この記事を読んでわかること
二分脊椎症で出現する症状
よく見られる合併症
普段から確認しておくチェックポイントと医師への質問リスト
二分脊椎症とは先天的に脊髄がダメージを受ける疾患で、脚の運動麻痺や排泄機能に障害が出現します。
よく見られる合併症は、頭の中に水分が過剰に溜まる水頭症や排泄経路での感染によって引き起こされる尿路感染症があります。
この記事では、二分脊椎症の合併症や日々の確認ポイント、医療機関を受診する際の質問リストについて解説します。
二分脊椎症でみられる症状
二分脊椎症とは胎児の神経が発達する過程で神経管と呼ばれる部位が閉じないことによって起こる疾患です。(潜在性二分脊椎の診断と治療|J -stage)
病態によっては無症状の方もいますが、両下肢の麻痺症状や排泄機能の障害がよくみられます。
歩くことに影響が出る下肢の麻痺
二分脊椎症は脊髄の神経が障害を受けることによって下肢に麻痺症状が出現します。
脊髄の神経はダメージを受けた部位より下の神経の機能が障害されます。
二分脊椎症は腰のあたりで発症することが多い疾患です。
腰の部分には両脚を動かす神経が通っているため、背骨の変形によって腰の神経が圧迫されると、足に麻痺などの症状が現れることがあります。
症状は圧迫の程度によって異なり、症状に合わせてリハビリテーションを行ったり、装具を使用します。
日々のケアが必要になる排泄障害
脊髄の腰より下には排泄のコントロールを行っている部位があります。
そのため、腰の部分の神経がダメージを受けることで排泄に障害が出現します。
具体的な障害は膀胱に上手く尿を貯めることができずに尿失禁をしたり、逆に尿を排泄することができない尿閉などがみられます。(二分脊椎に伴う下部尿路機能障害の診療ガイドライン[2017 年版]|日本排尿機能学会/日本泌尿器科学会)
排泄に関する症状は生活の質に大きな影響を与えやすく、日々のケアが必要です。
二分脊椎症のお子様が大きくなるとご自身で管理ができるように、カテーテルを使用した排泄方法などの獲得を目指します。
併発しやすく注意が必要なよくある合併症
二分脊椎症でよくみられる合併症は水頭症や尿路感染症などがあります。
どちらも生活に大きな影響を与えるため、注意して観察を行う必要があります。
頭の大きさや機嫌に注意が必要な水頭症
二分脊椎症では脊髄液と呼ばれる脳や脊髄などの神経組織周囲を流れる体液の流れが悪くなって、脳に水分が溜まりすぎてしまう水頭症を合併することがあります。
水頭症の症状は頭痛や嘔吐、意識障害などが出現することがあります。
また、小さい間は頭蓋骨に隙間がありますが、その間に水が溜まってしまうため頭が急に大きくなる症状も見られます。
治療は手術を行い、脳に溜まりすぎた水をお腹の中に流すための管を入れます。
手術の後は脳の中に溜まりすぎていた水分が抜けるため、症状の改善が期待できます。
排泄障害から引き起こされる尿路感染症
二分脊椎症で排泄に障害がある場合、尿を排泄する経路(尿路)で細菌感染を起こしてしまう尿路感染症を発症しやすく、注意が必要です。
尿路感染症は尿が過剰に膀胱に溜まったり、カテーテルを使用して排泄をする際の清潔操作が不十分だった場合に、発症しやすくなります。
18歳以上の二分脊椎症の患者の最も多い入院原因となっており、日常生活での排尿動作に気をつける必要があります。
尿路感染症を発症すると体温の上昇や身体のだるさなどが出現します。
軽い尿路感染症であれば内服薬で治療できますが、重症化すると入院して点滴で抗生剤で加療を行います。
排尿のスケジュールを確実に行うことやカテーテルを挿入する際の清潔操作を正しく行うことで予防できるため、感染予防対策を徹底して行いましょう。
自宅での確認のポイントと医師への質問リスト

水頭症や尿路感染症は自宅生活の中で発症していないか確認を行うことができます。
また、気になる症状が現れた場合はかかりつけ医に相談できるように質問リストを作成すると安心です。
日々の変化を見逃さない自宅で確認するべきポイント
二分脊椎症における水頭症を合併した時はいくつか特徴的なポイントがあります。
- 短期間で頭が大きくなっていないか
- 頭の頂上の柔らかい部分(大泉門)が張っていないか
- 吐き気や機嫌が悪い状態が続いていないか
尿路感染症に関しては、咳などの呼吸器症状がない状態での発熱や尿が濁ったり悪臭が強い場合は注意が必要です。
水頭症や尿路感染症などの合併症を疑った場合は医療機関の受診をおすすめします。
受診の際に焦らず聞くための医師への質問リスト
医療機関を受診する際は、医師の説明の後は緊張したり疲れてしまうことも多く、質問ができないことがあるかもしれません。
そのため、不安がある場合は医師へ気になるポイントをまとめてメモをしていくと安心です。
水頭症を疑う症状があれば以下のような質問リストを使用しましょう。
- 水頭症を発症している可能性はありますか
- CTなどの検査は受けた方がいいでしょうか
- 休日や夜間などでも救急を受診した方がいい症状はありますか
尿路感染症を疑う場合は以下のような質問リストを使いましょう。
- 普段の導尿方法で気をつけるポイントはありますか
- 水分を取る量を増やす必要はありますか
- どの程度症状が悪化すれば入院を考える必要がありますか
このような質問リストを作成しておくと、安心して受診の際に医師に必要事項を確認することができます。
まとめ
この記事では二分脊椎症の合併症とそのチェックポイントや医師への質問リストについて、例を挙げて解説を行いました。
二分脊椎症は先天的に脊髄が障害を受ける疾患で、脚の運動麻痺や排泄の障害がよく見られます。
合併症として、頭の中に水が溜まってしまう水頭症や尿道などの排泄経路で感染を引き起こす尿路感染症などがあります。
普段から合併症が発症や悪化していないか確認をしっかり行い、医療機関を受診する際は質問リストを作成しましょう。
よくあるご質問
- 妊娠中に二分脊椎症を予防する方法はありますか?
- 妊娠前から妊娠初期にかけて葉酸というビタミンを十分に摂取することで、二分脊椎症などの発症リスクを大幅に減らせることが分かっています。
厚生労働省も妊娠を計画している女性に葉酸サプリメントの摂取を推奨しています。
- 排尿だけでなく、排便のコントロールも難しくなりますか?
- 膀胱と同じように、直腸や肛門をコントロールする神経も影響を受けるため、便秘や便失禁が起こりやすくなります。
下剤や浣腸、座薬などを組み合わせた排便管理も、泌尿器科や小児外科と相談しながら進めていきます。
<参照元>
(1)潜在性二分脊椎の診断と治療|J -stage 脳と発達 2009年 41 巻 3 号 191-196
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ojjscn/41/3/41_191/_pdf/-char/ja
(2)小児理学療法ガイドライン|理学療法ガイドライン第2版
https://cms.jspt.or.jp/upload/jspt/obj/files/guideline/2nd%20edition/p219-304_04.pdf
(3)二分脊椎に伴う下部尿路機能障害の診療ガイドライン[2017 年版]|日本排尿機能学会/日本泌尿器科学会
https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/31_lower-urinary_dysfunction_2017.pdf












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