この記事を読んでわかること
高次脳機能障害とは何かが理解できる。
外見では分かりにくい症状の特徴がわかる。
家族や周囲ができる支援のポイントを知ることができる。
脳梗塞の後遺症は手足の麻痺だけではなく、記憶力・注意力・判断力・感情のコントロールといった目に見えない脳の働きに影響が及びます。
こうした症状は「高次脳機能障害」と呼ばれます。
本記事では、高次脳機能障害の代表的な症状や特徴を整理し、早期に気づくためのポイントと支援の方法について解説します。
脳梗塞後に起こり得る高次脳機能障害とは何か
高次脳機能障害とは、脳梗塞・脳出血・頭部外傷などによって脳が損傷された後に、記憶や注意、判断や感情調整など高度な脳の働きが低下する状態を指します。
手足の麻痺のように目に見える変化とは異なり、日常生活の中で徐々に困難さが明らかになることが特徴です。
外見上は元気に見える場合も多く、そのため理解されにくい障害です。
記憶や注意の障害
代表的なのは記憶障害です。
新しい出来事を覚えられない、同じことを何度も尋ねるといった症状がみられます。
注意障害も多く、集中力が続かない、複数の作業を同時に進められないといった変化が現れます。
これにより仕事や家事の効率が低下し、本人も戸惑いを感じます。
遂行機能や社会的行動の変化
物事の段取りを立てる力が弱くなる遂行機能障害も重要です。
計画を立てても最後まで実行できない、優先順位をつけられないといった困難が生じます。
さらに感情のコントロールが難しくなり、怒りっぽくなる、意欲が低下するといった社会的行動の変化が起こる場合もあります。
これらは性格の問題と誤解されやすい点に注意が必要です。
高次脳機能障害は損傷部位や程度によって症状が異なります。
軽度であっても社会生活に大きな影響を及ぼします。
そのため早期の評価と適切な支援が不可欠です。
なぜ「隠れた障害」といわれるのか
高次脳機能障害は、外見からは分かりにくいという特徴があります。
歩くことができ、会話も成立していると、周囲からは「回復した」と見られるケースもあります。
しかし実際には、記憶や注意、判断力に課題を抱えている場合があります。
そのため「隠れた障害」と表現されます。
外見と機能のギャップ
身体機能が保たれていると、障害があるとは気づかれにくくなります。
例えば会話はできても、話の内容を保持できないなどの症状があります。
簡単な作業は可能でも、複数の工程を要する仕事では混乱が生じます。
こうした「できる部分」と「できない部分」の差が周囲の理解を難しくします。
誤解されやすい行動の変化
感情の起伏が大きくなる、意欲が低下するといった変化が現れることがあります。
しかしこれらは怠けや性格の問題と受け取られかねません。
本人も自分の変化を十分に説明できない場合があり、誤解が重なります。
その結果、家庭や職場で孤立感が強まる懸念があります。
生活場面で現れる困難さ
高次脳機能障害は日常生活の中で徐々に明らかになります。
買い物や金銭管理、時間管理といった複雑な作業で困難が表れます。
社会復帰後に問題が顕在化することもあります。
このように外見では判断できない障害であるため、周囲の理解と適切な評価が必要です。
脳梗塞後の高次脳機能障害の症状と支援の方法

高次脳機能障害は外見で分かりにくいため、気づきが遅れることがあります。
まずは日常の変化を丁寧に観察することが大切です。
これまでできていた行動や役割がうまくこなせない、約束を忘れる、同時に複数の作業ができなくなるといった違いが手がかりになります。
本人や家族が気づきにくい場合は、医療機関での記憶検査や注意検査などの詳細な評価を受けることが有効です。
認知機能の検査では、記憶力、注意力、遂行機能(計画立案や段取りを行う力)などが専門的に評価されます。
これにより症状の特性や程度が明らかになり、適切な支援計画が立てやすくなります。
診断後は、リハビリテーション専門職と連携して認知リハビリ(認知機能改善を目的とした訓練)や生活行動の訓練を進めます。
日々の予定を見える化する、作業を細かく区切る、休憩時間を定期的に設けるといった工夫が役立ちます。
家族や周囲の理解と支援も大切です。
感情の起伏が出たり、混乱しやすかったりする場面では、落ち着いた声かけと安全な環境づくりが必要になります。
本人の意思を尊重しながら、生活上のルールや支援方法を一緒に作っていくことが効果的です。
職場や学校で困難が出る場合は、復帰支援プログラムや合理的配慮の相談を活用するのが有効です。
合理的配慮とは、障害により生じる不利益を軽減するために環境や業務内容を調整する法的措置を指します。
令和7(2025)年12月16日に成立した「高次脳機能障害者支援法」は、こうした支援が地域でも途切れないようにすることを目的としています。
この法律では、高次脳機能障害者の自立や社会参加に向けて、医療から福祉、生活支援、相談体制の整備を国や自治体が推進する枠組みが法的に規定されています。
気づきと支援の連携は、本人の生活の質を守り、社会参加の維持につながります。
まとめ
脳梗塞後の後遺症は麻痺だけではありません。
記憶や注意、判断力に影響が出る高次脳機能障害は外見から分かりにくい特徴があります。
脳は障害後も可塑性を有します。
適切なリハビリと環境調整により神経回路の再編成が促され、機能改善が見込まれます。
近年は神経回路の再構築を目指す再生医療の研究も進んでいます。
ニューロテックでは、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
こうした再生医療は、回復を後押しする選択肢として医療分野での研究が進んでいます。
よくあるご質問
- 家庭でできる具体的な支援方法はありますか?
- 家庭で支援する方法はいくつかあります。
予定をホワイトボードに書き出す、作業を一つずつ区切る、静かな環境で活動するなどの工夫が有効です。
本人の特性に合わせた環境調整を行うことで混乱や負担を軽減できます。
- 外見が元気なら問題はないのでしょうか?
- 高次脳機能障害の方の場合、外見と脳機能は必ずしも一致しません。
手足の麻痺や言葉の障害など、見た目で分かるような障害がなくても、注意力や記憶力の低下などにより生活に支障が出ることがあります。
<参照元>
(1):高次脳機能障害を理解する|国立障害者リハビリテーションセンター 高次脳機能障害情報・支援センター:hhttps://www.rehab.go.jp/brain_fukyu/rikai/
(2):高次脳機能障害者支援法について|厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67482.html
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