この記事を読んでわかること
緊急性が高い痛みの見分け方
普段の生活の状況によって出現する痛みの原因
医師へ痛みの状況を伝えるためのメモの作り方
脳梗塞後に足が痛むことは珍しいことではありません。退院後の生活で足の痛みが出現した場合は緊急性があるかどうかを判断し、受診するかを検討することが重要です。この記事では脳梗塞後に足が痛む原因から、医師へ正しい情報を伝えるための受診前メモの作成方法を解説します。
脳梗塞後に足が痛む原因とは?まずは緊急性の有無を確認
脳梗塞を発症した後、足が痛くなることは珍しい症状ではありません。
足が痛くなる原因は様々なものがありますが、まずはすぐに受診する必要がある状態かどうかを判断することが重要です。
脳梗塞の再発を疑うべき急な痛みや新たな神経症状の出現
脳梗塞後の足の痛みで注意しないといけない症状はしびれや運動麻痺を伴った急激な痛みが起こることです。
足の痛みやしびれが運動麻痺などの症状とともに出た場合は脳梗塞の再発が疑われます。
感覚の情報を伝える神経が通る部位の脳梗塞が起こると、少し触れられるだけで異常な痛みを感じることがあります。
他にも、呂律が困難になったり、表情を変えることが難しくなるなどの新しい神経症状が出現していないか確認しましょう。
このような症状が出現した場合は救急要請をすぐに行い、できるだけ早く病院を受診する必要があります。
痛みとともに片足の腫れや熱感がある場合
脳梗塞の再発以外でも、片足に疼痛と一緒に腫れや熱感、赤みなどの症状が出現している場合も注意が必要です。
このような場合は深部静脈血栓症、いわゆるエコノミークラス症候群を発症しているかもしれません。
脳梗塞の患者は活動性の低下や麻痺した足の機能低下によって血流が停滞しやすいとされています。
血流が停滞すると血液は固まりやすく、血栓と呼ばれる血の塊ができることがあります。
血栓が足にできると動いた際に剥がれて血管の中を移動し、肺で引っ掛かり肺塞栓を引き起こすことがあります。
脳梗塞後では血をサラサラにする薬を使用していることが多いため、必ずしも血栓ができやすい訳ではありませんが、飲み忘れ時などは特に注意が必要です。
肺塞栓は命に関わることもあるため、深部静脈血栓症が疑われる場合はできるだけ早期に受診をしましょう。
退院後やリハビリ中に出現する経過を見ていい足の痛み
退院後すぐやリハビリ中に足の痛みが出現する場合、経過を見てから受診するかを判断していい場合があります。
このような痛みの場合は筋肉痛や身につけているものの影響などが考えられます。
活動量が上がり麻痺した足への負荷がかかる筋肉の痛み
病院での生活はリハビリがあるものの、その他の時間はベッド上もしくは座っている時間が長くなりやすい状況です。
退院すると家事だけでなく、飲み物を取りに行ったり、片付けを行うなどご自身で動かないといけない場面が増えます。
そのため、退院してすぐは入院中の生活と比べて、活動量が上がりやすい傾向にあります。
活動量が増えると筋肉への負担が増えるため、筋肉痛などの筋肉の痛みが出現することがあります。
動作をした際や夜間・次の日に痛みが出現する際は筋肉の痛みが原因かもしれません。
筋肉痛は活動量を調整したり、筋力や体力が改善すると自然に治ることも多いため、主治医や担当の理学療法士などの医療職と相談しながら経過を見ましょう。
合わない靴や装具、歩行の崩れによる痛み
脳梗塞後は靴や装具があっていない場合に靴擦れを起こして、痛みが出現することがあります。
特に装具を使用している場合は装具が当たっている部分が擦れて、傷ができてしまうことも少なくありません。
このような場合は装具を制作した義肢装具会社や担当の理学療法士と相談して、装具の調整を行いましょう。
靴擦れや装具による傷を放置してしまうと、治りづらくなったり、感染を引き起こすこともあるため注意が必要です。
また、歩き方によっては一部の筋肉や関節に負担がかかり、痛みの原因になることもあります。
自己判断ではなく医師へ正確に伝えるための受診前メモと記録方法

足が痛いとだけ医師に伝えても、痛みの原因を診断することが難しいことがあります。
相談しても的確なアドバイスがもらえないことを避けるために、どんな時に痛みが出現するか、記録をして相談するようにしましょう。
本人と家族で作成する痛みのタイミングの記録
痛みを医師に伝える時はどんな時に痛みが出現するかを伝えることが重要です。
痛みが出現した際に、何をした際に出現したのか、しばらくして痛みが強くなるか弱くなるか、夜の痛みはあるかなどを記録しておくと状況が伝えやすくなります。
他にも、家族には足の赤みや熱感がないか、腫れていないか、歩く時に足を引きずっていないかを確認してもらいましょう。
また、市販の薬に関しては、医療機関で出している薬と重複することや飲み合わせが悪いことがあるため、必ず医師に確認してから使用してください。
診察で言い忘れを防ぐための受診前メモ作成例
受診の際は緊張をしてしまって、聞きたいことを上手く聞けなかったという経験をする方は少なくありません。
このような状況を避けるために、受診前メモを作成しておくと安心です。
以下のような具体的なメモを作成してから医療機関を受診しましょう。
- いつから痛いのか:例)3日前から
- 痛みの場所:例)右足のふくらはぎ
- 痛みが出現するタイミング:例)体重を乗せた時や歩く時、休憩すると和らぐ
- 腫れや熱感:例)左足と比べるとやや腫れている
- 薬の状況:例)痛み止めを朝に服用している
- その他の症状:例)麻痺は強くなっていない
まとめ
この記事では脳梗塞後の足が痛む原因と受診前のメモの作成方法について解説しました。
緊急性の高い足の痛みは麻痺などの新しい神経症状や急激な腫れ・赤みの出現を伴ったものですぐに受診をする必要があります。
退院後は活動量が上がりやすく、筋肉が痛みの原因になっていることも多くあります。
医師へ痛みの相談をする前にはメモを作成して、聞き漏れがないように準備を行いましょう。
よくあるご質問
- 足が痛いとき、自分で揉んだりマッサージしてもいいですか?
- 原因が分からない時は、急に強く揉むことは避けてください。
万が一足の静脈に血栓があった場合、マッサージによって血栓が剥がれて肺に飛ぶリスクがあります。
軽くさする程度にとどめ、まずは担当医や理学療法士に相談しましょう。
- 足の痛みを和らげる食べ物やサプリメントはありますか?
- これを飲めば治る」という特定の食品はありません。
むしろ、血液をサラサラにする薬を飲んでいる場合、特定のサプリメント(納豆菌や青汁など)との飲み合わせが悪影響を及ぼすことがあるため、自己判断での摂取は控えてください。
<参照元>
(1)中枢神経疾患に伴う疼痛の病態 -脳卒中後疼痛をモデルとした機序的理解と時間的変容-|J-stage 古賀 優之 Pain Rehabilitation 第 16 巻第 1 号(2026)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/painrehabilitation/16/1/16_21/_pdf/-char/ja
(2)脳卒中リハビリテーション治療における下肢DVT管理|J-stage 畠中めぐみ Jpn J Rehabil Med 2021;58:731-737
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/58/7/58_58.731/_pdf





