なぜ日本人は脳卒中が多い?世界の食習慣との比較から見える差 |脳梗塞・脊髄損傷の幹細胞治療|ニューロテックメディカル

なぜ日本人は脳卒中が多い?世界の食習慣との比較から見える差

           

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この記事を読んでわかること

世界の食事文化の違いと生活習慣病の関係性がわかる
日本食で脳出血が生じやすい理由がわかる
塩分・糖質・脂質と脳機能の関係性がわかる


脳卒中の主な原因は動脈硬化であり、動脈硬化の進行には普段の食事内容や食文化が大きく関わってきます。
特に、従来の日本食は比較的高塩分な食材・調味料が多く、脳出血発症リスクを高めることが知られており、注意が必要です。
この記事では、世界の食習慣と脳卒中発症リスクについて詳しく解説します。

欧米・地中海・アジアの食文化と脳血管疾患の相関

欧米・地中海・アジアの食文化と脳血管疾患の相関
脳血管障害の発症リスクをあげる危険因子はすでに同定されており、主に下記のような要因が挙げられます。

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 高脂血症
  • 肥満
  • 喫煙
  • 不整脈

これらの危険因子のうち、高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病は、普段の食事内容や運動習慣が大きく影響するため、食文化の異なる地域間でも脳卒中の発症率に差があります。
例えば、1960年代の日本では漬物文化や味噌汁など、塩分摂取量が多い食文化であり、脳卒中死亡率は国際比較でも世界でダントツの一位でした。
最近の研究では、世界全体の25歳以上の脳卒中発症リスクは約25%であるのに対し、国別で見るとリスク1位の中国では39.3%、ついでボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、ラトビア、マケドニア、モンテネグロ、ルーマニア、ロシアがハイリスクでした。
大陸別に見ると、東アジアが38.8%と最多で、次いで中央ヨーロッパが31.7%、東ヨーロッパが31.6%、サハラ以南アフリカ東部のリスクは11.8%ともっとも低頻度でした。

中国をはじめとするアジア圏で発症率が高い原因は、食生活の欧米化に伴う高血圧・高脂血症・糖尿病などの発症率増加が挙げられます。
また当然、欧米の脳卒中発症率は世界平均を上回っており、食文化が影響している可能性が高いです。
一方で、アフリカでは伝統的な食文化が未だ守られており、塩分の少ない食習慣によって脳卒中の発症リスクが低く保たれている可能性があります。
さらに、モッロコ・ギリシャなどでよく親しまれる地中海食には野菜、果物、穀物、ナッツ類、魚介類、オリーブオイルなど豊富で、以前から心血管疾患の発症リスク低下に寄与していると報告されていました。
2015年のGeorgios Tsivgoulisらの報告によれば、人種や性、居住地域にかかわらず、地中海食の遵守度が高い人では,低い人にくらべて虚血性脳卒中発症リスクが有意に低いそうです。
以上のことからも、食生活は生活習慣病の発症や脳卒中発症に大きく関わっているため、脳卒中発症予防のためにも、日頃から健康的な食事内容を意識しましょう。

塩分・脂質・糖質バランスの違いが脳に与える影響

塩分・脂質・糖質はどれも過剰摂取によって脳卒中の発症リスクを増大させるため、過剰摂取は控えるべきです。
塩分や糖質の過剰摂取はそれぞれ高血圧・高血糖を招き、脳の血管内皮細胞が損傷します。
それに加え、脂質の過剰摂取によって血液中を流れるLDLコレステロールが増加すると、損傷した血管内皮細胞からLDLコレステロールが血管壁内に侵入し、動脈硬化を引き起こし、脳卒中リスクが増大します。
一方で、糖質は脳細胞にとって最も重要なエネルギー源であり、不足すれば脳の機能を維持することができず、集中力や思考力の低下、さらには意識障害を引き起こす可能性もあります。
また、脂質のうちコレステロールは脳の細胞膜の構成や安定化に深く関わり、リン脂質は神経伝達物質の生成にも関わるため、脂質不足も脳の機能低下や脳内における情報伝達遅延の原因です。
そのため、各成分はあくまで過剰摂取は控え、バランスの良い適量の摂取が重要です。

日本食の“塩分過多”が脳出血リスクを上げる理由

日本食の塩分過多が脳出血リスクを上げる理由
先述したように、日本では1960年代、死因の第一位は圧倒的に脳血管障害であり、中でも脳出血による死亡率は世界の中でも圧倒的に高い状態でした。
この背景には、日本食の“塩分過多”が1つの要因として挙げられます。
日本食には伝統的な調味料である味噌・醤油、さらには干物や漬物などが多く含まれ、比較的塩分過多になりやすいです。
過剰な塩分摂取は高血圧の原因であり、その結果、動脈硬化が進行することで脳出血を引き起こしやすくなります。
実際に、当時の日本では脳出血患者数に東西で地域差が認められており、塩分摂取量や高血圧患者の多い東日本で脳出血患者数が多かったそうです。

1970年代以降、食文化の変化や降圧療法の普及、画像診断技術の向上など、さまざまな要因で脳出血の死亡率は低下し、現在では脳梗塞の死亡率の方が問題視されています。

まとめ

今回の記事では、世界の食習慣と脳卒中の発症について詳しく解説しました。
この記事でも紹介したように、脳卒中の発症には普段の食事内容が大きく関わり、不摂生や過剰な塩分・脂質・糖質の摂取は発症リスクを増大させる可能性があります。
脳卒中を発症して後遺症が残った場合、現状はリハビリしか症状を改善する術はなく、日常生活にも支障をきたすため、普段の食事に気を使って発症予防することが重要です。
一方で、近年では、これまで改善の困難であった脳卒中後遺症に対する新たな治療として再生医療が注目されています。
ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、脳卒中の後遺症の改善が期待できます。

よくあるご質問

日本人は脳出血が多いのはなぜですか?
日本人で脳出血が多い理由の1つに、日本の食文化が挙げられます。
日本食では漬物や干物、味噌汁など、塩分の多い食事を多く摂取するため、高血圧になりやすく、脳出血の発症リスクが高まります。

 

脳卒中は世界で何位ですか?
世界全体における死因としては脳卒中は虚血性心疾患、新型コロナウイルス感染に次いで第3位です。
特に、低所得層や予防医療の普及してないエリアでの発症が脳卒中の死亡率増加に寄与しています。

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    1:脳血管障害・脳卒中|厚生労働省:https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-006
    2:Global, Regional, and Country-Specific Lifetime Risks of Stroke, 1990 and 2016|New England Journal Medicine:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1804492
    3:昭和45年以降における脳血管疾患の死亡率について|厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/10/dl/s1027-11c02.pdf

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    PROFILEこの記事の監修
    貴宝院 永稔
    貴宝院 永稔 医師
    (大阪医科薬科大学卒業)
    • 脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
    • 日本リハビリテーション医学会認定専門医
    • 日本リハビリテーション医学会認定指導医
    • 日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
    • ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

    私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
    リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
    このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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