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慢性炎症性脱髄性神経炎の原因と治療

           

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この記事を読んでわかること

慢性炎症性脱髄性神経炎とは
慢性炎症性脱髄性神経炎の原因
慢性炎症性脱髄性神経炎に対する再生医療


神経の難病の一つに「慢性炎症性脱髄性神経炎」という、末梢神経に炎症が起こり、筋力の低下や感覚の障害をきたす病気があります。
少し長い名前ですが、神経に慢性的な炎症が起きることで「脱髄」が起きるという、その名の通りの疾患です。
この記事では、慢性炎症性脱髄性神経炎について解説します。

慢性炎症性脱髄性神経炎とは

慢性炎症性脱髄性神経炎は、末梢神経に「脱髄」が起きることで様々な症状を引き起こす神経の難病です。
人の神経細胞では軸索という長く伸びる構造が信号を通し隣の神経細胞に伝えることで、運動の指令や感覚の情報が伝達されます。
軸索は髄鞘と呼ばれる膜に包み込まれており、それにより素早く情報を伝えることができる仕組みになっています。
「脱髄」というのはその髄鞘が障害されることを指し、神経の信号がうまく伝わらなくなったり、間違って伝えられたりしてしまうために症状が発生します。
慢性炎症性脱髄性神経炎は末梢神経に脱髄が起きるため、手足に力が入りづらくなったり、感覚が鈍くなったりします。
2ヶ月以上にわたり徐々に進行、または再発する疾患であるため慢性という名前がついています。
10万人あたり3-5人程度に発生する稀な病気で、医療受給者証を保持している人は全国に5100人(令和2年度)とされています。
後天性の疾患であり、年齢が上がるにつれて発症率はやや増加し、成人では1.5-2倍程度男性に多い疾患です。
末梢神経の障害

慢性炎症性脱髄性神経炎の原因

慢性炎症性脱髄性神経炎の原因は不明な点が多く、どこまでを慢性炎症性脱髄性神経炎に含めるかについても多くの議論があります。
しかし何らかの免疫が関係していることが指摘されており、特に自分の髄鞘をターゲットとした自己免疫的な機序(間違えて自分の組織を攻撃してしまう)が働いていると考えられています。
今までに遺伝性が報告されたことはなく、あくまで後天的な疾患であると思われますが、何が引き金になるかは分かっていません。
これまでの研究では風邪のような症状を起こしたあとに発症したケースや、ワクチン接種・外科治療がきっかけと考えられたケースなどが報告されています。

慢性炎症性脱髄性神経炎の治療

慢性炎症性脱髄性神経炎の急性期治療は、ステロイド・免疫グロブリン大量療法・血漿浄化療法が行われます。
いずれも自らの免疫を制御し、コントロールするための治療法です。
一回の治療で症状が落ち着く場合もあれば、再発を繰り返す場合もあります。
そのような場合は維持療法として、免疫グロブリンの間欠投与(間をあけて複数回薬剤を使用すること)が行われます。

慢性炎症性脱髄性神経炎に対する再生医療

慢性炎症性脱髄性神経炎の急性期治療が遅れると、髄鞘から軸索の障害へと至り、障害が非可逆的(元に戻らない)なものとなってしまいます。
神経の障害が確定してしまうと、症状は後遺症となり生涯残ることとなります。
運動や感覚の障害程度は人により様々ですが、重篤なケースでは自立した生活が困難となり、介助が必要となるケースもあります。
早期治療が決め手であり、進行した状態になると打つ手がないという現状があります。
神経の障害そのものを治療しようとする方法、それが再生医療です。
再生医療では神経の回復能力を最大限に引き出すとともに、神経の元となる細胞(幹細胞)を使用して神経を再生することが試みられています。
神経の難病は治療困難な疾患が多く、再生医療が新たな治療法として世界的に多くの研究の対象となっています。
ニューロテックメディカル株式会社では、「ニューロテック®」として脳卒中・脊髄損傷・神経障害などに対する幹細胞治療の基盤特許を取得しており、再生医療の効果を高める取り組みを行っています。
慢性炎症性脱髄性神経炎に対しては、再生医療と最先端のリハビリテーションを組み合わせることで最大限の機能回復を達成できると考えています。
慢性炎症性脱髄性神経炎の症状にお悩みの患者さんやご家族の方は、ぜひご相談ください。

まとめ

慢性炎症性脱髄性神経炎について解説しました。
慢性炎症性脱髄性神経炎と似た症状を示す疾患にギラン・バレー症候群があります。
ギラン・バレー症候群は短期間(4週間以内)のうちに症状がピークを迎えますが、慢性炎症性脱髄性神経炎では2ヶ月以上にわたるという違いがあります。
いずれも治療が難しい疾患であるため、専門医による治療が必要です。

よくあるご質問

急性散在性脳脊髄炎はどんな病気?
脳や脊髄の神経にある髄鞘が破壊され、発熱や頭痛、手足が動きづらい、歩きづらいといった症状が起こります。
ウイルス感染やワクチン接種の後などに自己免疫が関係して発生すると考えられています。
関連記事▶︎ 急性散在性脳脊髄炎とは

橋中心髄鞘崩壊症の症状は?
脳の深部にある「橋」という場所で、神経の髄鞘が障害される疾患です。
意識障害や運動の麻痺、呼吸障害が起きて死亡することもある怖い病気です。血液中のナトリウムが種々の原因により変動することがきっかけになると考えられています。

<参照元>
・「慢性炎症性脱髄性神経炎」Pharma Medica 39(3), 2021
・「慢性炎症性脱髄性神経炎/多巣性運動ニューロパチー」難病情報センターホームページ
https://www.nanbyou.or.jp/entry/4089

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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