的とされますが、治療が遅れると神経障害などの後遺症が残ることもあります。

減圧症とはどんな病気ですか?
減圧症は、潜水後の急浮上により体内の窒素が気泡化し、血管や組織に障害を起こす病気です。
関節痛やしびれ、麻痺など多彩な症状が現れ、時に命に関わることもあります。

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    <参照元>
    1:減圧症 – 25. 外傷と中毒 – MSDマニュアル家庭版:https://www.msdmanuals.com/
    2:潜水による障害|帝京大学:http://www.med.teikyo-u.ac.jp/~dangan/DATABANK/altitude/dysbarism.htm

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    PROFILEこの記事の監修
    貴宝院 永稔
    貴宝院 永稔 医師
    (大阪医科薬科大学卒業)
    • 脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
    • 日本リハビリテーション医学会認定専門医
    • 日本リハビリテーション医学会認定指導医
    • 日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
    • ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

    私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
    リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
    このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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