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脳梗塞

BAD脳梗塞の概要と原因

BAD脳梗塞の概要と原因

この記事を読んでわかること

・BAD脳梗塞の定義と特徴
・動脈硬化とBAD脳梗塞の関連性
・BAD脳梗塞の治療方法について


脳梗塞は脳を栄養する血管がなんらかの原因で閉塞し、脳細胞が壊死してしまう病気です。
これまで大きく4つに分類されていた脳梗塞ですが、近年では新しい分類としてBAD(Branch Atheromatous Disease)脳梗塞が注目されています。
そこでこの記事では、BAD脳梗塞の概要や原因について解説していきます。

BAD脳梗塞の定義と特徴

アテロームの血管状態
BAD脳梗塞とは、脳の深部を走行する細い血管(穿通枝)が閉塞するにも関わらず、梗塞が広範囲に及ぶ脳梗塞のことです。
そもそも、脳を栄養する血管がなんらかの原因で閉塞すると、脳が機能するために必要な酸素や糖質を脳に供給できなくなります。
特に脳は非常に酸素需要の高い組織であるため、血流が短時間途絶えるだけでも壊死してしまいます。
壊死する範囲や部位に応じて様々な神経症状をきたし、代表的な症状として四肢の麻痺やしびれ、構音障害や嚥下障害などが挙げられます。
これまで脳梗塞は、その発症部位や発症機序に応じて大きく4つに分類されてきました。

  • 心原性脳梗塞:不整脈で心臓内に生じた血栓によって生じる脳梗塞
  • ラクナ梗塞:穿通枝が動脈硬化によって閉塞する脳梗塞
  • アテローム性血栓性脳梗塞:脳を栄養する太い血管が動脈硬化によって閉塞する脳梗塞
  • 分類不能な脳梗塞:上記3つに分類できない脳梗塞

心原性脳梗塞の場合、心臓内に生じた血栓が左右の脳にパラパラと散在して飛ぶため、画像所見で分かりやすい所見を示します。
ラクナ梗塞は脳深部の細い穿通枝の梗塞であり、梗塞範囲が画像所見上1.5cm未満であると定義されてます。
一方で、アテローム性血栓性脳梗塞は脳を栄養する比較的太い血管内に、動脈硬化によってアテロームと呼ばれるコブが形成され、そのコブが破綻することで血栓が形成されて梗塞に至る病気です。
つまり、ラクナ梗塞では細い血管が閉塞し、アテローム性血栓性脳梗塞では太い血管が閉塞するため、アテローム性血栓性脳梗塞の方が広範囲で障害を受けやすい傾向にあります。
また、中には上記3つには分類できない脳梗塞もあります。
例えば、穿通枝領域の梗塞であるにも関わらず梗塞範囲が1.5cmを超える広範な脳梗塞は、ラクナ梗塞とアテローム性血栓性脳梗塞のどちらの定義からも外れています。
これは両者のちょうど中間のようなタイプであることから、穿通枝(Branch)とアテローム(Atheromatous)から名前をとって、Branch Atheromatous Disease:BADと定義されています。
報告によって差がありますが、BAD脳梗塞は脳梗塞全体の約10%を占めると考えられています。
また、BAD脳梗塞の特徴として進行性に神経症状が悪化していくことが知られています。
比較的症状の目立ちにくいラクナ梗塞と異なり、BAD脳梗塞では梗塞範囲が広範囲に及ぶため、麻痺や構音障害などの症状が階段状に進行していくことが多いです。

動脈硬化とBAD脳梗塞の関連性

結論から言えば、BAD脳梗塞の原因は動脈硬化であると考えられています。
前述したように、BAD脳梗塞はアテローム性血栓性脳梗塞とラクナ梗塞の中間のようなタイプであり、BAD脳梗塞が生じる原因は下記の2つが考えらえます。
比較的太い血管に形成されたアテロームが破綻して穿通枝の近位部を閉塞させる
穿通枝に直接微小なアテロームが形成される
どちらにせよ、動脈硬化によって血管の内腔が硬く・狭くなることで、BAD脳梗塞が生じます。

危険因子である高血圧と糖尿病や喫煙など

動脈硬化の主原因5つ
では、なぜ動脈硬化を引き起こすのでしょうか?
主な原因を5つ挙げます。

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 脂質異常
  • 肥満
  • 喫煙

高血圧

塩分の過剰摂取などで高血圧状態が続くと、血管は常に緊張し張りつめた状態となるため、次第に厚く・硬くなり動脈硬化に進展します。

糖尿病

糖尿病による高血糖状態が持続すると血管の内壁が損傷し、そこにコレステロールが入り込んで蓄積していくため、徐々に血管壁が硬くなります。

脂質異常

脂質異常によって血液内に悪玉コレステロールが多い状態が続くと、血管壁に蓄積してしまい、動脈硬化の原因となります。

肥満

肥満によって内臓脂肪が増えると、血液中を流れる悪玉コレステロールや中性脂肪が増加します。
その結果、血管壁に悪玉コレステロールが蓄積しやすくなり、動脈硬化の原因となります。

喫煙

喫煙に含まれるニコチンによって血圧が上昇し、血管に負担がかかります。
さらに、一酸化炭素の蓄積が血管の内壁を損傷し、そこにコレステロールが蓄積してしまい、徐々に血管壁が硬くなります。

まとめ

今回の記事では、BAD脳梗塞の概要や原因について解説しました。
BAD脳梗塞はラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞の中間のようなタイプの脳梗塞であり、穿通枝領域における梗塞にも関わらず、広範囲に障害が及ぶという特徴があります。
一般的に症状が目立ちにくいとされるラクナ梗塞とは異なり、入院後も麻痺や構音障害などの神経症状が階段状に進行していく傾向にあり、早期から適切な治療が重要となる疾患です。
また、既存の治療法で治療中にも関わらず症状が進行していくケースも多く、現状治療が難しい脳梗塞として認知されています。
治療が難しい理由の1つに、脳細胞は一度損傷すると元に再生することがほとんどできない細胞であることが挙げられます。
しかし、近年では再生医療の技術が成長しており、脳梗塞によって損傷を受けた脳細胞が再生医療によって回復する可能性もあります。
そうなれば、神経症状が進行しやすいBAD脳梗塞でも後遺症を残さないように治療できる可能性もあり、現在のその知見が待たれるところです。

よくあるご質問

BAD脳梗塞とは何ですか?
BAD脳梗塞のBADとは、Branch Atheromatous Diseaseの略で、脳の深部の血管(穿通枝)にアテロームが原因で広範囲に脳梗塞を引き起こす疾患のことです。

BAD脳梗塞の治療方法は何ですか?
BAD脳梗塞では一般的な脳梗塞同様、抗血小板薬で治療開始されることが多いです。
しかし、治療中にも関わらず神経症状が悪化することも多く、早期から抗血小板薬や抗凝固療法などを併用していく必要がありますが、確立された治療法はないのが現状です。

<参照元>
・Branch atheromatous disease(BAD)の概念とその臨床的意義|日本神経学会:https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/050110914.pdf
・BADをどう治療するか|日本神経学会:https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/050110921.pdf
・Branch Atheromatous Disease の病態と治療|国立研究開発法人 科学技術振興機構:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/31/6/31_6_550/_pdf/-char/ja

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この記事の監修

監修医師 貴宝院永稔医師

貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)

脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医

リニューロの治療概念図
リニューロ®最大の特長は、幹細胞点滴投与中に集中的かつ反復的に狙った神経回路に適した刺激を与えることです。
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