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脳出血後のリハビリテーションについて

           

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この記事を読んでわかること

脳出血後のリハビリテーションの目的とは
リハビリテーションが脳出血後の回復に及ぼす影響
再生医療とリハビリテーション


脳出血は片麻痺や失語、高次脳機能障害が起こることが多い疾患です。
一方で、有効な治療も確立されていないので、症状・後遺症を少しでも軽くし、少しでも残った機能を用いることで日常生活動作の中で自分で行えることを増やすために、リハビリテーションを行います。
この記事では、少しでも後遺症を軽減するためのリハビリテーションと再生医療について解説します。

脳出血後のリハビリテーションの目的とは

正常な嚥下と誤嚥
脳出血とは脳内の血管が何かしらの誘因で破裂してしまった状態です。
症状や重症度は出血する部位や出血量により様々です。代表的な症状は以下の通りです。

片麻痺
原則、左右どちらかの手足が動かしにくくなります。
動かしにくさの程度には個人差があり、障害を受けていないのと同等のレベルから、一切自分では動かす事ができないレベルまで様々です。
痙縮といって、手足のつっぱりが強くなりずっと曲がったままになることがあります。
嚥下障害
脳出血の部位により、食事や水分の飲み込みにくさ(嚥下障害)が出現します。
嚥下障害では上手く食道へ食物の通過ができず、窒息(気道が詰まる)や誤嚥(気道や気管支に食物や唾液が流れ込む)を起こすことがあります。
高次脳機能障害
失語症(言葉を発しにくい、言葉を理解できない)、注意障害(物事に対して意識を適切に向けにくい)、半側空間無視(左右どちらか一方の世界を感じることができなくなってしまう)などの目に見えにくい症状も出現します。

このような症状・後遺症を少しでも軽くし、少しでも残った機能を用いることで日常生活動作の中で自分で行えることを増やすために、リハビリテーションを行います。
アプローチは主に動作に対して行いますが、その最大目標は「その人がその人らしい生活を行い、生活の質を向上すること」にあります。

リハビリテーションが脳出血後の回復に及ぼす影響

脳内出血の治療には急性期の血圧管理が主となります。
止血剤の投与や血腫除去術(手術療法)についての神経学的な予後(日常生活がどれくらい行えるか)の改善は示されていません。
また、出血の量(血腫の量)が大きければ大きいほど、予後は悪くなります。
根本的な治療に限りがある以上、リハビリテーションはより重要と言えます。
急性期ではバイタルサインや全身状態をしっかり管理しながら、早期のリハビリテーションが行われます。
発症早期からのリハビリテーションにより、機能的な予後の改善が期待されます。
全身状態が安定すれば回復期リハビリテーション病棟へと転院・転倒します。
日常生活動作はFIM(Functional Independence Measure)を用いて評価がなされます。
回復期リハビリテーション全体で見ると、入院時から退院時のFIMの増加(FIM利得)は23点が全国平均と言われています。
脳卒中の在宅復帰には、FIM運動項目57.5点、FIM認知項目23.5点以上の能力が必要という報告もあります。
FIM利得の全国平均も加味すると、状態により全介助の方でもセルフケアの一部自立が見込め、セルフケアが自立した状態の人なら屋内ADL自立が見込めるでしょう。

再生医療とリハビリテーション

どれだけリハビリテーションを行ってもどうしても後遺症が残ってしまう方もいます。
その後遺症に対して、近年では再生医療が注目されています。
当院ではニューロテック®という、研究成果による裏付けがある「骨髄間葉系幹細胞の点滴投与」を受けることができます。
間葉系幹細胞とは筋肉や神経細胞などの元になる細胞であり、それを培養で増やして体内に投与を行います。
さらに、当院では点滴投与と並行しながら運動療法を行う再生医療×同時リハビリ™により、後遺症をより減らすための工夫を行っています。

合併症の予防に役立つリハビリテーションの手法

離床や歩行はそれだけで筋力低下・廃用症候群の予防に有効であり、深部静脈血栓症の予防にもなるでしょう。
脳出血を発症するのは高血圧が原因となることが多いので、血圧コントロールや脂質異常症、糖尿病といった面でも運動療法・歩行は有効と言えます。
嚥下障害についてやはり怖いのは誤嚥と窒息です。
予防には嚥下体操を行うとよいでしょう。具体的には食べる前の準備体操として、深呼吸や首の運動を行ったり、口や頬を動かす練習を行います。
手で頭を押さえてその抵抗に負けないように首を屈曲する嚥下おでこ体操や、仰向けにねた状態で頭を持ち上げる頭部挙上訓練も有効です。

まとめ

この記事では脳出血のリハビリテーションについて、合併症と合わせながら解説を行いました。
脳出血は確固たる治療がないので、よりリハビリテーションが重要になります。
後遺症が残った際には再生医療を選択肢として持ちながら、その人らしい生活が全うできるような支援を行いましょう。

よくあるご質問

脳出血の回復期リハビリの期間は?
脳血管障害の回復期リハビリテーション病棟の上限は通常150日、高度の高次脳機能障害がある場合は180日とされています。患者の日常生活動作のレベルや目標によってそれより短期間となる可能性もあります。

リハビリテーションの目的は何ですか?
リハビリテーションは身体に障害が生じたとしても、基本的な動作から応用的な動作が行え、社会への参加ができることを目的に行います。発症・受傷の急性期から退院後の生活期まで、職業なども鑑みながら実施されます。

<参照元>
Location-Specific Hematoma Volume Cutoff and Clinical Outcomes in Intracerebral Hemorrhage: https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/STROKEAHA.122.041246
脳卒中診療ガイドライン2021 脳卒中患者の在宅復帰に必要な基準値─Functional Independence Measureを用いた検討─: https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/29/6/29_933/_pdf

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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