この記事を読んでわかること
腰椎分離症の病態がわかる。
腰椎分離症の再発率がわかる。
腰椎分離症の再発予防策がわかる。
腰椎分離症は腰椎の一部に亀裂が入り、腰を反ったときに痛みが生じる病気です。早期発見・早期治療で改善を目指せますが、激しい運動や腰に負担のかかる動作を繰り返すと、再発してしまう方も少なくありません。この記事では、腰椎分離症の再発率や再発しないために注意すべきポイント、痛みの少ないときに行うべき再発予防策について解説します。
腰椎分離症とは
腰椎分離症とは、その名の通り腰椎(腰部にある脊椎を構成する骨)の後方部分に亀裂が入り、分離してしまう病気のことです。
急性期には炎症が生じて腰痛が生じ、そのまま放置すると腰椎が周囲の筋肉や神経を刺激することで腰痛や神経症状をきたす可能性があります。
一度の強い衝撃で亀裂が入るわけではなく、成長期にスポーツなどで腰を捻ったりジャンプを繰り返すことで疲労が蓄積して、分離が生じます。
そのため、一般の人では腰椎分離症の発症率は5%程度と報告されていますが、スポーツ選手では30〜40%程度とやや高率です。
腰椎分離症による腰痛の再発率
腰椎分離症は早期発見・早期治療できればその多くは癒合(分離した骨がくっつくこと)することが知られています。
一方で、好発年齢である10代の背骨はまだ柔らかく、周囲の筋肉も未発達であるため、癒合した後も強度の高い運動を繰り返すことで再発する可能性があります。
国内のある医療機関の報告では腰痛症状の再発率は44%、そのうち受診者の27%に腰椎分離症の再発を認めたと報告されています。
また徳島大学の報告によれば、保存療法(安静やコルセットなどの装具療法など)を行って癒合した後で26.1%の方が再発を認めたようです。
一方で、他の国内の研究では再発率10.2%や8.7%と報告している研究も認めており、研究によって再発率には幅を認めます。
腰椎分離症を再発しないための注意点

下記のような運動は腰椎分離症の再発につながる可能性があるため、注意が必要です。
- 腰を大きく捻ったり反る
- 腰部に過度な負担のかかる筋力トレーニング
- 長とき間のデスクワーク
- 痛みがある中での運動の継続
一方で、痛みが少ないのであれば医師や理学療法士の指導のもと、症状に合わせて
下記のような運動療法を継続することが重要です。
- 体幹のインナーマッスルを鍛える
- ストレッチで股関節周囲の柔軟性を高め、腰部への負担を軽減する
腹横筋(体幹深部の筋肉)や多裂筋(腰椎周囲を安定させる筋肉)などのインナーマッスルを鍛えることで腰部の安定性が高まり、腰椎にかかる負担を軽減できます。
また、痛みの程度や病期、医師・理学療法士による指導を踏まえた股関節のトレーニングもおすすめです。
片膝だけ地面につけて、もう片方の足は膝を立てる姿勢を維持し、そのまま骨盤を前方に移動させることで膝をついている側の腸腰筋(腰骨から大腿を繋ぐインナーマッスル)が伸ばされて柔軟性が高まります。
痛みが強い状態では危険を伴うため、無理のない範囲で医師の指導のもとに実践しましょう。
まとめ
この記事では、腰を反ると痛みの出る腰椎分離症の再発率や再発予防について詳しく解説しました。
特に運動が盛んな小児期に発症しやすい腰椎分離症は、そのまま放置したり再発を繰り返すと、脊椎の安定性が失われて腰椎すべり症(腰椎の位置が本来の位置より前方にすべる病気)に進行する可能性があります。
下肢のしびれや歩行困難などの神経症状を認める場合、早期に医療機関を受診しましょう。
ニューロテック
近年では、神経障害が「治る」を当たり前にする取り組みとして注目されている「ニューロテック®」という考え方があります。
これは、脳卒中や脊髄損傷に対して「狙った脳・脊髄の治る力を高める」再生医療「リニューロ®」を軸とするアプローチで、骨髄由来間葉系幹細胞や神経再生リハビリ®を組み合わせた治療法です。
腰椎分離症や腰椎すべり症による神経障害に対しても、今後このような先進的な治療法が希望となる可能性がありますが、腰椎分離症への適応については別途検証が必要です。
回復への選択肢を広げるためにも、医療機関と連携しながら一人ひとりに合った支援を継続することが大切です。
よくあるご質問
- 腰椎分離症は運動を続けてもよい?
- 痛みの強い急性期は無理な運動は避けて安静を保つべきです。
しかし、症状がある程度落ち着いた時期であれば、医師の許可・指導のもとで負荷の少ない運動やストレッチは続けられる可能性があります。
- 腰椎分離症の診断方法は?
- 問診や身体診察、さらにはレントゲンやCT検査(X線を利用して身体を断面画像として確認する検査)、MRI検査(磁気を利用した画像検査)などの画像検査の所見から複合的に診断します。
特にMRI検査は発症早期からの診断に有用です。
<参照元>
(1)「腰椎分離症・分離すべり症」|日本整形外科学会
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/spondiyolysis.html
(2)当院における青少年腰椎分離症患者の予後調査 ~アンケートによる腰痛再発率調査を中心に~|J-STAGE
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspineres/12/6/12_2021-0616/_pdf/-char/ja
(3)Sakai T, Tezuka F, Yamashita K, et al. Conservative treatment for bony healing in pediatric lumbar spondylolysis. Spine.2017;42:E716-E720.|PubMed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27755499/
(4)新鮮腰椎分離症骨癒合後の再発例の検討|日本臨床スポーツ医学会誌第30巻第2号
https://www.rinspo.jp/journal/2020/files/30-2/372-379.pdf
(5)当院の成長期腰椎分離症患者の傾向|東海スポーツ傷害研究会
https://www.tokai-sports.jp/dissertation/pdf/47/03.pdf
(6)「スポーツ損傷シリーズ 4.腰椎分離症」|日本スポーツ整形外科学会(JSOA)
https://jsoa.or.jp/content/images/2023/05/s04-1.pdf





