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繰り返すしゃっくりは要注意!脳梗塞の可能性も

繰り返すしゃっくりは要注意!脳梗塞の可能性も

この記事を読んでわかること

しゃっくりのメカニズムがわかる。
しゃっくりの原因となる疾患や病態がわかる。
しゃっくりの治療法がわかる。


しゃっくりは基本的には一過性の症状で、自然に改善する生理現象です。
しかし、中には難治性、持続性のしゃっくりも認められ、その背景には脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの危険な疾患が隠れている可能性もあるため、注意が必要です。
そこでこの記事では、しゃっくりのメカニズムや原因疾患、治療法や適切な対処法について詳しく解説します。

しゃっくりが生じるメカニズム

驚いた表情の女性
誰しも一度は経験したことがあるしゃっくり(吃逆)。
発症しても数分〜数時間すれば自然に改善することが多く、あくまで一時的な症状であるため、しゃっくりを問題視しない方も少なくないでしょう。
横隔膜、肋間筋、前斜角筋などの呼吸筋が間欠的に痙攣し、勢いよく空気が声帯を通過することで生じる「ヒクッ」という通過音がしゃっくりです。
空気を吸い込む際、通常は横隔膜、肋間筋、前斜角筋などの呼吸筋が働き、胸腔を大きく拡張させることで、胸腔内圧を陰圧にします。
その陰圧に引っ張られる形で肺も拡張し、拡張した肺に気道から空気が流入することで酸素を吸収することができます。
その後、拡張した胸腔が元のサイズに戻ることで肺も押し戻され、それによって空気が押し出されて1回の呼吸が完了するわけです。
しかし、何らかの原因で呼吸筋が間欠的に痙攣すると、急激に空気が吸い込まれ、その後すぐに押し出されてしまい、その際に声帯が十分開いていない状態のため、狭い声帯を勢いよく空気が通過することで、しゃっくりが鳴ってしまいます。
では、なぜ呼吸筋が痙攣してしまうのでしょうか?
現状では下記のようなメカニズムによって呼吸筋の痙攣が起きていると考えられています。

  • 鼻咽頭の後壁に位置する舌咽神経に何らかの刺激が加わる
  • 舌咽神経の刺激が延髄(呼吸や嚥下を司る脳の一部)に伝わり、横隔神経や迷走神経に向けて刺激が伝達される
  • 横隔神経を介して呼吸筋が痙攣し、迷走神経を介して声帯が閉鎖する
  • 結果的に、気道を通過する空気が狭い声帯を通りしゃっくりが生じる

※:横隔神経は横隔膜を動かす神経、迷走神経は声帯の運動を司る神経

しゃっくりの原因

しゃっくりの原因3つ良性吃逆発作持続性吃逆難治性吃逆の体系図
しゃっくりは症状の持続時間によって下記のように分類されます。

  • 良性吃逆発作:48時間以内に自然に軽快する
  • 持続性吃逆:48時間以上継続し、1ヶ月以内に軽快する
  • 難治性吃逆:1ヶ月以上症状が継続する

良性吃逆発作の場合、過剰な食事や飲酒、炭酸飲料の摂取、内視鏡検査に伴う胃の拡張、熱い物または刺激物の嚥下、感情的ストレス、喫煙などの刺激によって生じることが多く、症状は一過性です。
一方で、持続性、難治性吃逆の場合、その原因は多数挙げられ、主に下表のとおりです。

分類 原因
心因性 ストレス、興奮、人格障害など
器質性 中枢神経系(直接的な延髄への刺激) 脳腫瘍、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血、多発性硬化症、水頭症、髄膜炎、頭部外傷、硬膜外血腫、硬膜下血腫など
末梢神経系(横隔神経や迷走神経への刺激) 横隔膜裂孔ヘルニア、心膜炎、心臓ペースメーカーの干渉、甲状腺腫、頸部腫瘍、胸部外傷、肺水腫、膿胸、気管支炎、食道炎など
薬剤性 ステロイド、α-メチルドパ、ベンゾジアゼピン系、バルビツール系、ヘロイン、ニコチン酸、全身麻酔薬など
感染性 敗血症、インフルエンザ、HIV、マラリア、結核など
代謝性 糖尿病、尿毒症、電解質異常など
特発性

例えば、脳腫瘍、脳出血、脳梗塞などの疾患は直接的に延髄に刺激を与え、横隔膜裂孔ヘルニアや頸部腫瘍などの疾患であれば横隔神経や迷走神経に刺激を与え、吃逆を生じさせます。
一方で、薬剤性の場合は各薬剤によって発症機序は異なり、それぞれの薬剤と吃逆の関係は明らかになっていない、というのが現状です。

しゃっくりに対する治療方法

水を飲む人
しゃっくりに対する治療法は主に下記の3つです。

  • 物理的治療
  • 原因疾患の治療
  • 薬物治療

物理的治療

良性吃逆発作であれば、簡易的に実践できる物理的治療によって改善が見込めるため、まずは物理的治療を試しましょう。
物理的治療では、吃逆の発症に関わる舌咽神経や迷走神経に刺激を与えることで、まるで不整脈を起こした心臓に電気ショックを与えて正常化するように、吃逆の改善を目指します。
砂糖の嚥下、舌の牽引、綿棒での鼻咽頭の刺激、氷水の急激な飲水などによって、鼻咽頭の奥の舌咽神経に刺激を与えることができます。
また、迷走神経を刺激する方法としては、両側の眼球圧迫、頸動脈の圧迫、深吸位での息こらえなどが有効です。

原因疾患の治療

物理的治療で改善しない場合や、症状が遷延する場合は、原因疾患を精査し、もし何らかの原因疾患を認める場合は、吃逆そのものの治療より、原因疾患を治療しましょう。
特に、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの中枢神経疾患によって生じている場合は、早期治療しないと麻痺やしびれなどの後遺症や、最悪の場合、命の危険性もあるため、緊急の対応を要します。
物理的治療でも吃逆が改善しない場合は、医療機関の受診も検討しましょう。

薬物治療

吃逆に対する薬物療法はそのほとんどが保険適応外であり、残念ながら明らかに有効性を認めるエビデンスのある薬もありません。
実際に、なぜ吃逆が改善するのか、その機序も確立されていませんが、慣習的にはバクロフェン(筋弛緩薬)、クロルプロマジン(抗精神病薬)、クロナゼパム(抗不安薬)などが用いられます。
これらの使用も含めて、吃逆が遷延する際は必ず医療機関を受診し、医師の指示のもとで治療しましょう。

まとめ

しゃっくりは誰しもが一度は経験する生理現象です。
一時的な症状であることが多く、この記事で紹介した物理的治療でほとんどの場合は改善します。
しかし、中には持続性、もしくは難治性のしゃっくりも認め、その背景には脳梗塞や脳出血などの疾患が隠れている可能性もあります。
対応が遅れれば麻痺やしびれなどの後遺症を残す可能性があり、現状でこれらの後遺症を改善する手段もリハビリ以外にないため、遷延するしゃっくりを認める場合は注意しましょう。
一方で近年では、神経障害が「治る」を当たり前にする取り組みとして注目されている「ニューロテック®」という考え方があります。
これは、脳卒中や脊髄損傷に対して「狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療」再生医療「リニューロ®」を軸とするアプローチで、骨髄由来間葉系幹細胞や神経再生リハビリ®を組み合わせた治療法です。
しゃっくりの原因となる脳卒中に伴う神経障害に対しても、今後このような先進的な治療法が希望となる可能性があります。
回復への選択肢を広げるためにも、医療機関と連携しながら一人ひとりに合った支援を継続することが大切です。

よくあるご質問

脳梗塞としゃっくりの関係は?
しゃっくりは脳梗塞の初期症状の1つである可能性があります。
脳梗塞によって延髄に何らかの刺激が加わると、横隔神経や迷走神経に刺激が加わり、結果として呼吸筋が痙攣してしゃっくりが生じます。
しゃっくりはどれくらい止まらないと危険ですか?
しゃっくりは通常、長くても48時間以内に自然に軽快する症状です。
そのため、息こらえなどの物理的治療を試した上で48時間改善しない場合は、難治性、持続性のしゃっくりの可能性があるので注意が必要です。

<参照元>
(1):しゃっくりの治療方法 福岡県薬剤師会:https://www.fpa.or.jp/library/kusuriQA/09.pdf
(2):吃逆 MSDマニュアル:https://www.msdmanuals.com/
(3):しゃっくり(吃逆)を起こす薬剤 北海道薬剤師会:​https://www.doyaku.or.jp/guidance/data/09.pdf
(4):薬剤誘発性吃逆について(ステロイドを主に) 徳山医師会病院:http://hospital.tokuyamaishikai.com/wp-content/uploads/2024/05/cb2091dc0207f7b5e258425223a233fc.pdf

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この記事の監修

監修医師 貴宝院永稔医師

貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)

脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医

リニューロの治療概念図
リニューロ®最大の特長は、幹細胞点滴投与中に集中的かつ反復的に狙った神経回路に適した刺激を与えることです。
身体の治る力を高める再生医療で土台を作り、狙った神経回路に同時刺激を与えることで、神経回路の再構築・強化を目指していきます。

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