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遺伝性脊髄小脳変性症とは

           

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この記事を読んでわかること

脳梗塞と栄養摂取の関係
口以外からの栄養摂取法
脳梗塞後の胃ろうと寿命の関係


脊髄小脳変性症は小脳症状と脊髄症状を主とする変性疾患です。
孤発性であることもありますが、病型により様々な遺伝形式を取る神経難病として知られています。
根治治療はまだなく、対症療法やリハビリテーションが中心となります。
この記事では遺伝性脊髄小脳変性症について解説します。

遺伝性脊髄小脳変性症とは

小脳
脊髄小脳変性症とは、小脳を中心に中枢神経系に変性を生じる神経難病の一つです。
症状は運動失調(小脳症状)と痙性(脊髄症状)が主であり、徐々に症状が進行することが特徴です。
有病率は常染色体顕性遺伝では10万人あたり2.7人、常染色体潜性遺伝では3.3人です。
特に常染色体顕性遺伝を示すものを脊髄小脳失調症(SCA)と呼び、遺伝子が同定された順にSCA1、SCA2、SCA3などと割り当てられました。

マチャド・ジョセフ病とは

マチャド・ジョセフ病とは脊髄小脳失調症3型とも言われます。
日本や白人で最も多い遺伝性脊髄小脳変性症の病型であり、マチャドとジョセフの家系より発見されました。
若年発症では運動緩慢ジストニア痙縮が主となりますが、高齢発症では小脳症状が多く出ると言ったように、発症年齢で症状が異なることが特徴です。
遺伝子の塩基が異常に伸びて、特定のものを繰り返すことにより生じるため、リピート伸長病とも言われます。
遺伝するにつれて症状発症年齢が若くなるのも特徴です。

歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症とは

歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症も遺伝性脊髄小脳変性症の一種です。
文字通り大脳基底核の歯状核、赤核、淡蒼球、ルイ体に異常を認めます。12番染色体のDRPLA遺伝子に異常を認める疾患です。
症状は小児では運動失調、痙攣、認知機能低下があり、成人では運動失調、不随意運動、人格の変化などがあります。
マチャド・ジョセフ病と同様にリピート伸長病なので、発症年齢は遺伝することでより若くなります。

遺伝性脊髄小脳変性症と脳血管疾患のリスク因子と予防策

遺伝性脊髄小脳変性症と脳血管疾患についての関連は明らかではありません。
遺伝性脊髄小脳変性症は文字通り遺伝疾患です。
一方、脳血管疾患のリスク因子には高血圧、脂質異常症、糖尿病など、家族歴は濃厚に関連するものの遺伝疾患とまでは言えません。
しかし、両者が合併することもあるので注意が必要です。
遺伝性脊髄小脳変性症ではゆっくりと症状が進行するのが特徴ですが、ある日突然に嚥下障害が悪くなった、動作がおかしくなったなどがあれば脳血管障害を考えなければなりません。
脳血管障害を併発すると、更に生活の質(Quality of Life)は低下するので予防は非常に重要です。

遺伝性脊髄小脳変性症の治療

遺伝性脊髄小脳変性症の治療は疾患特異的治療と対症療法に分けられます。遺伝子変異そのものを治療することは現代ではできないので、例え発症するのが分かっていても治療を行うことは出来ません。具体的には以下の治療があります。

  • 疾患修飾薬:L-アルギニンや脂肪細胞由来間葉系幹細胞による臨床研究が行われていますが、日本では特異的に疾患そのものを治療するものは保険適用されていません。
  • 運動失調改善薬:プロチレリンなどの甲状腺刺激放出ホルモンが運動失調を改善すると言われています。
    つい先日承認が取り下げられたものもあります。
  • リハビリテーション:ニューロリハビリテーションは運動症状を有意に改善させます。

その他、構音障害や嚥下障害などに対するリハビリテーションが有効です。

まとめ

遺伝性脊髄小脳変性症は多数の病型を持つ遺伝疾患です。
遺伝で発病することが分かっていても根治治療が確立されていないために、現代では特に発病前診断もしばしば問題になることもあります。
遺伝子疾患なので発症することが分かっても回避は難しく、発症する前に「発症することが濃厚である」と診断することが必ずしも良いことではありません。
最近では再生医療での治療が注目されています。
iPS細胞を用いた研究により脊髄小脳変性症の病態が再現できたために、基礎研究も大きく進むことが期待されます。
ステムカイマルという幹細胞治療もあり、脊髄小脳変性症に対して実施している施設もあります。
当院ではステムカイマルに実装はまだありませんが、脳卒中や脊髄損傷の患者様にニューロテック®という幹細胞点滴治療を提供しています。
遺伝性脊髄小脳変性症の方が脳卒中や脊髄損傷になった際には、神経再生医療×同時リハビリ™で後遺症に対し貢献したいものです。

よくあるご質問

脊髄小脳変性症3型の症状は?
脊髄小脳変性症3型の症状は小脳失調症状や錐体路症状、構音障害です。徐々に進行することが特徴です。「びっくり眼」という驚いたような顔も脊髄小脳変性症3型に特徴的です。

歯状核赤核ルイ体萎縮症とは?
歯状核赤核ルイ体萎縮症はDRPLA(歯状核赤核淡蒼球萎縮症)とも呼ばれる脊髄小脳変性症の一病態です。大脳基底核の歯状核、赤核、淡蒼球、ルイ体に異常を認めます。歩行障害や協調運動障害の他に、ミオクローヌス発作や精神症状が進行的に生じます。

<参照元>
患者由来iPS細胞による脊髄小脳変性症の病態再現―小脳プルキンエ細胞変性から病態を理解し、創薬への道を開く:https://www.amed.go.jp/news/release_20161102.html
脊髄小脳変性症治療薬「ロバチレリン(KPS-0373)」の国内製造販売承認申請取り下げのお知らせ:https://www.kissei.co.jp/news/2023/20230719-4669.html

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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