この記事を読んでわかること
スティッフパーソン症候群がどのような病気かわかる。
スティッフパーソン症候群の原因や症状がわかる。
スティッフパーソン症候群の治療法がわかる。
難病であるスティッフパーソン症候群は、自己抗体によって神経が破壊され、全身の筋肉が徐々に硬直し、呼吸障害や嚥下障害などの症状をきたす疾患です。
非常に稀な病気ですが、一度発症すると生活に多大な支障をきたすため、注意が必要です。
この記事では、スティッフパーソン症候群の概要や症状、原因や治療法を詳しく解説します。
スティッフパーソン症候群とは

スティッフパーソン症候群とは、かの有名な女性歌手、セリーヌディオンさんが発症を公表したことでこの難病は世に広く知られることとなりました。
この病気は、体幹や腹部の筋肉が硬直・けいれんし、その症状が徐々に全身の筋肉に広がっていく病気です。
徳島大学の報告によれば、2015〜2017年の国内における患者数は257人であり、罹患率は人口10万人あたり0.2人と推定されています。
また、発症年齢は男女ともに50代での発症が多く、実際にセリーヌディオンさんも50代で診断されています。
スティッフパーソン症候群の症状や原因
では、スティッフパーソン症候群はどのような病気なのでしょうか?
現状で解明されていることとしては、スティッフパーソン症候群は自己抗体(自身の体内で作られた抗体)による自己免疫性疾患(自己抗体が自身の臓器や組織を破壊する病気)であるということです。
本来、体内に異物が侵入した場合、免疫細胞はその異物を攻撃するための抗体を作り出し、攻撃・破壊します。
しかし、自身の正常な細胞をターゲットにした抗体(自己抗体)を誤って作り出してしまい、その自己抗体が臓器や組織を破壊する病気こそが自己免疫性疾患です。
これまでの研究において、スティッフパーソン症候群の発症者では「抗GAD抗体」や「抗amphiphysin抗体」と呼ばれる自己抗体を作り出すことがわかっています。
これらの自己抗体は脳や脊髄の神経細胞を破壊し、それによって筋肉の協調的な運動が失われてしまいます。
例えば、人は腕を曲げる時に上腕二頭筋を収縮させますが、その際、腕を伸ばす筋肉である上腕三頭筋が緩まないとスムーズに腕を曲げることができません。
本来であれば自動的に神経機能が働き、上腕三頭筋を弛緩させてスムーズに腕を曲げるわけですが、スティッフパーソン症候群では神経機能が破壊されることで上腕三頭筋も収縮してしまい、スムーズな運動が失われてしまうのです。
この状態が長く続くと、筋肉は持続的に収縮活動を行ってしまうため、体幹や腹部の筋肉が徐々に硬く大きくなっていき、最終的には全身の筋肉が硬直します。
症状がさらに進行すれば、歩行困難や座った姿勢を保てない(座位の保持困難)、呼吸・嚥下障害をきたし、最終的には死に至る可能性もあるため、注意が必要です。
スティッフパーソン症候群の治療

スティッフパーソン症候群の治療は主に下記の5つです。
- 飲み薬による治療(内服療法)
- 免疫グロブリン製剤
- ステロイド療法
- 免疫抑制剤
- 血漿交換
内服療法では、過剰に収縮した筋肉を弛緩させるための鎮静剤や筋弛緩剤が用いられます。
また、免疫グロブリン製剤やステロイド療法、免疫抑制剤などはどれも自己抗体が作り出されることを抑制する治療法です。
一定の効果は期待できるものの、長期的な使用はどの治療も重篤な副作用を伴うため、注意が必要です。
血漿交換は、血液中の自己抗体を特殊な機器を使って洗い流すような治療であり、一時的な効果は得られますが、自己抗体そのものを体内から消失させるような治療ではありません。
以上からもわかる通り、現状スティッフパーソン症候群に対する根治的な治療は認められず、あくまで症状を緩和するための対症療法が主です。
まとめ
スティッフパーソン症候群は非常に稀な疾患ですが、一度発症してしまうと患者さん自身の生活の質(QOL)を大きく損ないます。
現状では根治的な治療は開発されておらず、対症療法やリハビリテーションが主な治療となります。
一方で近年では、神経障害が「治る」を当たり前にする取り組みとして注目されている「ニューロテック®」という考え方があります。
これは、神経障害による後遺症に対して「狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療」再生医療「リニューロ®」を軸とするアプローチで、骨髄由来間葉系幹細胞や神経再生リハビリ®を組み合わせた治療法です。
スティッフパーソン症候群による神経障害に対しても、今後このような先進的な治療法が希望となる可能性があります。
回復への選択肢を広げるためにも、医療機関と連携しながら一人ひとりに合った支援を継続することが大切です。
よくあるご質問
- スティッフパーソン症候群の予後は?
- スティッフパーソン症候群の予後は症例によっても差が大きいですが、進行性の病気であるため、時間の経過とともに徐々に症状は悪化します。
一方で、近年では医療の進歩によってさまざまな治療法も開発されており、症状改善を認めるケースも報告されています。
- スティッフパーソン症候群は完治する?
- スティッフパーソン症候群に対してはステロイドや血漿交換、免疫抑制剤など、様々な治療法が用意されています。
しかし、残念ながらこれらの治療ではスティッフパーソン症候群を完治することはできず、根治的な治療法も見つかっていません。
<参照元>
(1):スティッフパーソン症候群|MSDマニュアル:https://www.msdmanuals.com/
(2):スティッフパーソン症候群の診断および重症度分類のための調査|厚生労働科学研究成果データベース:https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2016/162051/201610034B_upload/201610034B0007.pdf
(3):スティッフパーソン症候群 初の全国疫学調査結果を報告|徳島大学:https://www.tokushima-u.ac.jp/fs/4/3/2/9/2/5/_/20231024HP.pdf













コメント